困憊
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名詞
585 の例文
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仲時からさいごの言を聞いたときに、ここの全部の者もまた仲時とおなじ覚悟になっていた。みなそれほどに困憊しきって、死以外になにも考えられなくなっていた。顧慮もなく、むしろ、やすらかなものへ抱かれたいような焦躁で、一人が叫ぶと、いッせいに、死のう、死のう、と死の谺を交わし合っていたのであった。
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けっきょくのところ、われわれは敵の曲射山砲二門、機関銃二十七基、馬とラバあわせて二百頭、そして捕虜二百五十名を手に入れたことになる。疲労困憊した敗兵として鉄道まで帰りついた者、わずかに五十名という。道筋のアラブ人たちが蜂起し、走り去るトルコ兵を、心なくも狙い撃ちしたのだった。
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どんよりとした空の下を出かけた紗織は、文法、語意、リスニングなど百五十問の問題をわずか二時間足らずで解く、という集中力を要する試験を受けた。疲労困憊して戻ってきたその日は、緊張感から熱を出し丸一日寝込んだ。一ヵ月後に送られてきた結果は惨憺たるものだった。
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高調したまま果てしもなく続く破局の緊張。極度の混乱のなかでわずかに命の綱にすがりついている肉体の困憊もあった。
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グレナヴァンはほんのすこしでも休息を延ばすことはできなかった。疲労困憊していようといまいと、逃げなければ包囲されてしまうのだ。
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そのまま彼はうつぶせに倒れた。困憊しきって、このうえ動く気力もなく、しかし彼の頬を涙が流れた。それは海水の滴と入りまじったもののかすかにほの暖かく、これは涙なのだなと彼は心の片隅でちらと意識した。
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高彦は足元に注意して進んだ。僅かな距離だが、あまり走り慣れていないらしく隊長は疲労困憊していた。やっと立ち上がったが、甲冑の重さに堪えられず脱ぎはじめた。
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見れば少しく隔たれるところに、船材の破片にすがりて漂える一人物あり、直ちに救いあげ見るに、若き船員ハドスンなり。いたく火傷をうけ、翌日まで何ごとをも語るを得ざるまでに困憊したり。後にハドスンの語るところによれば、われら下船したる後、プレンダガストの一味は生きのこれる五名のものを殺害せんとし、まず看守両名を射殺して海中に投じ、三等航海士をも同様に始末したり。
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その初めの日は帰途に驟雨に会い、あとの一日は朝から雨が横さまに降った。かれは授業時間の間々を宿直室に休息せねばならぬほど困憊していた。それに今月の月給だけでは、薬代、牛乳代などが払えぬので、校長に無理に頼んで三円だけつごうしてもらった。
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粗末な寝床、まずい食事、不衛生な部屋だけでも、文明に慣れきった小娘には充分な試練だ。劣悪な環境を次から次へと移動して、疲労困憊させようという腹なのだろう。どれだけ意地を張っていても、人間は体力が落ちれば知らず知らずのうちに従順になる。
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ただ、浴場の中を衣服を着けて歩いているようなもどかしさを感じたことと、普段のキャンパスを想像するたびに頭が狂いそうになった他は何の感興も湧かなかった。疲労困憊してアパートに戻って来たがまだ酔ったような気分だった。ソファに坐って一息入れると何となく物足りない気がする。
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もとより「好きな道」である。困憊の彼はこの病床に這い上り、少しく安堵を覚えたのではあるまいか。もとより之は、私の俗な独断である。
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捜査は根本からやりなおされた。しかし得た結果はといえば、いたずらに刑事たちの疲労と困憊のみだった。かくして数日は経過した。
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これは現実を見る見ないの問題ではない、困憊しているのだ。なんとか電池切れを起こさずにこうして活動していられるのは、剣藤の作る料理食べたさだけなのだ。
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体は疲労困憊しているのに頭の一部は日常生活を送るときより覚醒していた。ベルトコンベアの機械が、きれいなリンゴと形の崩れたリンゴを自動的にふりわけるみたいに、余計な情報は自動的にシャットアウトされ必要な情報だけが脳に届くのだ。
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彼も、できるなら疲労困憊した兵をせきたてることはしたくなかった。
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騎馬と歩兵を中心にした軍の場合、これは異常な戦いである。疲労困憊した軍が使い物にならないのはどの世界でも同じである。
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