夕飯の仕度
61 の用例
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気持が大変貧しくなると、落書したくなる気持ち、豚カツにバナナ私は指で壁に書いてみた。
夕飯の仕度の出来るまで赤ん坊をおぶって廊下を何度も行ったり来たり。
秋江氏の家へ来て一週間あまり、先のメドもなさそうだ。
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林芙美子『放浪記(初出)』より引用
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正太がこの郊外へ訪ねて来る度に、いつも叔父は仕事々々でいそがしがっていて、その日のようにユックリ相手に成ったことはめずらしかった。
夕飯の仕度が出来るまで、二人は表の方の小さな部屋へ行ってみた。
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島崎藤村『家』より引用
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年子は、刹那の後に展開する先生との楽しき場面を想像して、胸をおどらしながら入ってゆきました。
先生のお母さんらしい人が、夕飯の仕度をしていられたらしいのが出てこられました。
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小川未明『青い星の国へ』より引用
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そのうちに、両人も東京へ行けるかも知れない。
三月半ばのある日、おしかは夕飯の仕度に為吉よりも一と足さきに畑から帰った。
すると上り口の障子の破れから投げ込まれた息子の手紙があった。
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黒島伝治『老夫婦』より引用
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それから、きいかたきいかたと妻の漕ぐ自転車の音が路地を遠ざかって行った。
妻は二十分ほどして帰ってきて、そのまま夕飯の仕度を始めた。
魚料理だったりしたらちょっと嫌かなあなどと思っていたのだが、豚肉と南瓜の入ったタイカレーで、もちろんタイカレーのタイというのは魚のタイではなく国のタイなのである。
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北野勇作『人面町四丁目』より引用
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一寸した小品と云う感じで、小説には届かない。
夕飯の仕度をして居ると静江が来、三輪へ急に行きたいと云う。
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宮本百合子『日記』より引用
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こう岸本は節子を呼んで言って、十年振りで旅から帰って来た人のために夕飯の仕度をさせた。
よくよく困った揚句に義理ある弟の家をめがけて遠く辿り着いたような鈴木の兄の相談を聞くのは後廻しとして、ともかくも岸本は疲れた旅の人を休ませようとした。
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島崎藤村『新生』より引用
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そして私はその恩人がどんな所に住んでいるか、彼の住んでいる土人部落を発見したいものだと思いながら林中を縦横に歩くのであった。
半日林中を狩りくらして陽のあるうちに小屋に帰って夕飯の仕度にかかるのであった。
夜は獣油に燈心を浸して乏しい光をそれで取った。
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国枝史郎『沙漠の古都』より引用
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もう十分つき合っただろうと和美は判断する。
容子にしても、そろそろ夕飯の仕度をしなければいけない頃だ。
別れるきっかけを、いつつくり出そうかとしていた時に、突然容子が言った。
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林真理子『短篇集 少々官能的に』より引用
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いえ、子供相手の遊びというよりも、自分一人の遊びと云った方がよいかも知れません。
或る時、彼が子供達と一緒に座敷で遊んでいるうちに、夕飯の仕度が出来上って女中が呼びに行きました。
でも彼はやって来ません。
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豊島与志雄『香奠』より引用
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それは、これまで彼女が担ってきた家事や、妹の世話から解放されることを意味する。
帰りの遅い母親に代わって夕飯の仕度をしたり、妹のための風呂の心配をせずに学校生活を楽しみたい。
クラブ活動も思い切りやってみたい。
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沖藤典子『転勤族の妻たち』より引用
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その家の主人とは岸本は既に図書館の方で親づきに成っていた。
主人が帰った頃は夕飯の仕度が出来ていて、岸本は樹木の多い庭に臨んだ食堂の方へ案内された。
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島崎藤村『新生』より引用
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帰つてきたのが五時半頃で、牧野さんの姿が見えない。
台所で女中が夕飯の仕度をしてゐたのだが、牧野さんが納戸へはいつた姿は気附かなかつたのである。
女中が部屋々々を探したあげく、納戸で英雄君のへこ帯を張り縊死した彼を見出した。
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坂口安吾『牧野さんの死』より引用
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こう山住の話をして聞かせる。
亭主も私達が訪ねて来たことを嬉しそうに、その年作ったという葱の出来などを話し聞かせて夫婦して夕飯の仕度をしてくれた。
炉には馬に食わせるとかの馬鈴薯を煮る大鍋が掛けてあったが、それが小鍋に取替えられた。
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島崎藤村『千曲川のスケッチ』より引用
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長男の調理クラブの腕前が発揮されたのもこの頃である。
幼稚園の弟と二人で留守番をして夕飯の仕度をしておいてくれる、一家の力をあげての病院通いであった。
その年も慌ただしく暮れて、お正月の祝いも終わった頃、姑の放射線治療も一段落した。
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沖藤典子『転勤族の妻たち』より引用
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夜には次男の敏樹が訪ねて来る約束になっている。
夕飯の仕度ができる時刻までには帰らなければいけない。
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阿刀田高『空想列車(下)』より引用
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みのりたちの住む団地には、大きなスーパーが二つあって、安売り合戦をしている。
母は嬉々としてその成果を、夕飯の仕度をしながら報告する。
普通のサラリーマンの暮らしで、子供が二人いるのだ。
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夏石鈴子『いらっしゃいませ』より引用
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もとかいていたポクポクのよりはずっと楽です、つかれかたがまるでちがいます、第一こんな先のちびたGなんかであっちではこの字はかけませんものね。
ひと仕事して夕飯の仕度に多賀ちゃんと五時すぎ外へ出たら、マア、何という月でしょう。
空は一面青くて月ばっかり出ているのですもの!
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宮本百合子『獄中への手紙』より引用
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そのとき豊子は台所にいて、夕飯の仕度のかたわら、小豆を水に浸していた。
栄子が田舎から持って来た餅がある。
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本田靖春『誘拐』より引用
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親父が煙草に火をつけ、ぼくも夕飯の仕度のつづきに戻った。
口有介『ぼくと,ぼくらの夏』より引用