廃屋じみ
3 の例文
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あまにも日常的な風景。建物が廃屋じみており、灯火がまったくないことだけが日常性を欠いている。あまりにも単純な、けれども根本的な異常。
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食事はいつ調えられるのか、大きな食堂の長方形のテーブルに、二人前ずつ並べられた。廃屋じみて誰もいない母屋は、荘重な家具の類を並べながら、その秘密を明かそうとはしなかった。庭は四方に拡がり、惟之がどう探し歩いても涯にあるべき石塀も潜り戸も見当らず、いつかまた母屋の近くに立戻るように出来ていた。
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氷沼家の一族は、眼に見えぬ手でここまで追いつめられ、あと何者かの指の一突きが加えられただけで、真逆様に暗黒の淵に落下してゆくほかはないであろう。墓参を済ませたあと、仕残した荷物の整理をするという彼に従って、あとの三人も目白へ立寄ったが、表札も剥がされ、廃屋じみて静まった家へ入ってゆく後姿を見ていると、氷沼家の崩壊は、もうすでに完了したと思うほかはなかった。
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