口火を切る
77 の例文
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私のほうでも実はそういうふうに口火を切ろうとしていたところなのだ。だから、実を言うと、ハッとしたよ。
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ふさの様子がおかしくなった時、「狗神に喰われたがじゃ」と宣言したこの老人を、美希は最近、敬遠していた。今回の狗神騒ぎの口火を切ったのは、彼ではないかと疑っていたからだ。しかし今、味元を無視してすれ違うわけにもいかなかった。
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わたしが優柔不断で、いつも誰かにお伺いを立てているように思われると心外である。このときは、何でもいいから口火を切りたいという気持ちからだった。
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彼女は地獄の炎の坑のような二つの眼を拷問者の上に移した。彼女が口火を切ろうとしたときに、パヴがいくらか驚いた口調でいった。
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口火を切った少年と同じくナイフを取り出した者が、そのうちの半数。彼らの決死の形相に、桃井は苦笑した。
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邦彦は沈痛な表情で、実は今まで誰にも隠していたが、医者に胃癌と宣告されてヤケ糞になっている。どうせ長くない命だから死ぬ前に何かでかい事をやってみたい、と口火を切った。真田は、自分もそうだと言った。
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しかも、武蔵の手には、すでに血を塗った剣が提げられている。戦闘は、お互いのすがたを見ぬ前から口火を切ってしまったのだ。それも、待ち伏せていた多勢のほうからではなく、計られて来たはずの武蔵のほうから宣戦しているのだ。
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再編劇で主導権を握っている海外有力メーカーも紆余曲折をたどってきた。世界規模での業界再編の口火を切ったダイムラーベンツも例外ではない。八七年に最高経営責任者に就任したロイター・エドザードは、高級車と大型トラックのベンツに自動車メーカーとして限界を感じ、多角経営に活路を見いだしM&Aを通じて、航空・宇宙、家電、エレクトロニクス部門に新規参入した。
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なぜか、マリーノは遅れてくるだろうと思いこんでいたのだ。私が椅子を引き出す間もなく、マリーノが単刀直入に話の口火を切った。
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浦上は嫌な気がしたけれど、仕様がない。女子職員がお茶を運んできたところで、矢島部長刑事が質問の口火を切った。「最初にもう一度尋ねるが、あんたは本当に、高橋美津枝さんという被害者を知らないのかね」 昨日とは違って、物腰が柔らかくなっているのは、淡路警部が仲に立ってくれたせいだろう。
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そんな状態が一〇秒以上、続いた。やがて父は年長者の立場上、自分が口火を切らねば、と思ったようだ。ついに再会の第一声を発した。
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しかし、いちばんまずいのは、宇宙に出て動くということです。惨事が起こったのも、最初の口火を切ったのは宇宙線だったと推定されています。よかったら説明のため、数理物理学者を呼びましょう?
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神尾とチャイはこの時が初対面である。三人が座敷に座ったところで、銀髪の紳士が自己紹介を兼ね口火を切った。
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この若い紳士は、後日わかったことですが、その日の夕方さっそく隣近所を駆けまわって、コール夫人の人がらなどにさぐりを入れたようで、翌朝は早くから馬車を店先へ乗りつけましたけれど、買物の目的をうすうす承知していたのは夫人だけ。店に入ると婦人帽の注文などをして、口火を切りにかかります。いっぽう、わたくしはすわったまま顔も上げず、一心に帽子の縁かがりなどお店の仕事をしておりましたが、その様子を見て相手が好印象を受けたのを、夫人はいち早く見て取ったようでした。
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それは王様が毎日食べている様な高級な素材は一つも使ってはいないのだが、二人にとったらどんな料理よりも高級なのだ。二人は料理を囲むようにして正座をすると愛が口火を切った。「それじゃ、頂きます」 目を輝かせながら言うと翼は愛の姿にやれやれと軽く鼻で笑って、 「頂きます」 そう言って二人は自分たちの作った料理に手をつけた。
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サムライという言葉がふさわしい。彼が皆を代表して口火を切ったというわけだ。
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覚の話が終わってからしばらくは、沈黙の中で焚き火のパチパチとはぜる音だけが響いていた。やがて誰かが口火を切ると、堰を切ったように質問が押し寄せてきた。中でも、特にみんなが訊きたがったのは、安全なはずの奇狼丸の庇護下から、なぜ、わたしたちが脱出しなければならなかったのかという点だった。
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