忖度
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名詞
310 の例文
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格堂君が苦笑したのを自分は見ないけれども其事を思ひ出すと今でも眼の前に在るやうな氣がする。其苦笑にはどういふ意味があつたか此を忖度して明言する事は出來ない。だが當時の同人殊に故人はさういふ熱心な態度で作歌に努力して居た。
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たしかにエレン・エレスコブがそんな処置を受けたことについて、ぼくはいい気分ではなかった。が、その自分の感情を他人に忖度などされたくなかったのである。
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しかし、迂愚なるものの直感は、しばしば常人をしのぐことがある。猿蔵は猿蔵なりに、佐兵衛翁の気持ちを忖度していたのではあるまいか。あるいは猿蔵の愚直を愛して、佐兵衛翁がひそかに、胸中の計画をもらしたことがあったのかもしれぬ。
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世の中で今、流行している様々なことを忖度なしの本音で検証・調査する。
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この上君の内部生活を忖度したり揣摩したりするのは僕のなしうるところではない。それは不可能であるばかりでなく、君を涜すと同時に僕自身を涜す事だ。
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よく「あなたのことなら、なんでもわかるわよ」と言う人がいますが、これはよほどの洞察力か、愚かさがなければ言えないことでしょう。海面下にある相手の感情や自分の感情を、あまり忖度しあわないこと。それはこの線引きの確かさから生まれてくるのではないでしょうか。
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彼はその時一度だけ見たことのある、しかしそれが当人だと確信があるわけではない美佐子の父親のことを、思い出していた。その人にとって重荷であったかなかったかは、娘の忖度し得る限りではあるまい。美佐子は平常から母親びいきで父親があまり好きではないようなことを彼に向かっていつも口にしていた。
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自動書記という現象に近い。思えば小説とは人の心を忖度するものだから、波動を送り続けているようなものだ。その相手が実在した人物であった場合、それに呼応することも有り得る気がする。
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小菅は、だまつてゐた。ほんたうに平氣で言つてゐるのかしら、と葉藏のこころを忖度してゐた。葉藏も平氣で言つてゐるのではなかつたが、しかしそれを不自然でなく言へるほどの伎倆をもつてゐたのである。
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およそ相手の気持ちなど忖度するほうではない男なのに。
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昔使つてゐた意味が適確に訣らずに、昔の人の気持が理会出来る筈はない。近代の論理で昔の人の気持を忖度してゐる、といつた誤解はかなり多くして居ると思ふ。今は、文法的に何と解してゐようと、昔は、其通りに解してゐたのではなかつたかも知れぬのである。
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しかし、語らなくても、玉井中佐が忖度していたであろうと思いたい。「特攻」の手段について、関大尉の心情と大西中将の心情とは、かならずしもイコールで結ばれていない。
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しかし、そういう政略的な意味だけで鉄馬の決断を忖度するのは酷だろう。鉄馬はこのうえもなく美しく、このうえもなく聡明なこの姪を、幼時から掌中の珠とめでいつくしんだ。
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御息所を対象にしていたろうとはあまりにも不似合いな忖度であると思ったのである。すぐに返事を書いたが、それは実際問題を避けた無事なものである。
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どうやら心境に変化が生じたようだ、と松島は、柿崎の胸中を忖度した。
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おのれの資質を見誤って侍になろうなどと考えたがために、ずいぶんと苦労をしてしもうたが、商人になっておればひとかどの人物になりえたであろう。思慮深いうえに、まめな性格で、何よりも他人の心を忖度することができた。もし商売の道を志していたならば、今ごろは家伝の石田散薬も、仁丹や征露丸のごとき万人の常備薬になっていたであろうよ。
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今の内田の質問は、身に覚えがあれば、その重大性は十分に分かるはずである。もっとも今の段階でそこまで忖度するのは行き過ぎであろう。少なくともコーヒーを啜る橋本の表情は、コーヒーだけを楽しんでいるようであった。
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