彼は漸く

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  • 十一時頃になって、彼は漸く下に降りて行き、家を出て、隣の家に行った。 ロレンス/吉田健一訳『息子と恋人 下巻』より引用
  • そうして、彼はようやく砂の上から額を上げると彼女の方へ手を延ばした。 横光利一『日輪』より引用
  • 何秒かたつてから彼は漸く動くことが出來た。 スティーブンソン・ロバート・ルイス『医師と旅行鞄の話』より引用
  • 出発の日の朝、彼は漸く兄に借金のことを話しかけてみた。 原民喜『永遠のみどり』より引用
  • 彼は漸く故国に帰り着くことが出来たかのような心でもって、葉と葉の奥に日のあたった庭の見える縁先へ行った。 島崎藤村『新生』より引用
  • そしてその頃から彼は漸く彼の意識的藝術活動そのものをも棄て去つて行つたやうに見える。 堀辰雄『芥川竜之介論』より引用
  • その故に彼は漸く家庭の楽からざるをも感ずるにあらずや。 尾崎紅葉『金色夜叉』より引用
  • 先刻さっきから落付おちついていた姉が、またはげしくき出した時、彼はようやく口を閉じた。 夏目漱石『道草』より引用
  • 彼は漸くのことでクララの手を掴むことができて、自分が立っている所まで引き降した。 ロレンス/吉田健一訳『息子と恋人 下巻』より引用
  • 産婆が声高く笑い出し、秋子が口許に微笑を浮べたので、彼は漸く安心した。 豊島与志雄『幻の彼方』より引用
  • 自分にも聞かれる程波打った動悸が五分十分と経つうちにだんだん低くなって彼は漸く忌々しさを意識した。 長塚節『太十と其犬』より引用
  • 妻が一日の務めを終へて眠くなる頃に彼は漸く起きだして、これからF村へ帰らうかなどと云ふのであつた。 牧野信一『F村での春』より引用
  • 彼はようやく、ガランとした郊外電車に身を委すことが出来た。 橋本五郎『自殺を買う話』より引用
  • 彼はようやく出した手を引いた。 夏目漱石『道草』より引用
  • 彼は漸く三日間の辛い責苦を逃れる事が出来たのだった。 甲賀三郎『支倉事件』より引用
  • 彼は漸く高等工業学校の門に辿りついた。 甲賀三郎『支倉事件』より引用
  • 彼は漸く普通の人の断案に帰着する事が出来た。 夏目漱石『道草』より引用
  • そして何時間かの後、もう日脚が隣家の屋根に遮られてしまった頃、彼は漸く足を洗って上ってきた。 豊島与志雄『或る素描』より引用
  • そうして、彼の頭の上を乗り越えて消えて行くと、彼はようやく半身を起して宮殿の方を見続けた。 横光利一『日輪』より引用
  • 彼は漸く階下したに降りて、自分の部屋に入ったけれども、落ちついてぢっと椅子に腰をおろしてゐるわけにも、描きかけの絵を見てゐることも出来なかった。 素木しづ『秋は淋しい』より引用
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