彩る
全て
動詞
531 の用例
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こうしてチョコを渡す場所を決める会議は昼休憩いっぱい続けられた。
出てきた候補は先輩の趣味に彩られた、あれな感じのものばかりだった。
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沖田雅『先輩とぼく 01』より引用
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真の姿でその力を振るう。
人を守る時ですら、守られた人の顔が恐怖に彩られているかもしれない。
では、自らの目的のために振るった時はなおのこと。
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支倉凍砂『狼と香辛料Ⅹ』より引用
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一日に何十回となく彼に電話をかけたいという衝動と闘い、結局、自分のほうからかける勇気はなくて、ひたすら相手からの連絡を待つ、そのつらさ。
そしてそれは、同時に心ときめくような期待感に彩られてもいるわけだ。
彼に逢ったらああも言おう、こんなこともしゃべってみようと考えていたことなど、いったん眼の前に好きな相手があらわれてしまえば、あとかたもなく忘れてしまって、ただもう飼い主を思う忠実な犬のような、熱いぬれた眼で彼をみつめてしまう日々。
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森瑤子『恋愛関係』より引用
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黙想会や聖体訪問の祈りに参加したときのことなど宗教行事に関連した話が多かった。
つまり幼いときから彼女の生活のすべては宗教に彩られていたのだ。
また、そういった宗教儀式の話からひきだした教訓でなんとか僕を教化しようという意図が仄見えてもいる。
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花村萬月『ゲルマニウムの夜 王国記』より引用
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内容はわからない。
古賀の表情が絶望に彩られたのを見ると、申し込みは失敗したのだろう。
おっ、強引に押し入った!
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菊地秀行『トレジャー・ハンター09 エイリアン京洛異妖篇』より引用
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愛が持てればそれに越したことはないが、なくてもいっこうにかまわない。
恋愛なんてものは人生を彩るアクセサリーか、お酒みたいなものだから。
そこまで考えると、私は「華族画報」を開いた。
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酒井美意子『ある華族の昭和史』より引用
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淡い光に包まれて見える。
彼らの周囲は、この世ならぬ精霊の世界の、不思議な光に彩られている。
神秘的な光景を目の前に、リディアは畏れを感じながらも、不安げなルースのために、気丈な声を張り上げた。
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谷瑞恵『伯爵と妖精 第08巻 駆け落ちは月夜を待って』より引用
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本物のラクダがいきかい、民族音楽が奏でられ、本当に楽しい夜だったと今でも語りぐさになっている。
不景気な話ばかりの東京の夜を、あの日ばかりは花火が彩ったのである。
その話を聞いて、宝塚にいた千花も、仕事で行けなかった萌も、どれほど口惜しい思いをしたことだろう。
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林真理子『野ばら』より引用
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二十年の時を隔てて、康臣の感性と記憶が、自分の中に流れ込んでくるのがはっきり感じられる。
いくつもの透明な光に彩られた世界が、屹立する岩峰の向こうに見える。
瑞穂は両手を伸ばした。
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篠田節子『カノン』より引用
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俺の思考を混乱させようとしているとすれば、確かにストレートなやり口だ。
それにしてはこいつの顔は素直に感嘆しているような表情に彩られているが。
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谷川流『涼宮ハルヒの驚愕(前)』より引用
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成虫は大きな翅をもつが、中にはアオスジアゲハのようにわりと小さな翅をもち速く飛びまわるものもいる。
翅の鱗粉は種類によって黒・白・赤・黄・青・緑など様々に彩られている。
また後翅の縁には大小の突起があり、特に後翅から斜め後方に伸びる長い突起のことを尾状突起という。
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自宅の俺の部屋ではない。
朝か夕方か、透明感のあるオレンジ色の光が天井同様白い壁を彩っていた。
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谷川流『涼宮ハルヒの消失』より引用
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その間をぬって、使い走りか、前垂れにたすき掛けの商家の小僧さんが駆け抜ける。
通りを彩る立看板や屋根看板も、春の光の下、色合いもいっそう美しい。
お江戸はなんてきれいな町だこと。
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宮部みゆき『かまいたち』より引用
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嘴は赤と青で彩られ、目のあたりを残して、あとは真っ黒だ。
中から現れた人間とも動物ともつかぬ顔も、赤と黒で彩られている。
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三浦綾子『海嶺(中)』より引用
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目の端に、柴田要と、いかにも刑事らしいその連れが近づいてくるのが見えた。
自信たっぷりだった中年女性の顔が、徐々に不安と混乱に彩られていく。
わたしは今後二度とイタリア料理を奢られるのはお断りだと思いながら、わたしからの電話に対応した岸本滋・新国市役所保健衛生課課長の声を思い返していた。
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若竹七海『依頼人は死んだ』より引用
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歩き去るエルドリエの背中、眩いほどに白いマントの上で揺れる藤色の巻き毛の輝きが瞼の裏にのこり、ちくちくと眼の奥を疼かせる。
かつては、自分の背中も同じように誇り高い光に彩られていたはずだ。
己の剣で世界を、正義を、あまねく善なるものを護っているのだという揺るぎない確信がいかなるときも指先までに強く行き渡っていた。
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九里史生『SAO Web 0405 第七章02~転生Ⅱ』より引用
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教会の建物ごしに広がる村の灯が、ひとつつき、ふたつついた。
それは地上に落ちた星のように、ひそやかに慎ましく、夜の底を彩った。
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久美沙織『ドラゴンクエスト5 第1巻 文庫版』より引用
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思い出しかけていたものがきれいに姿を消した。
それほどまでの絶望と憎悪に彩られた声を、おれは聞いたことがなかった。
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馳星周『夜光虫』より引用
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砂地に生き埋めにされて苦悶しているような女の生首がある。
かと思うと、アイシャドウに彩られた女の眸だけが画面いっぱいにある。
人形のように欠けている女の顔半分がある。
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小堺昭三『カメラマンたちの昭和史(5)』より引用
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藤原氏の家伝も同じような説話を記述している。
明らかに英雄物語を彩るためのエピソードであって事実ではない。
ただ飛鳥寺の傍の槻林に集会場のようなものがあったことは発掘によっても確認されている。
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黒岩重吾『落日の王子 蘇我入鹿(下)』より引用