多少
全て
副詞
20,329 の用例
(0.02 秒)
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彼がかくのごとく現在の到達点にいる所以はなんであるか。
なぜ彼は多少でも彼女に影響力というようなものを保つことができたか。
その答えは明らかであり、滑稽であり、そしていやなことでもあった。
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ストレイチー・リットン『エリザベスとエセックス』より引用
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と云ふのは今日朝から始終その少年の行動を注視したものは誰もなかつたからである。
もしさうしたならばその人には多少不思議な感じを起したかも知れない。
何故となるとこの少年はたつた一度屋根へ登つたのではないからである。
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木下杢太郎『少年の死』より引用
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その点犬猫のふざけるのと大した変化はない。
ただその組織や方法が多少複雑であり、勝負があったりする違いはある。
私などは特に犬猫に近いためか子供の時から殊更ら動くものに興味を持っていた。
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小出楢重『めでたき風景』より引用
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何か斯う全く相容れぬ力に犯されてるやうでね。
つまりそんな意識が働いて多少誇張したことになつたかも知れないんだ。
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十一谷義三郎『静物』より引用
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大体右の通りであるが、第二年度に於て多少変更されてゐる部分もある。
研究生は、単に俳優志望者のみならず、一般演劇研究者の便宜をはかり、ある科目を限り聴講を許す制度がある。
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岸田国士『俳優教育について』より引用
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恐らくは世界を支配する彼等のサムプルとするにも足りないものであらう。
が、僕等は丸善のある為に多少彼等の魂を知つてゐることは確かである。
なほ又次手につけ加へれば、彼等も亦本質的にはやはり僕等と異つてゐない。
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芥川竜之介『文芸的な、余りに文芸的な』より引用
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で、多少とも年代的に知って置かないと飛んだ恥をかくことになります。
民謡の精髄というものはやはりその土地で生れたところに生命があるのですからね。
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北原白秋『フレップ・トリップ』より引用
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そしてそのためには多少は喰われたって仕方がないと打算しているのだ。
犬田卯『瘤』より引用
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あの女はこの半年ばかり、多少ヒステリックにもなっていたのでしょう。
一時はほとんど毎日のように、今日限り三味線を持たないとかいっては、子供のように泣いていました。
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芥川竜之介『一夕話』より引用
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俺が今日いったような考えはすべての階級の人間が多少ずつは持ってるんだ。
有島武郎『星座』より引用
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大正初期の演劇界は、演劇界を挙げて、多少とも革新の熱に燃えてゐた。
新作家の新作は、期せずして、商業劇場の求めるところとも一致することが多かつた。
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岸田国士『二つの戯曲時代』より引用
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商売にならないのも無理はありません。
芸術家の心だけを多少持っているところがかえって不幸の種かも知れません。
私の知人M君もこの万さんの一人でありまして、初午の絵行灯に雁次郎の似顔でも描かせばなかなか稚気愛すべきものを描きます。
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小出楢重『楢重雑筆』より引用
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酒の多少まわってる人々が多かったから、これからが大変なことになった。
なぜなら、ただ一人村の長年の習慣を破って餅を食ってる助六に反感をいだいている人が少くなかったからである。
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坂口安吾『餅のタタリ』より引用
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彼れはそれを知りぬいていた。
事務所からは最後の手段として多少の損はしても退場さすと迫って来た。
しかし彼れは頑として動かなかった。
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有島武郎『カインの末裔』より引用
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つまり蜂の巣を壊したようだという喩え通りの大混乱に陥る。
そうなれば、いかに人間であっても、多少の被害を覚悟せにゃならない。
ここまで斜酣は演説してくると、いよいよ覚悟をきめたらしい。
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佐藤垢石『採峰徘菌愚』より引用
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と、幾島暁太郎は多少自分にも責任があるやうな気がして、さう云つた。
岸田国士『泉』より引用
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清明心を以て直入しようとした自然景情の幾篇であつた。
中には依頼された雑誌の向によつて、多少平易な表現を用ゐた作もある。
但し、之等の古調は私のものである。
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北原白秋『新頌』より引用
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僕はいつか憂鬱の中に反抗的精神の起るのを感じ、やぶれかぶれになった賭博狂のようにいろいろの本を開いて行った。
が、なぜかどの本も必ず文章か挿し画かの中に多少の針を隠していた。
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芥川竜之介『歯車』より引用
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僕はいつか憂欝の中に反抗的精神の起るのを感じ、やぶれかぶれになつた賭博狂のやうにいろいろの本を開いて行つた。
が、なぜかどの本も必ず文章か挿し画かの中に多少の針を隠してゐた。
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芥川竜之介『歯車』より引用
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神近からは何でも二十円ばかり送って来た。
そして僕は、宿屋の方の多少の払いをして、僕一人急いで東京に帰った。
神近から少しでもまとまった金をかりたのはこれが初めてなのだ。
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大杉栄『自叙伝』より引用