恐らくあの
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だから三十日のことも判るでしょう。
恐らくあの時も鍵をかけ忘れたまま雛ちゃんのところに出かけてたんだよ。
そうして戻ってきた時に鍵を使おうとして、全度は例の〝手応え〟で間違いに気がついた。
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竹本健治『匣の中の失楽』より引用
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恐らくあの家はまだあのまんまになっているだろうと予想しながら。
堀辰雄『美しい村』より引用
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井上立士と井上光、思えばかけがえのない友だちであった。
恐らくあのような親交を結べる友人は、生涯にもう再び得られないだろう。
思えば早く別れる運命にあったので、あのような熱っぽい交わりを自ら知らずして結んだのであろうか。
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高見順『敗戦日記』より引用
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ニック嬢がここにいたら、きっと君にそういいますよ。
恐らくあのお嬢様は、君がごみ溜みたいな心を持っているというでしょうね。
近ごろの若いお嬢様方は、下着など恥ずかしがりませんね。
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クリスティ/松本恵子訳『危機のエンドハウス』より引用
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古市加十よ、さよなら。
恐らくあの原稿も、闇から闇へ葬り去られてしまったのであろう。
せめてあれだけでも陽の目を見ることが出来たら、いささかもって瞑すべきであったろうに。
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久生十蘭『魔都』より引用
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そこでこれを殺してしまったんです。
恐らくあの日、宮武はあそこで贓品を受け取るつもりだったんでしょう。
人殺しさえなかったら、磯野アキも素直に贓品を渡し、いつまでも脅迫され続けていたでしょうが、あの殺人のことがあるから相手を生かしておけなくなった。
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横溝正史『殺人鬼 他三篇』より引用
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でもきっと、鍵をひねっても施錠されないという意味で調子が悪かったのだわ。
恐らくあの夜、何者かが扉が開かれないようにクローゼットの中から固定していたのよ。
私は鍵が開かないからその中に死体を隠すのをあきらめたの。
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乙一『ZOO』より引用
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アイツは恐らくあの髪の中にコントローラーを隠し、遠隔操作していたのだ。
ANA600便は、台風の雲の中を、恐るべき勢いで降下している。
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赤松中学『緋弾のアリア 第01巻』より引用
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授業の時間が足りなくて追加授業を行う際も、お母様に今日は早く帰ってこいと言われたので帰りますと、足早に教室を出ていってしまったほどだ。
恐らくあのときも、塾に遅れるとは言いにくくて、親のせいにしたのだろう。
要するに、母親から離れられない、重度のマザコンだ。
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山田悠介『パズル』より引用
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それを聞いた黒雪姫は、涙を浮かべながらハルユキの頬を打った。
ハルユキが本当の意味でバーストリンカーになったのは、恐らくあの瞬間だった。
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川原礫『アクセル・ワールド 12 -赤の紋章-』より引用
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児島の姿が彼の眼の前を往ったり来たりしていなかったら、恐らくあの筋を考え出しはしなかったであろう。
そこには多少真面目ないたずら気分、「よし、よし、彼奴を使ってやれ、あんな無神経な奴に何が分るもんか」と云ったふうな、日頃の軽蔑から発足したからかい半分の興味さえも、手伝っていないとは云えなかった。
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谷崎潤一郎『潤一郎犯罪小説集』より引用
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数日後には、同じ大会の団体戦が催される。
恐らくあの少女も、仲間を集めてリベンジを挑んでくるだろう。
今度こそ、背後からしっかりと拘束し、あの猫を思わせる瞳を至近距離から覗き込みながら、ナイフで喉を切り裂く。
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九里史生『SAO Web 0402 第四章~第六章』より引用
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これは恐らくあの男の勝利宣言です。
茅田砂胡『デルフィニア戦記 第08巻 「風塵の群雄」』より引用
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恐らくあの笑顔が『敵を作らない』と言われた人徳だろう。
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符の化け物は鮫が泳ぐように宙をうねっていた。
恐らくあの顎が武器なのだろう。
あれで食らいつくことに全てをかけているのだろうか。
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ろくごまるに『封仙娘娘追宝録08 刃を砕く復讐者(上)』より引用
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またそれは、あの貧しい老爺だけがのぞき得た至妙至極の芸術の世界であったのかも知れない。
あの老人は大地へ描きすててしまったからその絵はあとに残ることがなかったのであるが、あれほどの技がもし絵画のほうへ現わせていたら恐らくあの老人は名のある画家のひとりともなっていたであろうに。
しかしまた思うのである。
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上村松園『砂書きの老人』より引用
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警察は、「犯人をきっと探し出してやる」とミカエリスに言ったという彼の言葉を手がかりに、恐らくこの間、黄色い車を探して辺りのガレージを片っ端から見て回っていたのだろうと推測した。
ところが、どこのガレージの主人に聞いても、彼らしい姿を見かけたという者は一人もなかったところを見ると、恐らくあの言葉は根も葉もないたわ言ではなくて、彼はもっと簡単で確実な方法を知っていたのに違いない。
二時半にはすでにウェスト・エッグに姿を現わしていて、ギャツビーの家の場所を人に尋ねているのである。
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フィッツジェラルド/佐藤亮一訳『華麗なるギャツビー』より引用
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恐らくあの蓄雷筒はフォロンの想像以上に大量の精霊雷を充填出来るのだろう。
神曲を得た上級精霊ですら、何度も満タンにしていれば疲弊せざるを得ない程に。
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榊一郎『神曲奏界ポリフォニカ 01 ウェイワード・クリムゾン』より引用
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ようやく風から逃れて左腕を見ると、ミラーシルバーに輝く装甲の一部が、紙ヤスリを掛けられたかのように曇っていた。
恐らくあの風には細かい砂の粒子が含まれていて、それがたとえメタルカラーの金属装甲であろうともダメージを与えるのだ。
あの一瞬で、体力ゲージが三パーセント程度にせよ削られてしまっている。
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川原礫『アクセル・ワールド 10 -Elements-』より引用
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人々はまだ誰も彼も興奮していて、話題はすべて災害の話となる。
聞きながら耕作は、武井も姉の富も、恐らくあの泥流の中に押し流されただろうと思う。
泥流は爆発から二十五分とかからないで、三重団体の線路の所まで、一気に奔流したのだ。
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三浦綾子『泥流地帯』より引用