土蔵の白壁

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  • どう見ても、元のままの土蔵の白壁にもどったのである。 池波正太郎『蝶の戦記 下』より引用
  • ただこの土蔵の白壁は、昔からこのあたりの景観に独特の風趣を添えていた。 柏原兵三『徳山道助の帰郷』より引用
  • 彼は柳のそばにある橋と、橋の向うに並んでいる土蔵の白壁を見廻して、それからそのついでに観客の方へ眼を移した。 夏目漱石『明暗』より引用
  • 川端で土蔵の白壁が見えて居て柳の木が一本ある。 山中貞雄『右門捕物帖 三十番手柄 帯解け仏法』より引用
  • 板塀は質屋の巨大な土蔵の白壁で行き止まりになっていた。 筒井康隆『原始人』より引用
  • 上のかたには土蔵の白壁がみえて、鉄の大きい天水桶もある。 岡本綺堂『勘平の死』より引用
  • 槙や海棠の老木が折重つてゐる門の傍らに土蔵の白壁が見えた。 牧野信一『繰舟で往く家』より引用
  • となりの露地口の土蔵の白壁は今夜の月に明かるく照らされて、屋根の瓦には露のようなものが白く光っていた。 岡本綺堂『両国の秋』より引用
  • 以前姉に連れられて見て廻った味噌倉も、土蔵の白壁も、達雄の日記を読んだ二階の窓も、無かった。 島崎藤村『家』より引用
  • 燐のたぐいを用いたもので、それを水に溶かして人家の板塀または土蔵の白壁などに幽霊や大入道のすがたを書いて置くと、昼ははっきりと見えないが、暗い夜にはその姿が浮いたように光って見えるのである。 岡本綺堂『半七捕物帳』より引用
  • 春の日のひる過ぎなどに、私はよくうっとりとした魂を、うららかな光に包みながら、お北さんのおさらいをきくでもなくきかぬでもなく、ぼんやり私の家の土蔵の白壁に身をもたせて、たたずんでいたことがある。 夏目漱石『硝子戸の中』より引用
  • と三吉が振って見せる帽子も見えなくなる頃は、小山の家の奥座敷の板屋根も、今の養子の苦心に成った土蔵の白壁も、またたく間におげんの眼から消えた。 島崎藤村『ある女の生涯』より引用
  • 琴の家の土蔵の白壁にも、松の木影をくっきりと映して、月は照っているにちがいない。 三浦綾子『海嶺(下)』より引用
  • 私が通つたときにも、ちやうど手入れを終つたばかりらしく、刈りこんだ松の枝々の間から、家と土蔵の白壁が透いて見えたりして、なかなか風情のある家が目についた。 田畑修一郎『出雲鉄と安来節』より引用
  • 十年近い前に見た邸は、朽ちた板塀、剥げ取られた土塀、七戸前の土蔵の白壁は雨風に落ち、屋根には草が茂っていた。 直木三十五『南国太平記』より引用
  • 磯貝氏は今本郷の崖の上にある『清水の舞台』のようなというお静さんの家の座敷と、その座敷から見える有名な『ふきや』小間物店の土蔵の白壁とをはっきりと眼の前に思いうかべた。 横溝正史『蔵の中・鬼火』より引用
  • その時分には、もう島全体が夕闇に包まれて、諸戸屋敷の土蔵の白壁が、だんだん鼠色にかすんで行くのだった。 江戸川乱歩『孤島の鬼』より引用
  • わけを訊ねてみると、土蔵の白壁に鉛筆で落書きをしているところを謙蔵に見つかって、叱られたというのである。 下村湖人『次郎物語』より引用
  • 私がお稽古に上りました時は、まだ、四時過ぎで、いつもは明るい奥の間が、うす暗く、ぼんやりと、座敷に座っていられるお母さんの影が、古い土蔵の白壁に静かにとまっている蜥蜴とかげの様に、とても気味悪く、くっきりと浮んでいたことを記憶いたします。 酒井嘉七『ながうた勧進帳』より引用
  • ふと眼をあげて硝子窓の外をうかがうと、細い路地を隔てた隣りの土蔵の白壁のうえに冬の空は青々と高く晴れて、下界のいそがしい世の中を知らないように鳶が一羽ゆるく舞っているのが見えた。 岡本綺堂『綺堂むかし語り』より引用
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