已にその

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  • これを対象として意識する時には、すでにその作用は過去に属するのである。 西田幾多郎『善の研究』より引用
  • これに反して私費を以て東京に往こうとするものがあると、藩はすでにその人の脱藩を疑った。 森鴎外『渋江抽斎』より引用
  • 少くとも私の書いたものが発売禁止になつたら最後、その時こそは直ぐに免官になる筈だといふ噂が、まことしやかに立てられて居り、私自身も已にその覚悟を決めてゐた。 河上肇『随筆「断片」』より引用
  • 已にその瞬間、僕は鋭い叫び声をきいたのみで、偉大なる博士の姿は蹴飛ばされた扉の向ふ側に見失つてゐた。 坂口安吾『風博士』より引用
  • 之に代つた大西洋時代は、今日已にその絶頂に達し、やがて、衰微すべき運命を持つて居る。 桑原隲蔵『東洋史上より観たる明治時代の発展』より引用
  • すでにその領域に入れば田疇でんちゅう悉く治まり草莱そうらい甚だひら溝洫こうきょくは深く整っている。 中島敦『李陵・山月記』より引用
  • すでにその瞬間、僕は鋭い叫び声をきいたのみで、偉大なる博士の姿は蹴飛ばされた扉の向う側に見失っていた。 坂口安吾『風博士』より引用
  • 昨集むる所の『新俳句』は刊行に際する今已にそのいくばくか幼稚なるを感ず。 正岡子規『墨汁一滴』より引用
  • この考は已にその根本的の仮定において誤っている。 西田幾多郎『善の研究』より引用
  • さういふ疑念もさることながらこの婦人の例の如く淡々とした歯切れのよい語調の裏には、最も繊細な叡智によつて包まれた微妙な揶揄が、私の野暮な疑念に向つて已にその複雑な伏線をふせてゐるやうにすら思はれたのだつた。 坂口安吾『狼園』より引用
  • 中学を卒へてから私は遊学のため上京叔父のもとへころがりこんだが、已にそのころ満身創痍の態にあつた傷心の叔父に懇望され、夏は山、冬は南海へといふ式にまことに道行のやうな愚劣な旅をつづけねばならず、帰省する折がなかつた。 坂口安吾『狼園』より引用
  • すでにその領域に入れば田疇でんちゅうことごとく治まり草莱そうらい甚だひら溝洫こうきょくは深く整っている。 中島敦『弟子』より引用
  • 稲垣の下男丈助が悪人に語らわれて主人を破滅に陥れ、素知らぬ顔で矢切村の実家へ立ち寄ると、母のおしのはすでにその秘密を知っていて、わが子にだまされたような顔をしながら、不意に短刀を丈助の脇腹に突き立てる。 岡本綺堂『寄席と芝居と』より引用