固陋
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名詞
133 の例文
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無論求めてかれに接近しようなどとは考えたこともない。先方がこちらを固陋な田舎大名と思っているだろうことも幾分感じていた。
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元来日本文化は、上古の奈良朝時代までは、海外雄飛の建国時代であったため、人心が自由で明るく、浪漫的の青春性に富んでいたのであるが、その後次第に鎖国的となり、人民の自由が束縛されたため、文学の情操も隠遁的、老境的となり、上古万葉の歌に見るような青春性をなくしてしまった。特に徳川幕府の圧制した江戸時代で、一層これが甚だしく固陋となった。人々は「さび」や「渋味」や「枯淡」やの老境趣味を愛したけれども、青空の彼岸に夢をもつような、自由の感情と青春とをなくしてしまった。
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彼の歩き方、態度、行動はいつも正確をきわめていた。彼の欠点はある種の固陋性とはっきりした犬儒主義的傾向だった。これは三十一歳にして少佐になれなかったということにも関係があるらしい。
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只、あらゆる場所に、実際と云う対象を失わない家康の悪がしこい処はない事務家的冷静を保って居た人だ。種々な仕事も功名心が多分にあり、人に対して、固陋なところがあった人だ。あの顔を見る毎に、自分は、何故もっと、偉大な直覚がしみて来ないかと思い思いした理由が、明かになったような気がする。
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薪を節約して、囲爐裏も焚かずに夜なべをしながら、おしかは夫の為吉をなじった。おしかは、人間は学問をすると健康を害するというような固陋な考えを持っていた。清三が小学を卒業した時、身体が第一だから中学へなどやらずに、百姓をさして一家を立てさせようと主張した。
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そこでは運動が固定され惰性に落される。かくてアカデミーは固陋な自己満足的なものと見えて来るのである。
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しかるを、愚かな者は、自分が覚めていると思って、知ったかぶりをして何でも分っているような顔をしている。それで君主だの牧人だのという、いやまことに固陋なる者というべきである。孔子よ、私がお前を夢見ているというのも、すなわち夢である。
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先づ非常な頑固な人と言つて好い。極端にいへば固陋な所の非常に多かつた人のやうにも思はれる。又た其の立論が總て知識の上から來てゐるのでなく、全く自分の頭から出たものが多かつたから、學問のある人から見ると途方も無い間違ひがあつたゞらうと思はれる。
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だがそれが独自の原理と節操とを守ろうと力める余り、この歴史的社会の運動を促進する代りに、却ってその運動を固定せしめる、運動は惰性に落されるということになる。かくてアカデミズムは人々によれば固陋な自己満足に日を送るかのように見えるのである。両者は元来、基本的・下部構造的・歴史的社会の発展の運動形式に対する、上部構造・イデオロギーの、取り得べき二つの運動態度でなければならなかった。
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現物はプラハのS・Oに一見させたうえで、かの地より貴兄の手もとに送り届けさす予定である。偏狭固陋な処置と見えるも、この種の物の扱い方は貴兄も心得ておられるはず。なお、いまは貴兄が、これらの物を以前ほど多数保有せぬ知恵を身につけられた由も承った。
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こういう人だったので、薩摩の、いわゆるお国風というのが気にいらない。固陋で、時代に適せんと思って、極端なる積極策、開化策をとった。古来、薩摩の国は他国人をいれない国として有名であったが、その禁を撤廃した。
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それについては、別の章に、私の研究を述べることにする。その多くは新説であつて、頑冥固陋の石頭からは、反感を受けるであろう。けれども、すべては古書や新書を読んで、その結果を冷静に書きつづつたものである。
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深い科学的教養は彼を錬金術に赴かせなかったと同時に、あらゆる固陋からも解放したのである。そこで、或る病患に加えられる一つのタッチは、例えばジフィリスのような直接的な誘因に触れるのみならず、その他様々の複雑な文化的要因にも触れ、したがっては時代の特質に触れるのでなければならない。
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しかしかれらは、いかにすれば徳川家を護れるかという真の考えがない。その固陋な考えこそ幕府への忠義であるとおもっている。おそらくこのままでゆけば、国家を破る者はかれらであろう。
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その態度を私達は冷笑したかつた。その城壁の隙間から見える先生達の固陋さを碎いてしまひたかつた。
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久敬舎では講義はほとんど受けず、書庫で巡りあった『李忠定公集』を読みつつ、それを写本することに日々を費やした。そのため継之助は、門人たちからは「偏狭・固陋」な人物と思われた。同年、ペリー率いるアメリカ海軍艦隊が日本に現れると、当時の江戸幕府老中であった藩主・牧野忠雅は三島を黒船の偵察に派遣する一方、家臣らに対し広く意見を求めた。
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明治五年の夏、和上は官界を辞してぶらりと帰つて来た。フロツクコオトを着て山高帽を被つた姿は固陋な在所の人を驚かした。再び法衣を着たことは着たが、永の留守中荒れ放題に荒れた我寺の状は気にも掛けず格別修繕しようともせぬ。
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