奥村
全て
名詞
1,422 の用例
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窓の外の闇は、どうやら明け方に近いらしかつた。
それつきり少年は、奥村さんの顔を見たことも声を聞いたこともない。
いつの間にか奥村さんは消えてゐた。
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神西清『地獄』より引用
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子孫は加賀八家のうち二家を担い、代々家老を務めた。
また、江戸時代末期の子孫は奥村助右衛門の名前を継承したといわれる。
三男の栄頼は藩主・前田利常の信任厚かったが、大坂冬の陣で真田信繁相手に敗戦したことで面目を失い、また、かつて出奔に追い込んだ政敵の横山長知の帰参に不満だったこともあり加賀藩を退去した。
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食堂の内装もな、少しでも故郷を偲ぶよすがにと奥村は思ったんやろな。
食堂に配膳の窓があるやろ。
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三浦綾子『ちいろば先生物語』より引用
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明日出発と聞いて、保郎は何とか一言奥村に別れを告げたいと思った。
保定に来てからは、編成上奥村とは滅多に顔を合わせることがなかった。
何しろ数千人の幹部候補生たちがいるのだ。
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三浦綾子『ちいろば先生物語』より引用
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明日出発と聞いて、保郎は何とか一言奥村に別れを告げたいと思った。
保定に来てからは、編成上奥村とは滅多に顔を合わせることがなかった。
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三浦綾子『ちいろば先生物語』より引用
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保郎は背を向けて歩き出した。
しかし、毎日のようにキリストを語らずにはいられない奥村を思った。
幹部候補生の試験に、不利を承知で、はっきりと自分の信仰を告げた奥村を思った。
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三浦綾子『ちいろば先生物語』より引用
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ぼつぼつ霧がふえて来て、頂上で、噴火口の中にたまった蒼い水の、いわゆる白根のお釜を見物していた客もぞろぞろと下山して行く。
こんな霧の状態で上って行くのはきよ子と奥村ぐらいのものであった。
それでも頂上にたどりつくと、お釜はまだ、うっすらと蒼い水面をみせていた。
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平岩弓枝『湯の宿の女』より引用
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洋楽は禁じられた。
そんな中に育った保郎が、奥村光林を警戒したのは、極めて自然であった。
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三浦綾子『ちいろば先生物語』より引用
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以前は、キリスト教信者は将校になれぬとされていた。
そのことを知っての奥村のあの行動は、保郎をひどく驚かせたものだった。
保郎は不意に、その本を読んでみたくなった。
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三浦綾子『ちいろば先生物語』より引用
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そう思った時に、忘れていた檜造りの疑問が湧いた。
隣の尼寺の前に来ると、先ほど奥村家を教えてくれた女がやって来た。
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三浦綾子『ちいろば先生物語』より引用
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氏については、綾子は本書の「黄塵」「敗退」以下、かなりの頁を割いている。
奥村光林氏との出会い、これも私たち夫婦にとって大きな恵みであった。
先年氏は天に召されたがご一家とはその後も長くお交わりをいただいて、今日に及んでいる。
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三浦光世『三浦綾子創作秘話』より引用
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暫く紙をめくる音がして、奥村さんは別の書類らしいものを持つて静かに出て行つた。
その時はじめて少年は、奥村さんの起居してゐる場所を意識にのぼせた。
中二階へのぼる梯子段が、かすかに鳴つたからである。
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神西清『地獄』より引用
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保郎は黙ってうなずいた。
泣き出した兵隊を見つめながら、自分も泣いたであろう奥村の姿を思った。
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三浦綾子『ちいろば先生物語』より引用
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と奥村は言った。
奥村は四十を過ぎたばかりで、大きな身体と大きな声を持っている。
額などはてらてら光っていて、男ざかりという印象があった。
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藤沢周平『風の果て(下)』より引用
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しの子は、そういって笑っていたが、それでも、きよ子は用心に用心をした。
なにかのはずみに奥村と顔を合わせるようなことがあってはならない。
幸い、きよ子の受持は本館の部屋であったから、めったに、はなれ屋のほうへ行く機会もなかったのだ。
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平岩弓枝『湯の宿の女』より引用
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大介の感能が危機を告げたのは、このときである。
奥村弥五兵衛と会った夜以来、大介は危険な尾行者の気配を感じていない。
三日ぶりに、相手は、また尾行を開始したのだ。
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池波正太郎『火の国の城 上』より引用
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保郎は思わず、奥村要平牧師のように畳にひれ伏して、神の名を呼んだ。
三浦綾子『ちいろば先生物語』より引用
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奥村君はぼくよりも、陽子さんにつきあいたかったのかもしれません。
そうそう、娯楽室を出るとき時計を見たら、ちょうど四時でした。
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横溝正史『金田一耕助ファイル08 迷路荘の惨劇 v0.9』より引用
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ましてや溶姫お附の用人となると権勢は大そうなものである。
その奥村大膳と、水野美濃守とはしばしば連絡がとれているらしいのだ。
林肥後守がそれを聞いて安心顔をしている。
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松本清張『かげろう絵図(上)』より引用
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人に聞かれたくない話を始めるために、奥村が人払いしたというのが、祥子にはわかった。
座敷に奥村と二人残されると、急にあたりが静まりかえったような気がした。
天井の高い部屋は薄暗く、煤けた柱にかけられた時計の時をきざむ音だけが、高く響く。
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篠田節子『レクイエム』より引用