土台になっている
32 の用例
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物語がしだいに悲劇に発展していく原因は、すべて、義父になった叔父に対するハムレットの異常な憎悪にあるのである。
このような病的な憎しみは、内心の不安が土台になっていることが多い。
また不安が強い場合の人の反応をみると、分裂気質の人は他罰的傾向をとることが多いといわれる。
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中村希明『怪談の科学―幽霊はなぜ現れる』より引用
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ローマにある13基のオベリスクのうちの1つの土台になっている。
教会の前にはローマ市内でも特に奇妙な記念碑があり「ミネルヴァのひよこ」と呼ばれている。
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本作に続き後期流布本サイクルが書かれた。
これは流布本サイクルが土台になっているが、多くの面で異なる内容となっている。
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敵に聞こえるボリュームではなかったはずだが、耳がいいのかニッケル・ドールが憤慨したように叫んだ。
土台になっているサンド・ダクトが、巨大な右手を重々しく持ち上げる。
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川原礫『アクセル・ワールド 10 -Elements-』より引用
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かわりの案でもいい。
トミーの心のなかから見つけた、記憶喪失症と呼ばれるようなものが土台になっている計画だった。
トミーはひと晩じゅう、この洞穴の入口にがんばっていていいのだった。
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フレドリック・ブラウン『73光年の妖怪』より引用
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Stirnerの人生観のように、あらゆる観念を破壊して、跡に自我ばかりを残したものがあって、それを個人主義とも名づけたことがある。
あれは無政府主義の土台になっている。
しかしあれは自我主義である。
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森鴎外『文芸の主義』より引用
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さて、財政問題を処理しながらも、内蔵助は、上野介の報告のあるのを待ちに待っていた。
彼の一切の計画は、上野介が生きているか死んだかが土台になっているので、これがはっきりしないかぎり、どうすることもできないのだ。
しかし、それについてはなんの報告もない。
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海音寺潮五郎『赤穂義士』より引用
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その頃の貸本屋は本を竪に高く積み上げて、笈のようにして背負って歩いた。
その荷の土台になっている処が箱であって抽斗が附いている。
この抽斗が例の可笑しな画を入れて置く処に極まっていた。
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森鴎外『ヰタ・セクスアリス』より引用
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全くその通りである。
いま現在の生活からその土台になっている過去の生活を正確に顧みて、これを誤りなく記述する事は容易でない。
糞尿を分析すれば飲食した物の何であったかはこれを知ることが出来るが、食った刹那の香味に至っては、これを語って人をして垂涎三尺たらしむるには、優れたる弁舌が入用になるわけである。
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永井荷風『十六、七のころ』より引用
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品川宿に反対されたため現在地に駅を設けざるをえなかったともいう。
右窓に高層ホテルがそびえているが、その土台になっているのが武蔵野台地の東端である。
品川を出た山手線は、しばらく東海道本線と平行して南に向い、台地の末端を切通しで抜けてから右へカーブして本線と分かれる。
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宮脇俊三『終着駅は始発駅』より引用
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あの地図で見る直線はただの板切れである。
それがまず不安の土台になっている。
その上に、大丸君がくれるという屋上がある。
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尾克彦『父が消えた 五つの短篇小説』より引用
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明らかにそうしたことが、記憶が甦ってからはじまった、夢や不安感の土台になっているのだ。
ラヴクラフト全集3『08 「時間からの影」』より引用
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俳優を通してなまなましく舞台に具現される劇作によって、わが夢みる人生を、生活を生み出したいという欲求は「芝居好き」にとって共通のものなのではないだろうか。
私が復員して、あの戦後の混乱期に自分の進むべき道を見いだすことができたのは、こうした少年期にはぐくまれた芝居への夢が土台になっている。
その後都庁の職員としてつとめた十年間を、すこぶる楽しく生きがいのある年月にしてくれたのも、この夢を見つづけていたからだ。
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池波正太郎『おおげさがきらい (池波正太郎未刊行エッセイ集1)』より引用
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この勝家のことばは、論議の土台になっている材料の不足や正否を問題にしないかぎり、論理的には誤りはない。
また、信孝自身にもこのような気持はすでにあったのだ。
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海音寺潮五郎『新太閤記(三)』より引用
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門柱の土台になっている石のことである。
西風隆介『神の系譜Ⅰ 竜の封印』より引用
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主人のエドガーさまもいまは同じ場所に眠っておられます。
お墓のしるしとしては、それぞれ簡単な墓石があって、粗末な灰色の板石が土台になっているだけでございます。
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エミリー・ブロンテ/岡田忠軒訳『嵐が丘』より引用
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フランス文学者の高田勇は、「アンゴルモワの大王を復活させる恐怖の大王」は「フランソワ1世の再来を思わせる強大な王」を意味しているとみなした。
作家のピーター・ラメジャラーは、この詩の土台になっているものとして2つの出典を挙げている。
ひとつ目は、1526年8月に当時捕虜となっていたフランソワ1世をカール5世が訪問し、これが一つの契機となって翌年3月にフランソワ1世がフランス王国に返り咲いたことである。
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妻としてなんの取得もないような女だが、彼女が背負ってきた持参金とコネが、今日の鶴間の地位の土台になっている。
そして彼にとってそれだけで妻としては十分なのだ。
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森村誠一『悪魔の圏内(テリトリー)』より引用
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川上さんは実に丁寧にこれをやった。
勝った時でもやるのだから、私たちはたまったものではなかったが、その積み重ねがミスの少ない巨人野球の土台になっているのである。
積み重ねといえば、選手に対するミーティングが、十四年間オフの一時期を除いて、毎日五分から十分間、朝礼のようにあったのだから、川上さんの考え方は選手の体にシミついているはずである。
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牧野茂『巨人軍かく勝てり V9達成の秘密』より引用
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このとき、生来無器用な私を一人前にしてくれた水口伍長という職人さんの、おどろくべき見事な指導を私は生涯忘れられないだろう。
しいていえば、こうした私の過去の生活が、私の文学修業の土台になっている、というようなことしか、今の私は言うことができない。
作家としての私に、もっとも大きい影響を与えた書物は、長谷川伸先生の歴史小説と、サン=テクジュペリの小説およびエッセイである。
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池波正太郎『おおげさがきらい (池波正太郎未刊行エッセイ集1)』より引用