吐息を衝い

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  • トシは時々、自分の経験を小説のやうだと云つて吐息を衝いた。 牧野信一『二日間のこと』より引用
  • が、幸ひだつた、彼は、うな垂れて粗野な吐息を衝いてゐるばかりだつた。 牧野信一『貧しき日録』より引用
  • 太十は降参の盃を傾けながら、吐息を衝き、惚々と私の姿を見あげた。 牧野信一『武者窓日記』より引用
  • さう云ふと彼は、ぐつたりと肩の力を抜いてふところへ向つて吐息を衝き、再び顔をあげると夢でも見るやうな眼つきで、ぼんやりと私の顔を視守るのであつた。 牧野信一『病状』より引用
  • 二人は、思はず川上の水音に耳をたてて、吐息を衝きながら森の彼方を視詰めた。 牧野信一『繰舟で往く家』より引用
  • 私は小机の上に展げてある「月光のなかの吊籠つるべ」の上に突つ伏して深い吐息を衝いた。 牧野信一『心象風景(続篇)』より引用
  • 千枝子は腹這ひになつて本を読んでゐるのですが、時々ひとりで笑ひ出して、笑ひが止るまで突つ伏したり、深い吐息を衝いて何時までも眼を瞑つてゐたりするのです。 牧野信一『早春のひところ』より引用
  • そして深い吐息を衝きながら凝つと敵の戦略を見守つた。 牧野信一『泉岳寺附近』より引用
  • 私は寧ろ薄気味悪い心地で、左の肩を先にして横歩きに近づいて行くと、奴は益々猫のやうに慣れて来て、終ひには私の肩の上に長々と伸し出した鼻面を載せかけて私の顔に並べると、恰も嚶々たる睦言を語らふ如く微かな吐息を衝いた。 牧野信一『夜見の巻』より引用
  • そして、吻つとしたらしい太い吐息を衝いてゐるのを、雪江が物蔭から秘かに窺ふと、それは、さつき迄死んだやうに眠つてゐた筈の滝尾であつた。 牧野信一『夜の奇蹟』より引用
  • 隱岐は、大した六つかし氣な知識でも吹聽するかのやうな重々しい口調で、世にも愚かなことを呟きながら、水のやうな空に浮いてゐる凧を見あげて、何といふこともなしに太い吐息を衝いた。 牧野信一『痴日』より引用