思い煩わ
全て
動詞
18 の例文
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木乃香は隠されていた魔法関係の事柄を受け入れ、その上で刹那の烏族としての血のことも受け入れている。刹那が思い煩ってきたであろうこの二つの事柄に決着がついていたのだ。二人の仲を阻むものは無くなって、刹那の表情には出会った当初の険が薄れている。
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牛河は短くなった煙草を消し、しばらく考えに耽り、それが一段落したところで新しい煙草に火を点けた。ずいぶん前から肺癌になる可能性について思い煩わないことに決めていた。考えを集中するにはニコチンの助けが必要だった。
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岸本に取っては、めったに着たことの無い洋服をこれから先、身につけるというだけでも煩わしかった。彼は熱帯地方の航海のことなぞを想像して見て、その準備に思い煩った。次第に夜は更けて行った。
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清楚な白衣を着た改まった顔付の処女等は母親達に連れられて幾組となく町を歩いていた。彼はこの知らない人ばかりの国へ来てこれから先の自分の生涯をいかにしようかと思い煩った。
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相良宗介の過去の大半は、闘争と生存の苛烈な嵐の中にあったのだ。明日の糧さえ知れない野生動物が、五年後のことなど思い煩うだろうか?
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もちろんこの先がもっとたいへんであることは承知している。が、今この瞬間に理奈が死んでいるのでは、と思い煩う必要はなくなるのだ。とりあえずの決着。
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しかしそれは問題ではありません。実をいうと、私はこの自分をどうすれば好いのかと思い煩っていたところなのです。
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しかし実際に貧乏で、みじめな思いをしているときには、どうして思いわずらわずにいられようか。とまれ、そのことが彼らの思い煩う唯一のことになりつつあるのだ。金のことを思いわずらうことは、大きな癌のようなものであって、あらゆる階級の個人個人を浸蝕していくのである。
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彼女の極めてしとやかな挙措、言辞には些の狂的な変調も見られなかったが、生前X君に親しかった草野貞之、中島健蔵、佐藤正彰の三君は、X夫人のつつましやかな言動の底に異常な決心が固められているのを早くも、感得して、異口同音に、彼女は死を決しているらしい、と僕に告げて、一同暗然とした。僕は三君と協力して、X夫人の覚悟を翻えさせる途は無いものかと思い煩った。然し三君ともX夫人の覚悟らしいものを直感しただけで、証拠を見極めたわけでもなく決意を親しく聴かされたわけでもなかったので、彼女に単刀直入に話を切り出す術もなかった。
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彼の選挙区が正確にはどこで、どんな支援団体がついているのかさえ知らないのだ。選挙のことを思い煩うまでもなく、私にはほかに考えなければならないことがいっぱいあるからである。
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太郎は、心配でならなかったのです。帰る路を忘れてしまったのではないか、それとも変わったことでもあったのではないかと思い煩っていたのであります。すると、不思議なことにも、ある夜、太郎は夢を見ました。
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その先で待つものには、そのとき持っている全力を出すだけ。今からなにを思い煩っても意味のないことだった。「さあ、行くわよ」 誰にでもなく、自分に言う。
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あんな娘たちって、この世の中にあるものではない。またいてはならないものだと思い煩うのである。
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このもっとも困難な役目に、誰を親補すべきであろうか?エリザベスは思い煩い、誰と決定するのも不可能なことを知った。いまにアイルランド問題もスペイン問題同様、面倒極まるものになりそうである。
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竹千代の佩刀は乳母の強権でお福が預かり、小姓衆も出仕すると腰のものをお福の部屋の厨子棚に収めて、刃物の類を目につくところに出さなかった。お福は、国千代が正式に世継ぎに決まったときのことを思い煩わずにはいられない。「国千代の家来になるくらいならば、わしは死ぬ」 と叫んだ竹千代の悲痛な顔がうかぶ。
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君は靴屋じゃないじゃないか、君の子供はみんな健康だし、君の妻君だって食べるものに飢えているわけじゃないんだから。周囲を見まわしてみたまえ、自分の靴よりもっと高尚なことで思い煩うべきものが目に入らないのかね!
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だが僕には思い煩うことを許してくれたまえ。実際僕はもう疾うに、悩みからも、楽しみからも、色々の小袖は剥ぎ捨ててしまったんだ。
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