思う壺
238 の例文
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逃げるならば、少人数で夜陰に乗じて進むしかない。しかし、そういう形で城を出ることは、信長にとって思う壺なのではないか。光秀は、斎藤内蔵助に相談した。
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私はソファにもたれて、嗚咽がしずまるのを待った。「きみがそう思うのこそ、神保の思う壺じゃないか」 彼女は答えない。肩甲骨のあたりが痙攣している。
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「よし、こいつは思う壺だ」 二艘の舟は並んで石碣村の町へむかった。やがて小半時あまり行くと、丸木橋のほとりで手に二つなぎの銅銭を持った大男が、水際におりてきて舟のもやいを解いているのが見えた。
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身銭を切ってでも人に見せたくなるような映画と言える。それがつまり向うの思う壺で、これは本来、立派な商業映画なのだ。一九三九年にジョン・スタインベックの発表した同名の小説がベストセラーになったので、いち早く映画化したものにすぎない。
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この合戦は、義昭の予想に反して、連合軍の敗北に終った。しかし、信長の敵がふえたことは、義昭の思う壺にはまることであった。義昭は、さらに八方に密書をとばし、反信長派をふやすことに成功した。
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犯人は殺した人を、あたかも寝ているようにとりつくろっていたのである。だから死因というものは、状況から判断すると犯人の思う壺である。あくまでも状況にとらわれず、死体所見の中から見つけ出さなければならない。
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事態は、ABCの思う壺にはまらないで、反対の目が出てきているのです。
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メールを読んだ由紀も裕太も、何も話す気になれない。怒ってモニタを壊したい気分だが、それをやったら犯人の思う壺なのだろう。
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妹の思う壺だ、と分かっていても、達也は耳をそばだてずにいられなかった。
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いかなる手段を用いてか、とにかく敵は〈伊507〉を探知している。探信音波の網を気にして深々度に逃げ込めば、それこそ敵の思う壺になる。下は水圧の壁、上は魚雷に阻まれて、次第に身動きが取れなくなるのが自明の理。
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面白いじゃないか。あんたが口を噤んだまま、ここで死んじまえば、こっちの思う壺だぜ。なぜって、そうしたら、貝塚は人知れず、どこかで餓死するってことになるようだし、その殺人罪は河野豪紀ってばかなやつがかぶるってことになる。
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私がそれを云い出したのは彼女の思う壺だったのです。
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事実、帰京後私が国家公安委員長に直接警備実施状況の報告をしたところ、「短刀で刺してしまうことは出来なかったのか」との下問があった。私はそれこそまさに連合赤軍の思う壺だと反対していた。自分たちが銃と爆弾とで武力革命の起爆剤となり、国民の心に潜む革命的エネルギーに火を点けると主張しているのだから、自衛隊が治安出動などしたら国会は大混乱し、マスコミも敵に廻り、国論を二分する政治危機になってしまうと考えていた。
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でも、起こらなかったとしても、あなたは別に損をするわけではない。もしあたしがピストルをうち、斎藤が死ねば、すっかりあなたの思う壺。なんてうまい考えでしょう。
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そして爺さんは内心ではこのうえなく無念の思いをしていたけれども、そんなことは少しも色に現わさず、すぐに仕事にかかりはじめました。ところで、それこそ彼の思う壺であり、そのためわざわざやって来たのでございました。そこで彼は念入りに、あちこち獅子のからだの寸法を測り、ちょっとのあいだに、頑丈に組み立てた箱を作りあげ、これには狭い入口がひとつついているだけでした。
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この事件は、布団の中で寝姿で死亡していれば病死のように見えるので、窒息死させてから様子を整えたのである。状況の中から死因をピックアップすれば、犯人の思う壺に誘導されてしまう。専門家は状況にとらわれず、死因を死体所見の中からピックアップするので、たとえ寝姿であっても、窒息死の事実がわかるのである。
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その被害者がもし琴野の着物を着ていたならば、それは犯人が琴野の死骸に見せかけようとしたのであって、実は琴野以外の人物に違いないと信ずるでありましょう。ところがそう信じさせることが、谷村氏の思う壺だったのです。被害者は最初の見せかけ通り、やっぱり琴野でしかなかったのですからね。
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