地理
全て
名詞
10,131 の用例
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自分は病院の名を指してお兼さんに地理を聞いた。
お兼さんは地理だけはよく呑み込んでいたが、病院の名は知らなかった。
自分はとにかく鞄を提げて岡田の家を出る事にした。
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夏目漱石『行人』より引用
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村落のようなものは見あたらない。
なるほど、ここは酒の密造には格好の地理的条件を備えていると思った。
人里はなれた山中だが、このビジネスの第一条件たる水の供給にはこと欠かないし、大がかりな蒸留装置をセットしても人目にはふれにくい。
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伊佐千尋『検 屍 M・モンローのヘア』より引用
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私はフランス人といっしょに外へ出た。
フランス人はその辺の地理にあかるく、人のいない場所へ連れていった。
そして、足をとめて、ゆっくりと話しながら来るふたりを待った。
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カザノヴァ/田辺貞之助訳『カザノヴァ回想録 第二巻』より引用
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メラの地理書にアフリカにいた人種の一つとして書かれたものであろう。
ポー/西村孝次訳『黒猫・黄金虫 他』より引用
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地名はすべていろんな国々にあり、国々は大陸の中にあり、大陸は世界の中にあり、世界は宇宙の中にある。
彼は地理の本の扉を開いて、そこに自分が書いておいたものを読んだ。
自分自身、つまり自分の名前と自分のいるところだ。
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ジョイス/飯島淳秀訳『若き日の芸術家の肖像』より引用
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しかしパガネルは少佐の手を感じさえしなかった。
彼を打ちのめした地理学上の打撃にくらべてこんなものが何だったろう!
それでは彼は、これは彼がグラント船長に言ったことだが、徐々に真実に近づいていたのだ!
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ヴェルヌ/大久保和郎訳『グラント船長の子供たち(下) 地の果ての燈台』より引用
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そしてそれを布にし、律令時代となってからは、これをもって租、庸にたいする調としたものであったが、そのような生産と技術とをもたらしたものも、朝鮮渡来人であったことはいうまでもない。
古代の調布は、地理的条件から狛江中心の政治・文化圏に含まれていた。
古墳は、いずれも低地にのぞむ台地上につくられており、狛江の古墳群はとくに密度が高く、近年まで総数一四〇基余もあった。
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金達寿『日本の中の朝鮮文化 01』より引用
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のみならず僕等を拘束するものは必ずしも階級ばかりではない。
地理的にも大は日本から小は一市一村に至る僕等の出生地も拘束してゐる。
その他遺伝や境遇等も考へれば、僕等は僕等自身の複雑であることに驚嘆せずにはゐられないであらう。
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芥川竜之介『文芸的な、余りに文芸的な』より引用
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スタジオの背景にはずっと地図がはってあり、連合艦隊の移動のあとが少しずつ前進している。
戦争は地理の勉強になるとの原則があり、その効果はたしかにあった。
モーリシアス島の位置とか、インド洋の海流とか、いつのまにか覚えこんだ。
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星新一『おみそれ社会』より引用
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銀木は、大山街道あたりの地理を頭に思いうかべているようすであった。
大江志乃夫『凩の時』より引用
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補給も通信も意にまかせず、むろん敵地の地理を知ることもできません。
田中芳樹『銀河英雄伝説 04 策謀篇』より引用
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ハイチ共和国なんてのがあったっけ。
私はあわてて高校時代の地理の知識を喚起したが、どうもピンとこない。
なんでも現今の大統領というのは独裁者であって、彼はそいつに反抗したあげく命が危くなって逃げ出したというのだが、なおよくきいてみると、彼は前の大統領、つまり倒されたほうの親類か何かであって、以前はけっこう甘い汁を吸っていたように見受けられた。
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小田実『何でも見てやろう』より引用
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しかも、そこに見える地名が現在のどこであるかわからないものもあって、さらにコースがはっきりしない。
しかしこの書を地理書としてみれば、それらは大した欠点とはならない。
それどころか、伝聞を多くとりいれたことが、その後のヨーロッパにおける地理学の発展に非常な貢献をしたのである。
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マルコ・ポーロ/青木富太郎訳『東方見聞録』より引用
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食品、石炭、太陽熱による温水、発電所、スポーツセンターまで実現している。
地理的な条件もあろうが、ここは核シェルター国家をめざしているのだ。
方針がきまっていれば、なんでも地下に作れる。
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星新一『きまぐれ遊歩道』より引用
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考慮し相談したあげくグレナヴァンは海岸沿いの道を通ってシドニーに出ることに決めようとしていたが、このときパガネルは他の何びとも予期していなかったような提案をした。
地理学者は自分でもトゥーフォールド・ベイを見に行って来たのであった。
彼はシドニーとメルボルンへの交通機関がないことを承知していた。
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ヴェルヌ/大久保和郎訳『グラント船長の子供たち(下) 地の果ての燈台』より引用
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平均的な距離では代金が一円程度なので、円タクという名称が生れた。
助手は将来、運転手になるため車のこと地理のことをおぼえていたのだろう。
運転手も助手も、いずれも中年の男で、現在の個人タクシーのように運転手は自分持ちの車を運転し、ガレージもそなえていた。
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吉村昭『東京の戦争』より引用
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彼女はまだこのあたりの地理に不慣れだし、道中何があるかわからない。
鈴木大輔『おあいにくさま二ノ宮くん 01』より引用
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しかし、若者は答えて、カアデシュはアマレクの家ではない、と言った。
自分は地理に通じているだけではなくて、過去の事柄にも通じている。
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マン/佐藤晃一訳『トーマス・マン短編集2』より引用
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運転手は方々で道を訊いた。
守山の出であるということだったが、余りよく地理には通じていなかった。
やがて福林寺の前でくるまは停まった。
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井上靖『星と祭上』より引用
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他人の経歴も余り聞きたがらなかった。
そして多くは私を相手に、面白い歴史の話や地理の話をして聞かした。
私はまだ学校で歴史も地理も教わっていなかったので、彼を学校の先生よりも豪いと思った。
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豊島与志雄『黒点』より引用