息の根をとめよう
17 の例文
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と、その瞬間、むきだしの毛むくじゃらな腕が彼の頸にからみつき、柔道の絞めわざで絞めつけてきた。彼はすぐに応戦して、息の根をとめようとする腕を振りほどこうとした。彼は、片方の足を相手のうしろにまわして、踵に引っかけた。
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着物は破かれ、花束はもぎとられたのだ。女の息の根をとめようとしていた奴は、両手を女の咽喉にあてていたからさ。他の人間にやれるわけはないじゃないですかね?
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眼にみえない巨人の手が彼の息の根をとめようと咽喉へ蓋をしかけた。彼の心と肉体はもっと空気をと喘いだが、徒労であった。
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自分の恋をこれだけ烈しく責めたのだから、さめうるものなら当然さめていいはずだ。恋の息の根をとめようと、わたしの助太刀に呼ばなかったどんな強力な理由があろうか。わたしの道徳感情、わたしの見解、わたしの主義、恥辱、不実、罪、友情が託したものの濫用、さらにいい年齢をして途方もない恋に身をやくコッケイさ。
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そいつを食べさせられる羽目になって泣きながら食べているうちに、ほかの者たちはひとりまたひとりと立ち上がって小さなドアから消えていった。みんな自分の山を食べ終わったのに、彼の山はみているうちに大きくなって机や椅子にいっぱいになり、彼の息の根をとめようとするのだった。翌朝、コーヒーを飲みながらも、試験におくれては大変だというので時計から片時も目をはなさないでいるころ、郷里の町ではみんなが彼のことを考えていてくれたのだ。
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タントの周囲に集まっていたものの何人かが、かれの息の根をとめようとかけだしてきた。雄牛さながらに頭を低くたれて突進してきたのだ。
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彼は今や助けを求めて、わめいていた。わたしは力を倍加して、彼の叫びが加勢を呼び寄せる前に、息の根をとめようとした。彼は絶叫しながらも、野獣のようにわたしに噛みつき、交互にわたしの顔をぶったり、のどをしめようとしていた。
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思いついた時にやらない限り、また忘れてしまうし、何よりも今は、何故か知らぬがそれをやりたい気分なのだ。洞窟へ入ると、「歯ぬけ」が若い女の首を絞めて完全に息の根をとめようとしていた。そのおかげで彼はためらわずに「歯ぬけ」を殺すことができる。
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残る二人とは十二時すぎの看板までねばり、外で別れたが、少時の後、霧の中で一発の弾丸が小生に向って放たれた。三名のうち一人が小生に真相を打ち明けんとし、しかも一方三名のうち一人が小生の息の根をとめようと試みたのである。しかもなお、この最後の襲撃によって明らかなことは、彼は今一度小生を狙い今度こそは仕損じまいとしていることだ。
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彼の狙いが、わたしには完全にわかった。つまり即戦即決、わたしの息の根をとめようというのである。わたしはふたたび彼の剣を叩き落とし、ふたたび剣先をさげると、その間にレフェリーは、いわれるのも待たずに剣をとりに走って行った。
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とすれば、ここにわたしがみずから愚劣などといい出したのは不見識きわまるはなしであるが、しかしこの際ちっぽけな見識のごとき問題にならず、わたしというものが上等であるならばいかに姿をやつそうと下等になるはずはなく、反対に下等であるならばいかに恰好を作ろうと上等になれるはずはない。第一ここまで書いて来た以上、すでに書かれてしまった部分は一つのレアリテであって、それみずから強烈な生命力を持っているのであるから、たとえ中途でその息の根をとめようとしても容易にはくたばりそうもない形相を示している。
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いちどに息の根をとめようとするから難しいんだ。あしたからは、林冲の足をあの世へ向けて、冥途の旅の一里塚を一ツ一ツ踏ませてくれる。
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さすがの川路も、同じ時刻、市ヶ谷監獄でくりひろげられているであろう事件に想到したとき、知らぬが仏でのうのうとこんなものを見物に来ている駒井信興が笑止にたえず、みずからその息の根をここでとめてやろうという突然の衝動を抑え切れなかったと見える。しかも、息の根をとめようとして予想以上の手ごわいしっぺ返しを受け、その対決に心奪われて、かんじんの軽気球のことはしばし忘却していた。
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このなかにあって、ただひとり、時代の脚光をあびて立ったのは勝安房守だ。それは悲劇的な脚光であったが、江戸の業火のうちに徳川家の息の根をとめようと意気ごむ官軍のまえに手をひろげて、その二つながら無事にまもりぬこうと死力をしぼる勝の姿は、男の生涯をこの春の花のちるまでに燃焼させて悔いない壮美なひかりに彩られていた。事態収拾のために、日夜馬上で往来する勝は、いくどか暗殺の危険に見舞われた。
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頭を膝より半フィートかそこいら低くして、勘定台のうしろでうたた寝をしていたベン・アレン氏は、この驚くべき情報を耳にするやいなや、さっとマーチンのところに突っ走ってゆき、あの口数の少ない召使いのネクタイに片手をまきつけ、その場で彼の息の根をとめようとする意志をあらわした。この意図を、絶望の結果としてよくあらわれるすみやかさで、彼は早速、大いに力み、医学的な腕をふるって、実行にうつしはじめた。
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煙と焔と苦悶のうちに、それは地獄からかりてきた十分間で、人間はただ耐えるほかに何するすべもなかった。とつじょ、ユリシーズは黒煙のそとにぬっと現われ、両弾投下したハインケルの編隊は、あたかもがっくりひざを折った獲物をとらえ、息の根をとめようとねらう貪婪たる狼さながら、機関砲と機銃で息もつかずにむさぼり、攻めさいなんだ。それでもまだ、あちらでひとつ、こちらでひとつ、ユリシーズの砲口は火を吐いていた。
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