待ってもらおう
17 の例文
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林の向うに、青磁色の鴟尾を載せた博物館の屋根が見えていた。「図書館通りで待ってもらおうか」 偶然に口から出た言葉だった。添田は、学生時代に上野の図書館に通ったものである。
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からかわれているみたいです。よっぽど、声をかけて待ってもらおうかとも思います。でもそれは、悔しい。
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私はただ、自分で決めるべきだ、と言うよりほかなかった。すると内藤は、朴との試合が終るまで返事を待ってもらおう、と呟くように言ったのだ。だが、内藤のこのトレーニング姿を見るかぎりでは、彼が夜の商売に逆戻りしてしまったことは明らかだった。
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廓の亭主にようたのんで、見世に出るのを五日待ってもらおう。そのあいだに、おれの仕官の口がきまれば、そなたをきっと買い戻しにゆく。
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俺とむかいあって坐っているため身体はテーブルに隠れて見えず、首から上と右腕だけが、俺の眼の前にぬっと出ている。「どうしよう、待ってもらおうか」 妻から見ればさらし首が喋っているように思えるであろう姿勢で、俺は視線を水平にして妻を見た。「でも、悪いわよ」 コーヒーをひとくち飲んで彼女は言った。
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いいえ、どうぞそうさしておくんなさい、大したことならば帰るまで待ってもらおうし、そんなでも無いなら遣って可いのを持っているから。
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ティムは息をつめた。「待ってもらおう」 男はついにいった。
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ちずるの姿を思いうかべて、それで覚悟が決まる。「あの、すみません」 とりあえずあり金すべてを置いて、残りはちょっと待ってもらおう。そう頼みこもうとした瞬間、耕太の眼前を、すっとお札が通っていった。
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事件そのものがさしたることではないと暗示するようにしながら、そんな些細な事件に本宮を引き出すことによって、彼の大物としての矜持をさりげなく損なっている。「身支度するまで、ちょっと待ってもらおう」 本宮は尊大な口調を取り戻していた。「ご朝食は用意してあります」 すかさず那須が言った。
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しかし、ぼくがなにか食い終るまで待ってもらおう。
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しばらく待ってもらおう。
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琴浦を茶屋に逃がす間もなく、佐賀右衛門の子分の侠客一寸徳兵衛が現れる。「ちょっと待ってもらおうかい」「待ていうのはわしのことかい」「そうよ」「乙に時代に出かけたな」と双方にらみ合いとなって、ついに争いとなる。「言うをも聞かぬ攫み合い、打ちつ打たれつ止めても、踏み飛ばすやら蹴飛ばすやら、止めぬ仕様も並び立つ、辻札取って二人が中へ、横にこかして機転の楯」の浄瑠璃の通りに二人の争いをお梶が「曽根崎心中」の絵看板で止めに入り、徳兵衛はお梶が以前、自身の難儀を救ってくれた恩人とわかり謝罪する。
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春香もメニューを見ながらうんうんと悩んでいる。よし、ここはもうちょい待ってもらおう。
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「ありますとも、私はその邸の者だが、お前さんに見覚えがないからね」 用人は嘲ってその驚く顔を見ようとしたが旅僧は平気であった。「見覚えがないかも判らないよ」 「おっと、待ってもらおうか、私は其処の用人だから、毎日詰めていない日はないが、この私が知らない人が、その邸にいる理がないよ、きっと邸の名前がちがっているのだろう」 用人はまた嘲笑った。「ところが違わない」 「違わないことがあるものか、ちがわないと云うなら、お前さんは、邸の名を騙る売僧じゃ」 用人は憤りだした。
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相隔たること約一間。「おお、その舟、ちょっと待ってもらおうか」 佐七が声をかけたせつな、あいてはもうこれまでと思ったのか、こぐ手をやめると、いきなり葛籠に手をかける。どうやら川に沈めるつもりらしい。
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ほっかむりの男は、背中に大きなつづらを背負っているのである。その男が、伊丹屋の角をまがろうとしたとき、 「おい、兄さん、ちょっと待ってもらおうか」 佐七が声をかけるとともに、三人はバラバラと天水桶のかげからとび出したが、いや、そのときのあいての驚いたこと。
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