女女しく
11 の例文
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この女女しい恋の歴史のなかで、多少なりとも積極的だったのは、思えばそのころであったろう。彼女は旧かなづかいの、いかにも城下町の古風な家のしずけさを思わせる美しいペン字で、かならず返信をしてくれた。
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曾根の家の者がきたら、喜んで介添え役を買って出ようと思ったのである。そもそも一家の主が、女女しく死児の齢を数えるようなことをするべきではなかった。そんなことでは、子を死なせて心の平衡を見失った妻を大きく抱擁することなど思いもよらないし、女児をないがしろにするようで直江がかわいそうではないかと思った。
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繰り返して申しますが、自分の光を浄く信じればこそ、他の国の光をも完全に認め得られるということを強く信じて下さい。これを傲慢になることだと思うような、女女しい思いは夢夢なさらぬように、僕は僕たち日本人ほど他の国国に愛情を瀝いで来た人種もまた少いと思い、ひそかにそれを美徳と思うものであります。それは瞭らかに歴史に出ている、偽りのない純粋無垢な愛情です。
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そう思ったとき八郎は、もう一度火のようなものが身体の中を走り抜けたような気がした。長い逃亡の暮らしの中で、背をまるめ首を垂れ、ときには女女しくさえあった精神が、不屈に顔をもたげたのを感じた。
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そう云えば今夜ばかりでなく、近頃ときどきこんなことがあるのは、矢張り歳のせいかも知れない。若い時分にはそんな女女しい気持ちなど起ったことがなく、たまに起っても酒色の楽しみに浸っていれば直ぐに紛れてしまったものだが、今では反対に、それが折角の楽しみの妨げをしようとするのである。
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「どんな飛行機に乗せてもらえるのかね」 「シルフィードです」とローラン大佐。なんとまあ、ランダーは薄笑いをうかべた、女女しい名だろう。彼は髪をかきあげる。
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ふだんなら、そんな女女しいふるまいをしたらこの捜一の大部屋の中にいる、二百人の猛者刑事全員の激しい非難の目にさらされる。二度とこの光栄ある、警視庁随一のエリート集団の仲間に入れてもらえないところだが、今日はこの大部屋の全員が、みな同じような気持だったので、誰も峯岸見習を咎めだてするような目では見なかった。
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その席で、芸者が語った蘭蝶のひと節が、八郎の胸をえぐったのである。「女女しいことを書きつける、と思ったろう」 「いや、そうは思いません」 山岡は正座して頭をさげた。
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矢代は鏡に映った自分の顔を眺めながら、さも安心しきったようなほくほくとしているその顔のどこに価いがあるのか分らなかった。しかし、とにかく、理性で讃美しかねる事柄に屈服してしまった女女しい顔の喜び勇んだ有様は、ある勇敢な野獣の美しささえ頬に湛えているので、われながらあっばれ討死したものだと一層後悔もなくのんびりとして来て、ある憎憎しさもまた同時に自分の顔から感じるのだった。それにしてもどうしてまたこんな風になったものだろう。
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当市役所発行の文書類では、今後いっさい、「姑」も「嫉妬」も「女子供」も「女女しい」も使いません、と宣言して『女性に対する差別用語廃止ガイドブック』なる小冊子を編集・発行することになった、という記事を読んで、うーん、あそこならやりかねないな、と思ったことをおぼえている。東京都小金井市。
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