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彼は庭鳥の啼く前にペテロさへ三度クリストを知らないと云ふことを承知してゐた。
彼の言葉はその外にも如何に我々人間の弱いかと云ふことを教へてゐる。
しかも彼は彼自身もやはり弱いことを忘れてゐた。
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芥川竜之介『続西方の人』より引用
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民子は指の先で僕の肩を撞いた。
僕も承知しているのだ、今御膳会議で二人の噂が如何に盛んであったか。
宵祭ではあり十三夜ではあるので、家中表座敷へ揃うた時、母も奥から起きてきた。
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伊藤左千夫『野菊の墓』より引用
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宮川町が見える「八尾政」へビールをのみにはいったりすると、もうそれは決定的なものになったという顔をするのである。
そしてそのための資金を如何にして作るべきかをしきりに考えるのである。
京都にある二軒の親戚からはもうこれ以上借りられないぐらい借金してしまった。
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織田作之助『青春の逆説』より引用
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これはしまつた、と強いショックを受けたが如何することもできません。
赤旗を擁護して戰つた人々の中には若い娘さん達もゐました。
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石川三四郎『浪』より引用
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刑法上の逮捕と同じような威嚇の方法で君を捕える。
如何に貧窮なものも、誰一人としてこの逮捕から逃げることは出来ない。
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黒島伝治『反戦文学論』より引用
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失敗をごまかそうとするのではない。
この失敗を如何にして成功の道へ転換させようかと工夫するのである。
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上村松園『棲霞軒雑記』より引用
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併し恭三は父が如何に酔っても全く我を忘れることはないと思って居た。
他の人にはそう見えても恭三のみには如何してもそう思われなかった。
無学無知な一漁夫に過ぎぬけれど酔うた時には何となく感慨の深いことを言う。
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加能作次郎『恭三の父』より引用
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此の如き大学の組織である以上、吾々にとっては殆んど無意味である。
そうすると如何しても今のところ小学校が一番重大な使命をもっている。
又小学校の時分に与えられた感化程深刻なものはない。
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小川未明『人間性の深奥に立って』より引用
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婦人労働者は自己の位置を一時的と考へ、最初の入札者によつて投げ出さるることを予期してゐる。
それが男子より婦人を組織するの如何に困難であるかの理由である。
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ゴールドマン・エマ『結婚と恋愛』より引用
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それを舞台の上に実際に活かし出すことは、文字通り俳優の精神と肉体なんですから、舞台の人物をどんな意味に於いても、ほんとに魅力ある存在にするのは、俳優自身についてゐる一切のものを外にして、いつたい、何があるといふのですか。
脚本の魅力は、これは、俳優の力如何によつて、どうにでもなるものだ。
つまり俳優が舞台の上で脚本によつかかつてゐる、つまり脚本の力に引きずられてゐるといふ状態では、舞台は決して面白くならない。
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岸田国士『対話』より引用
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それは排撃の理由にならぬ。
如何に排撃しようと、科学小説時代の温床は十分に用意されているのだ。
彼等はいまに、自分が時代に遅れたる作家であったことを悟るであろう。
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海野十三『『地球盗難』の作者の言葉』より引用
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一人でも二人でも、そこに気付いた人は一人でも二人でも忍耐によってのみ成就される長い旅に上らなければならない。
私はよくそれが如何に不可能事に近いとさえ思われる困難な道であるかを知る。
私もまたその狂いの中に生れて育って来た憐れな一人の男性に過ぎない。
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有島武郎『惜みなく愛は奪う』より引用
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赤沢荘三郎以外の人物である。
とすれば、あの荘三郎との外観的な驚くほどの類似を如何に説明するか。
答は簡単である。
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酒井嘉七『ある完全犯罪人の手記』より引用
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吾々はこの近代文化の本質とも見るべき分業制度を如何に取扱ふべきか。
この制度は吾々の社会生活が発展して行くに連れて益々増大するであらうか。
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石川三四郎『社会的分業論』より引用
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新しい郷土の理想化は、一面において夢であり、同時に現実に繋がるものであります。
この夢は如何に美しく大きく描かれても描きすぎることはありません。
そして現実と夢を結び付ける力は、私は文化部門の職域となる人々にあると思ひます。
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岸田国士『生活力の強化』より引用
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遠大にして革命的な思想は又万人の歓喜であり希望であつた。
パイオニヤアは彼等の進みゆく道の如何に険悪であるかを自覚してゐた。
あらゆる迫害と反抗と艱難と痛苦とが彼等を待つてゐるといふ事を知りぬいてゐた。
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ゴールドマン・エマ『少数と多数』より引用
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丘田はチェリーの唯ならぬ様子からそれと察して、幸い独身者の気楽な自分の家へ連れてかえったのだ。
その後、二人の仲が如何に発展したか、それは云うまでもないことである。
ところで金のところにあったヘロインの袋は一体誰が盗んだのか。
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海野十三『ゴールデン・バット事件』より引用
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彼等の最洗練せられた技巧は、其部に見えてゐる。
如何にして、語の陰を多く重ね、幻影を匂ひやかにすることが出来るか。
どうすれば、気分効果を深め、愛執纏綿の情調を出す事が出来ようか。
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折口信夫『短歌本質成立の時代』より引用
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或ロシア人は或時のクリストの如何に神に近かつたかを知つてゐない。
が、四人の伝記作者たちはいづれもこの事実に注目してゐた。
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芥川竜之介『続西方の人』より引用
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况んや若しも歐米流に姓名を轉倒するときは、こゝに覿面に起る難問がある。
それは過去の歴史的人物を呼ぶ時に如何にするかといふ事である。
徳川家康と書かずして家康徳川といい、楠正成と書かずして正成楠といひ、紀貫之と書かずして貫之紀といふべきか。
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伊東忠太『誤まれる姓名の逆列』より引用