少々
全て
副詞
10,165 の用例
(0.02 秒)
-
少々気が触れてるんじゃないかしらといささか警戒を加えたくなります。
してみると、我々の文句長く云えば叙述はやっぱり前に説明した六通りの中間を左へ出たり右へ出たりして好い加減に都合の好いところで用を足しているに違ない。
…
夏目漱石『創作家の態度』より引用
-
そこは警察の役人でない有難さ。
君はどう思ったか知らないが、大佐の態度は僕には少々素気なさすぎた。
だから費用は先持ちで、ちょっとばかり面白いことをしてやろうと思うんだ。
…
三上於菟吉『白銀の失踪』より引用
-
うまい飯を喰ふ事は勿論必要であるけれども、その介抱人に同情がなかつた時には甚だ不愉快に感ずる場合が多いであらう。
介抱人に同情さへあれば少々物のやり方が悪くても腹の立つものでない。
けれども同情的看護人は容易に得られぬ者とすれば勿論形式的の看護人だけでもどれだけ病人を慰めるかわからぬ。
…
正岡子規『病牀六尺』より引用
-
AGI型らしく、正面戦闘での回避力はなかなかのものだったが、レベル的にも装備的にも情報を記憶しておくほどの相手ではない。
相手の名前を少々苦労して思い出しながら、シノンは小さく頭を下げた。
…
九里史生『SAO Web 03』より引用
-
それから一週間許たった風の強い日に〆て十銭也とかき出しのついた大きい足袋が二足じいやの所にとどけて来た。
爪の先がもう少々白くなって居るが今はいて居るのがその足袋である。
十二文のコウ高の足袋もじいやの足が入るとはちきれそうにいっぱいである。
…
宮本百合子『大きい足袋』より引用
-
それから着物の裾のシツケ糸をぬいて、それを二重によりあわせて、ともかくも結びつけた。
鼻の上にかけてみると少々工合は変だけれど、物を見るに差支えはない。
ああ真にこれで助かった!
…
堺利彦『獄中生活』より引用
-
ただ、隅っこの方から、一生懸命にわたくしを見つめていましたが、だんだんと窓の方にもたれかかって、学校のおさらえでもしているように見せかけていましたが、おさらえなんぞに気をとられていないことは、わたくしによくわかりました。
次の日は少々飲みましたので、たいていのことは忘れてしまいました。
罪の深い男で、ただ憂さ晴らしのために飲んだんでございますよ。
…
中山省三郎『カラマゾフの兄弟』より引用
-
そう云った身拵えで、早稲田の奥まで来て下すって、例の講演は十一月の末まで繰り延ばす事にしたから約束通りやってもらいたいというご口上なのです。
私はもう責任を逃れたように考えていたものですから実は少々驚ろきました。
しかしまだ一カ月も余裕があるから、その間にどうかなるだろうと思って、よろしゅうございますとまたご返事を致しました。
…
夏目漱石『私の個人主義』より引用
-
僕は黙ってしまった。
少々、角顋の頭が、没論理に出来上っているような気がしたからである。
が、また、別な疑問が起って来た。
…
芥川竜之介『Mensura Zoili』より引用
-
手燭をつけて一匹ずつ焼くなんて面倒な事は出来ないから、釣手をはずして、長く畳んでおいて部屋の中で横竪十文字に振ったら、環が飛んで手の甲をいやというほど撲った。
三度目に床へはいった時は少々落ち付いたがなかなか寝られない。
時計を見ると十時半だ。
…
夏目漱石『坊っちゃん』より引用
-
飛行機を買ってから、最初は見よう見真似で操縦を習ったという。
乗りたいかとたずねられ、少々こわかったが、乗せてもらうことにした。
三人でセスナを小屋から押して出し、勢いよくプロペラをまわすと、簡単に離陸した。
…
阿川尚之『アメリカが嫌いですか』より引用
-
わたしがふと目を離した瞬間に、いつのまにか移動し、ポーズを変化させている。
アニメのように動くところを想像していたわたしには、少々、意外だった。
その意味で彼は、アニメというより、漫画に近い。
…
乙一『平面いぬ。』より引用
-
彼の作品は私の心を打った。
チークに似た茶色の木で、先ほどの黒い木よりは少々柔かそうであった。
高さ四十センチほどのこの面はよく見ると死人の顔であった。
…
豊田穣『南十字星の戦場』より引用
-
お姉さんたちは食後のクリームあんみつを食べながら激励してくれた。
私はここでは一番年下だから、少々の失敗は大目にみてもらえるだろう。
しかしそれが、仕事に慣れればちゃんとできるようになるのか、それともこれが自分の能力の限界なのかとても心配だ。
…
群ようこ『無印OL物語』より引用
-
正直なところ、そんなことを訊かれてわたしは少々あつけに取られた。
平井肇『ディカーニカ近郷夜話 前篇』より引用
-
しかしさしあたってわれわれはファブリツィオをパルマの城砦のてっぺんにある獄中に残しておかねばならない。
監視は厳重で、今度会うときには彼も少々変わっているかもしれない。
まず何よりもわれわれは宮廷を見ることにする。
…
スタンダール/大久保和郎訳『パルムの僧院(下)』より引用
-
しばらくして、君は旅順に行った事があるかとまた同じ事を尋ね出した。
少々変だが面倒だから、いやまだだと、こっちも前同様な返事をしておいた。
…
夏目漱石『満韓ところどころ』より引用
-
つまり、それが出来ないなら云々というところは、どうかのみこんで下さい。
どうも私はあれをきくと少々気の変になった驢馬めいた気持になるらしいから。
何だかデスペレートになってしまう。
…
宮本百合子『獄中への手紙』より引用
-
プリントされたものは即ゴミ箱行きだが、手書きのものを封を切らずに捨てることはまずない、という取引先の社長の依頼で、女子社員一同でやらされたのだ。
少々勘違いしてると思われるツネコからは毎日会社に電話がかかってきた。
…
群ようこ『無印OL物語』より引用
-
ところが、次に、徳川夢声君といふ難物のために、稽古の便を計つて、小人数の一幕を考へねばならぬ段になり、ふと頭に浮んだのが、辰野氏の「父と子」である。
これが偶然、誂へ向きの男ばかりとは、少々くすぐつたい次第であつた。
さて、もう一つは、小山祐士君の「魚族」であるが、これは、同作者の代表作「瀬戸内海の子供ら」の「妹」たるべき佳作で、みつちり稽古のし甲斐のあるものである。
…
岸田国士『今度の出し物について』より引用