悪い料簡
9 の例文
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わたしはユリアさんを疾うから好いている。決して悪い料簡で今のような事をしたのでは無い。娘さんの恥にならないように、わたしが立派に女房に持つと云った。
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わたしはユリアさんを疾うから好いてゐる。決して悪い料簡で今のやうな事をしたのでは無い。娘さんの恥にならないやうに、わたしが立派に女房に持つと云つた。
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赤犬の肉は佳味いといわれて居る。それも他人の犬であったらそういう念慮も起らなかったであろうが、衷心非常な苦悩を有して居れば居る程太十の態度が可笑しいので罪のない悪い料簡がどうかすると人々の心に萠すのであった。「殺しちまあ」 太十がいった其声は顫えて居た。
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その時に旦那さまが子細ありそうに、私の顔をじっと眺めておいでなさるので、なんだか、おかしいと思っておりますと、やがてわたくしを傍へ呼んで、おまえの左の二の腕に青い痣はないかとお訊きになりました。さてはこの人は娘か妹か、なにかの女をさがしているに相違ないと思う途端に、ふっと悪い料簡が起りました。こんな木曾の山の中に、いつまで暮していても仕様がない。
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魚屋はお俊が懇意の家で、そこの娘はお亀とも心安くしているので、お蝶がときどきに怪しい使いに誘拐されてゆくという噂が自然にお俊の耳に伝わった。お蝶の容貌好しをかねて知っている彼女は、この怪しい使いを利用して、娘を更に自分の手へ誘拐しようという悪い料簡を起した。ふだんから自分の手先につかっている安蔵という奴に云いふくめて、二、三日まえからお亀の家の近所をうろついて、内の様子を窺わせているうちに、その屋敷からお蝶を一生奉公にかかえたいという掛け合いに来たことも判った。
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おまけに菊園では岡っ引に探索を頼んだという話を聞いて、なおさら自分の家に置くのは不安だと思って、次郎吉に相談してひと先ず玉太郎をお京の二階に預けることにしました。次郎吉は自分とお京との秘密を白雲堂に知られている弱味があるのと、元来が考え無しの人間ですから、うかうかと引き受けてしまったので、お京と次郎吉には別に悪い料簡もなかったようです。お京も男にたのまれて、玉太郎をあずかっては見たものの、子供のことですから家を恋しがって泣きはじめる。
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来年から大道うらないを始めるから贔屓にしてくれ。そこで貴様もまさかに最初から庄五郎を葬ってしまう気でもなかったろうが、眼と鼻のあいだの葭簀のなかに平七が寝込んでいるとも知らねえで、その来るのを待っているうちに、場所は海端、あたりは暗し、まだ人通りも少ねえので、ふっと悪い料簡をおこしたのだろう。可哀そうなのは平七の野郎だ。
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私のものはみんな貴女に差し上げると彼女は言ったが、みんなとあるからには身分姓名までもらったとて何悪いことがあろう。英吉利中に誰一人、私を知っている者はないとホープの語った言葉こそ勿怪の幸い、ここは一つ思いきって、ブレンダ・ローズの殻を脱ぎ捨て、他人の靴をはいてみようかと、めぐらす思案の我ながら恐ろしく思わずあたりを見回したがさりとては悪い料簡。
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