実に柔和
4 の例文
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彼は毎日、家のまわりを、ひとりで逍遥して、独りでニヤニヤしていた。そういう時の彼の笑い顔は、実に柔和で、明るいかがやきが溢れている。人の性格や境遇が、その時々に依って、ありのままに人相にあらわれるものならば、彼は現在、よほど幸福であるにちがいなかった。
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にこにこしていれば実に柔和だが、これ以上に表情が読めない相手もそうそういない。ロレンスは、商談相手でなかったことに心底ほっとした。
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その支那人やインド人やはみな泥棒みたいな商人ばかりでいやだったが、道で働いている労働者の支那人やインド人は土人と同じような実に見すぼらしいものだった。ことにインド人が、あの真黒なちょっと恐そうな目つきをしていながら、そばへ寄って見ると実に柔和そうないい顔をしているのには、なおさらに心をひかれた。この支那人やインド人や土人の苦力どもは、まるで犬か馬かのように、その痩せ細った裸のからだを棒でぶたれたり靴で蹴られたりしながら、働いているのだ。
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デンマークは実に牛乳をもって立つ国であるということができます。トーヴァルセンを出して世界の彫刻術に一新紀元を劃し、アンデルセンを出して近世お伽話の元祖たらしめ、キェルケゴールを出して無教会主義のキリスト教を世界に唱えしめしデンマークは、実に柔和なる牝牛の産をもって立つ小にして静かなる国であります。しかるに今を去る四十年前のデンマークはもっとも憐れなる国でありました。
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