心憂い

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  • やはりそうだったのかと気がつくにつけ、前よりも一そう心憂く思われて、相変らず自分の思いつづけている事といったら、仏にお祈りしてでも何とかして死にたいものだと云うような事ばかりだったが、あとに一人残る道綱のことを考えると、それも出来そうもないのだった。 堀辰雄『かげろうの日記』より引用
  • 甚悩しい・極めて見たい気がすると言つてよいところで、之を情なくも、つらくも、心憂くもなど訳するのは、さう訳してもわかると言ふだけで、かう言ふ例が、見られるとほり悲観すべき方へ偏つてゐるところから、さうした次義・三義が生じて来たのである。 折口信夫『言語の用語例の推移』より引用
  • 実際のところ、この長い歳月もたった一日の如くに過ぎ去り、二人は前の日結婚したようにその日その日を送り、各夜は結婚初夜の連続であったから、リラダンが何かの用で他出しても愛妻の姿が見えぬのが心憂く、その傍を離れるのが無性に淋しかったし、思いはインペリアも同じであった。 バルザック/小西茂也訳『風流滑稽譚(第三輯)』より引用
  • ここにそのヒナガ姫は心憂く思つて、海上を光らして船に乘つて追つて來るのでいよいよ畏れられて、山のとうげから御船を引き越させて逃げて上つておいでになりました。 稗田阿礼『古事記』より引用
  • それゆえどうか腹の中からありとある心憂さも、全て払い去って下さいますよう、胸を責める物思いもです。 アプレイウス/呉茂一・国原吉之助訳『黄金のロバ』より引用
  • 余が立ちし日には、いつになく獨りにて燈火に向はん事の心憂さに、知る人の許にて夜に入るまでもの語りし、疲るゝを待ちて家に還り、直ちにいねつ。 森鴎外『舞姫』より引用
  • さりとは彼のさとるべき由無けれど、何のかどもあらむに足近く訪はるるを心憂く思ふ余に、一度ならず満枝に向ひて言ひし事もありけれど、見舞といふをおもてにして訪ひ来るなれば、理として好意を拒絶すべきにあらず。 尾崎紅葉『金色夜叉』より引用
  • 余が立ちし日には、いつになく独りにて燈火に向はん事の心憂さに、知る人のもとにて夜に入るまでもの語りし、疲るゝを待ちて家に還り、直ちにいねつ。 森鴎外『舞姫』より引用
  • 姫が朝晩何かと心憂く思うであろうと考え、そんなときこそ、御附の女中が従者とも友とも頼りになって心を慰めてくれるよう、容貌にばかりとらわれず、何かしら一芸に秀れた者を選んだ。 海音寺潮五郎『江戸城大奥列伝』より引用
  • それというのは、ジャアファルは、教王カリフが不眠におかかりになってお心憂わしげなのを拝し、鬱を散じるには、未だ見ざるものを見、未だ聞かざるものを聞き、未だ踏まざる地を訪れるよりも、効あるはござりませぬと、言上したからでございました。 佐藤正彰訳『千一夜物語 06』より引用
  • それが二度めの逢瀬のときも「心く」「いみじき御けしき」ながらも「なつかしう」「らうたげ」な態度をとらせるのであろう。 田辺聖子『源氏紙風船』より引用