夜ぐ
全て
名詞
18 の例文
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ぼくらはまたかわいてミリミリ言わなくちゃならない。お前さんも今のうちに、いい夜具のしたくをしておいた方がいいだろう。幸いぼくのすぐ頭の上に、すずめが春持って来た鳥の毛やいろいろ暖かいものがたくさんあるから、いまのうちに、すこしおろして運んでおいたらどうだい。
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彼はその前へとんでいって襖をポンポンと開いてみた。中には夜具や道具が入っているばかりで糸子の着物の端ひとつ見えない。
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一月の官吏の更任期などには、院の御代はいうまでもないがその後もなお同じように二条の院の門は訪客の馬と車でうずまったのだったのに、今年は目に見えてそうした来訪者の数が少なくなった。宿直をしに来る人たちの夜具類を入れた袋もあまり見かけなくなった。親しい家司たちだけが暢気に事務を取っているのを見ても、主人である源氏は、自家の勢力の消長と人々の信頼が比例するものであることが思われておもしろくなかった。
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菜穂子は「お休みなさい」と言い、「さあ」と紗枝子の背を押すようにした。夜具の支度のことを命じたのかと思ったが、そういうわけでもなさそうだ。客間に戻ると、ちゃんと布団は敷いてあるし、枕元には水とグラスの用意まで整っている。
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部屋は六畳だった。すでに夜具が一組のべられていて、客がすぐに寝られるようになっていた。バスもトイレもついていない。
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ロシア語はまずわからない黄天だが、クロヴァティは、ふだんそばにくっついているだけに、彼のおぼえたロシア語の一つであった。彼はすぐに路地へ駈けこんでいって、それを夜具とともに運んで来た。ラスプーチンのベッドは、竹を組合わせただけの、実に粗末な軽いものであったからだ。
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燐の煙は猫いらず的作用ですから、困るわね。今年は夏になっても、冬用の夜具類を手許に置いていただきましょう。ガラスの飛び散るのやいろいろは厚い夜具をかぶればいくらかいいし、煙も掛布団の裾がたたみに密着するように、しかも空気がなるたけあるように、ふところを大きくしてかぶれば、むきだしよりもいいでしょう。
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遠航専門の甲板部の為吉とは話も合わないので、夜っぴて唸っていても、為吉は別に気に止めなかったのである。油臭い蒲団の中で、朝為吉が眼を覚ました時には、隣の夜具は空だった。彼は別に気に止めなかった。
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少し、体を動かして隣をみると、るいは行儀よく箱枕を耳の下にあてがってねむっている。夫婦同様になって何年経ったのかと、東吾は暁闇の夜具の中で指を折った。だが、こうして近くに眺めるるいは、そのむかし、幼い日に向島へ花見に出かけた帰り道、舟の中で東吾によりかかってねむってしまった頃とあまり変っていないような気がする。
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よんで、枕の横において、しばらく眠って又読みました。私はひとり明るい日の光を夜具にうけながら天井を眺めて、笑った。あなたがやっぱり小さい字をお書きになったから。
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その昏迷した眼に自分の眼を見合せると、クリストフは物狂おしい恐怖にとらえられた。彼は室の奥に逃げ出し、寝台の前に膝を折って、夜具の中に顔を埋めた。二人は長い間そのままでいた。
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やがて取り留めないことを口走るようになり、婚約者に対し自分はもうだめだ、と言った。夜具をおそるおそるめくると、体がとけて水となり頭だけが残っていた。家人が下僕を問いただし、女の家にいくと、そこは廃園だった。
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女のいた気配もなくなっている。夜具は押入れの中に姿を消し、女の衣服やハンドバッグも跡かたもない。それが、この家のきまりである。
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室内にも人気はない。こころみに夜具の中に手をさし入れてみると、まだ温みがのこっている。
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しかしその部屋に入った私が、まっ先に気づいたものは、部屋の片隅の小机の前に延べられた、クリスマス・ツリーの小さな主人の寝床だった。その床は夜具がはねのけられて、寝ていた筈の子供の姿は、見えなかった。主人を見失ったクリスマス・ツリーの銀紙の星が、キラキラ光りながら折からの風に揺れ、廻りはじめていた。
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「あたしはもう、済ませましたので」 仁吉はそう言うと、若だんなと佐助を送り出す。二人が姿を消した後、夜具を整える仁吉の口から、重いため息が漏れた。目がどこか、ここでない一点を見つめている。
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彼は寒い夜の中に夜具から顔だけ出して、細君の様子をそっと眺めた。「少し撫って遣ろうか」 起き上る事の臆劫な彼は出来るだけ口先で間に合せようとした。
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