喜び
全て
名詞
動詞
19,383 の用例
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悪魔はそのなかに陥穽をつくります。
そしてもはや二人の間に平和や明るい喜びはなくなってしまうものです。
恋というものはあなたの心に描いていらっしゃるような美しいものではありません。
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倉田百三『愛と認識との出発』より引用
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しかし私に生に対する希望を抱かせたものは何か。
そうしてこのような喜びにも似た感情を私に与えてくれたものは何か。
「出家とその弟子」が私を「歎異鈔」に導いたのは、極めて当然のことであろう。
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外村繁『澪標』より引用
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応と答えると、果して多田刑事が入ってきた。
彼の喜びに輝いている顔色はなにごとかを発見してきたのに違いない。
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海野十三『省線電車の射撃手』より引用
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何故なら私は非常に人間愛に渇え、人間を愛したいとばかり思うようになっていたのだ。
人と人との接触の中に、私は喜びや生甲斐を発見するのだろうと考えた。
誰かを愛して居り度いと思った。
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久坂葉子『灰色の記憶』より引用
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若いタイピストは眼鏡を買っていた。
これでもう、接吻をしない時でも男の顔がはっきり見えると喜びながら。
告示板を利用して女優が自分の名前を宣伝していた。
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池谷信三郎『橋』より引用
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彼は高く晴れた秋空を見、老衰した母親を見、小ざつぱりとした絣に着かへた自分の姿を鏡に映して見て、現實に我ものとなつた自由をたしかめることができた。
しかし彼が長年のあひだ待ちのぞんでゐたほどの大きな喜びはなかつた。
心は喜びからは遠い暗さのなかに落ちこんで行くばかりだつた。
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島木健作『第一義の道』より引用
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そして権威を持った人のように水夫長にはっきりしたさしずをして、始めて安心して悠々とその部屋を出た。
葉子の顔には自分のした事に対して子供のような喜びの色が浮かんでいた。
水夫たちは暗い中にもそれを見のがさなかったと見える。
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有島武郎『或る女』より引用
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自分の夢の実現される日が近づいたような喜びを感じないわけには行かない。
それにしてもいもりの黒焼きの効果だけは当分のところ、物理学化学生理学の領域を超越した幽遠の外野に属する研究題目であろうと思われる。
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寺田寅彦『自由画稿』より引用
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そうして、まったく同感だから再び会わないことにしましょう、という返事をだして、実際これで一つの下らないことがハッキリ一段落したという幸福をすら覚えた。
今まで偶像だったものをハッキリ殺すことができたという喜びであった。
この偶像が亡びても、決して亡びることのない偶像が生れてしまったのだから、仕方がない。
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坂口安吾『青春論』より引用
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世間の人がボートルレ少年の負傷を心配するのは大変なものであった。
やっともう心配はないと医者が発表した時には、人々は大喜びをした。
その後傷はたいへん良くなった。
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ルブラン・モーリス『奇巌城』より引用
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そうして今がちょうど三度目だ。
きっとこれは彼自身に喜びがあって、彼の仇の家に殃いごとがあるのだ。
七斤ねえさんは覚えている。
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魯迅『風波』より引用
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お腹の空いた狼が野道を歩いて来ますと、遠くに一人の赤ん坊が寝ているのを見つけました。
狼は大喜びで走って来てみると、それは誰かが落した大きな人形でした。
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夢野久作『人形と狼』より引用
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飲みたくない薬でも、次郎の手からだと、喜んで口にするというふうだった。
次郎にしても、母のその気持には、こみあげて来るような喜びを感じた。
彼は、母を看護することによって、彼がかつて知らなかった純な感情を昧うことが出来た。
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下村湖人『次郎物語』より引用
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スケッチブックを出して簡単な鉛筆写生、赤いのや青いのやを塗りつける。
どうしたはずみか顔がよく似たので、当人よりは両親のほうが大喜びだ。
手帳から引き裂いてやる。
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大下藤次郎『白峰の麓』より引用
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しかしあすの奮闘的生活に備えるために筆を止めねばなりません。
この手紙はあなたにも喜びを分けていただく事ができるかと思います。
きのうセントルイスから帰って来たら、手紙がかなり多数届いていました。
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有島武郎『或る女』より引用
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すると、そのために、驚異と喜びの広い分野がわたしの前に開けてきた。
宍戸儀一『フランケンシュタイン』より引用
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魔法使いの支那人はすぐに捕まりました。
春夫さんは許されて、美代子さんを連れて大喜びでおうちへ帰りました。
他の女の児は皆警察からお家へ知らして迎いに来てもらいました。
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夢野久作『クチマネ』より引用
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出立後家族の者は、ただ手紙の来るのばかりを待っていました。
翌十八年の正月にカードを送られた時の私と弟との喜びは非常なものでした。
ついぞそうした物は見かけませんでしたから。
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小金井喜美子『鴎外の思い出』より引用
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そして、洋画法を執るならば少くも今日よりはよりよき芸術的経験を君たち自身が感味するだろう。
この事はもし現われるとしたら、今日の画壇にとって或る喜びであろう。
よき芽はよき畑にまかれる必要がある。
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岸田劉生『想像と装飾の美』より引用
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昨日のように語る口調に、確かな深みと重みを持って人と繋がっていた血族の息づかいを感じとった。
調査の結果と喜びをまとめたくなり、ワープロ版を作って増補を重ねた。
やがて、エキスパンドブックという電子本を作るソフトを知る。
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富田倫生『短く語る『本の未来』』より引用