叫ぶ
全て
動詞
8,788 の用例
(0.01 秒)
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ラバウルの危機、ラバウルへ飛行機を!
そんなことを新聞が叫んでいたのは五年も前の遠いことのような気がする。
サイパンが敵に占領されたのも去年の話のようだ、が、実は算えてみると、サイパンが陥ちてからまだ一ヶ月を経過せず、ラバウルの危機も今年の正月ごろの話なのだ。
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坂口安吾『街はふるさと』より引用
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と、僕は叫んだが、それは魚戸のいうことを否定した意味ではなかった。
二人は、急に黙ってしまった。
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海野十三『宇宙尖兵』より引用
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木は、ため息をついて叫んだほど、その存在を認められなかったのです。
早く大きくなろうと木は思いました。
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小川未明『曠野』より引用
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それは勿論あっと言う間に大砲に跨った水兵の姿をさらってしまうのに足るものだった。
海の中に落ちた水兵は一生懸命に片手を挙げ、何かおお声に叫んでいた。
ブイは水兵たちの罵る声と一しょに海の上へ飛んで行った。
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芥川竜之介『三つの窓』より引用
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かつて、女王の容姿についての話が出たとき、彼は叫んだものであった。
ストレイチー・リットン『エリザベスとエセックス』より引用
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自分ひとりで利益を占めようと考えたのである。
取り残された樵夫は声を限りに叫んだが、どうすることも出来なかった。
巣に余っている蜜をすすってわずかに飢えを凌いでいながら、どこにか昇る路はないかと、石の裂け目を攀じてゆくと、そこに一つの穴があった。
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岡本綺堂『中国怪奇小説集』より引用
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その項目といふのは、国立演劇研究所の創設である。
かねて私は機会ある毎に、かゝる国家的施設の必要を叫んでゐたのである。
わが国の演劇界の現状は、誰がなんといはうと、正しい意味でのアカデミズムの欠如が唯一の弱点であつた。
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岸田国士『演劇統制の重点』より引用
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私はいままで、いろんな女の流れを見てきた。
女の自立が叫ばれ、多くの女たちが頑張ってきたのもこの目にしてきた。
けれどもいまぐらい、善良な女が生きづらい時はないような気がする。
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林真理子『美女入門 PART3』より引用
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と隣の部屋で寝ているはずの弟の名を叫ぶが、これまた起きた気配はない。
ぬいぐるみたちの攻撃は容赦なかった。
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伏見健二/高井信/山本弘『妖魔夜行 魔獣めざめる』より引用
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僕の会つた日は発作もなく特に亢奮状態でもなく普通の日で、多少動作に男のやうな荒つぽい感じがあるだけで、特別奇怪な行動もなかつたのだ。
ところがふいにその少女が僕の顔を凝視めてね、急に叫んだものだよ。
この人の友達に私の好きな人がゐるといふのだ。
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坂口安吾『狼園』より引用
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叫ぼうとするところを、またあの薬をしみ込ませた布を押し当てられる。
ツーンという匂いで、頭がクラッとしたが、二度同じ手でやられはしない。
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赤川次郎『MとN探偵局 悪魔を追い詰めろ!』より引用
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ドアを開けるなりその女の子は、ぼくの顔を見て、まずひゃーっと叫んだ。
ぼくは顔を見られて叫ばれたのは、そのときが生まれて初めてだった。
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口有介『ぼくと,ぼくらの夏』より引用
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フランス王がその死去の際、次の王の戴冠儀礼が整うまでの、時には数ヶ月にわたる準備期間を通じて、まるで生きているかのように寝室に安置され食事を初めとする日常儀礼が続けられていたことは歴史家に良く知られている。
王の死は埋葬の瞬間に初めて宣告され間をおかずに新王万歳が叫ばれる。
単純に言えば王権は不滅なので王の肉体の死によって王の聖性が宙に浮いてはならないという理屈が考えられる。
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竹下節子『パリのマリア』より引用
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と叫ぶと眼が眩みそうになった私は、思わず大卓子の上に両手を支えた。
新しく湧き出す熱い涙で何もかも見えなくなったまま、呼吸を喘ませた。
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夢野久作『ドグラ・マグラ』より引用
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それは烈しく悼ましく真向から圧しかかって来るのだ。
もし獣のように叫ぶことができたならば、わたしは叫んだかも知れぬ。
わたしは我手を取った、そうだ、左の手を右の手に。
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ジッド/石川淳訳『背徳者』より引用
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二人はテルマルクに近よってきたが、まだ、がたがたとふるえていた。
テルマルクは叫ぶことこそできたが、まだ口をきくことはできなかった。
あまり激しい衝撃を受けると、こうなるものである。
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ユゴー/榊原晃三訳『九十三年』より引用
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僧が二、三歩離れるか離れないかのうちに、Kはきわめて大声で叫んだ。
原田義人『審判』より引用
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コスモはこう叫んで、大きな剣の立っている部屋の隅に飛んでいった。
もう暗くなっていた。
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マクドナルド・ジョージ『世界怪談名作集』より引用
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亀吉はきょとんとした表情で、人よりも大きな声を出して、叫んでいた。
実は、亀吉が仕事をしていたのではなかった。
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織田作之助『夜光虫』より引用
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正勝は周囲を目探りながら叫んだが、婆やの姿はどこにも見えなかった。
佐左木俊郎『恐怖城』より引用