後ずさ
全て
動詞
18 の例文
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「自己紹介しておくけど、俺、中村健二なんて名前じゃなくて、栗橋浩美っていうんだよ」 男はゆっくりと千秋に近づいてきた。千秋はベッドを背にし、床に尻をつけたまま可能な限り後ずさりをした。
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その光は実験室の暗い片隅を照らし出した。信じられないといった顔に恐怖の表情を浮かべて、カークは後ずさった。
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給油所のスコット・マクリーはぶるりと身震いし、集団から一歩下がった。そろそろと後ずさり、誰にも見られないように公民館の建物に駆け戻る。あんな恐ろしい魔法使いだの魔女だのと付き合うのはご免だった。
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直立を保とうとする上体はまだわずかに左右に揺れていたが、脱衣所に立っていたときほどひどい振幅ではなかった。後ずさりを続けていたぼくの背が、湯船の端のひんやりした石に触れた。ぼくは膝をかかえ、湯の中に沈んでしまおうとした。
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友人たちに警告しようと後ずさったが、かれらもすでに上を仰いでいた。そこには、垂れ幕を吊った太い鉄棒に足をひっかけて、ふたりのグワールがさかさまにぶらさがっている。
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けれど上位の風霊は空のきわめて高い場所にいることが多く、地上に召喚して使役するには、魔術師として相当に高い能力が必要だった。長衣の男とひげ面の男は、緊張した表情でそれぞれ数歩後ずさった。
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二人の男女の俳優の顔がこちらを向いている。彼らの眼と眼が合うと、澪子は本能的に後ずさり、幕の陰に身を隠した。心臓が冷たくなり、自分がパニックなのがわかる。
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しばらく見つめあったのち、どちらともなく笑い出した。彼は笑いながら数メートル後ずさり、いきなりフリスビーを投げてきた。私は犬のように砂浜を走ってそれを受け取る。
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短冊から千切った紙を宙に放り投げると、途端に、ぬめぬめとした鱗に全身を覆われた白い大蛇が姿を現す。慌てて見物人たちは後ずさり、乾物屋と道士の間には一本の道が出来た。
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「書体を偽った、そうであろう」 「偽ったにしては、勢いよく書いてありましたよ」 「待ちなさい」彼はペン、と言うよりも彼がそう呼んでいるものをとり、インクに浸すと、字を書けるようにしてあった布の上に、密告状のはじめの二、三行を左手で書き始めた。ダンテスは後ずさりして、恐ろしいものを見るかのように僧をみつめた。「驚きました」と、彼は叫んだ。
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ルパンはすっかりびっくりして、気も動転してしまった。女がルパンから目をはなさず後ずさりしながら、ドアのほうへむかった。さすがのルパンも今度ばかりは引きとめにかからなかった。
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不埒な妄想に駆られそうになる自分を抑えるべく、猥褻図書館に手を伸ばしたところで、ノックの音がした。ドアを開くと、廊下に立っていた明石さんが悲鳴を上げて後ずさった。私の顔が何か欲情に駆られた気味の悪い怪獣に見えたのかと思ったが、彼女は私の部屋を舞っている蛾が怖いのであった。
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そうしようと思っているわけじゃないのに、足が後ずさりしてゆく。できない、僕にはできない。
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「あら、悪くないわ」 しかし彼女は嬉しそうに声を上げ、その鏡台に駆け寄った。ぼくは後ずさりしそうになる自分を励まし、ゆっくりと彼女の後に従った。確かに五十年前なら、その鏡台は悪くなかったろう。
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彼女は後ずさりし、そのまま身体の向きを変え、扉に向かって歩きだした。稽古は再開されている。
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後をついてきた大河も息を飲んだように押し黙り、壁際に一歩後ずさる。医者がそっと震える竜児の肩を支え、静かに横たえられた姿を指差してみせた。
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僕は後ろに飛びのいた。もちろんそこは岩の板で、それ以上後ずさりようはなかったのだが。その人は、意味不明のうめき声をあげながら、四つん這いでじりじりと僕に迫ってくる。
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