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名詞
18 の例文
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手当り次第に掴み出して手当り次第に抛り付けるやうであつた。二三度同じことを繰り返してゐるうちに、やつと取り出した一通の封書。「おおこれだ」と云はない許りに、期待も焦心も願望もそれ一通に籠つてゐるかのやうに、狂気じみた身悶えして、怪物はただ凝視した。
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毎朝の新聞はそれで配達を受けることにしてある。取り出して来て見ると、一日として何か起こっていない日はなかった。あの早川賢が横死を遂げた際に、同じ運命を共にさせられたという不幸な少年一太のことなぞも、さかんに書き立ててあった。
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ヘッドライトを消して大まわりのUターンをしていると、ポケットの無線機がピーピー鳴りだした。彼は片手でハンドルを握ったまま無線機を取り出してスイッチを入れた。ソロの声がきこえる。
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朝早く起きると、子供が遊んでいるのを探して歩いた。ある日じいさんが、途中で財布を取り出して金を計算しているのを見た。
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リカが作って来た弁当の中から、飲み物だけを取り出して三人は飲んだ。静かに平らに広がる水面、そしてその水面ぜんたいを取り囲むようにして斜めに落ちてくる緑の丘のつらなりを、三人は眺めた。
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彼女も上がって来た。「絵にあるとおりだわ」 そう言って彼女はバッグから絵を取り出した。布団の敷いてある位置を、絵のなかの布団と突き合わせた。
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誰かに持って行かれたのだという疑いが、だんだん明らかな形を取り出した。そう思うと、自分の横に座っていた印半纏の男が浚って行ったのかも知れないと思った。
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それから箪笥の抽出を半分開けて、少し首を傾けた。やがて、中から何か二三点取り出して、それを畳の上へ置いて考えた。が、せっかく取り出したものを、一つだけ残して、あとは丁寧にしまってしまった。
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運動場一面に張り凍った氷に冬の陽光は輝いている。彼は和歌子の手紙をポケットからとり出して熟視せずにいられなかった。するとある一つの輝きが彼の頭脳に閃き彼は全身的に叫んだのだ。
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袂へ手を入れてみると小さいなめらかな紙片が指さきにふれた。取り出してみると、この二三ヶ月見たこともない十円紙幣が二枚あった。
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自分はただ彼の顔色が少し蒼くなったのを見て、これは必竟彼が自分の強い言語に叩かれたのだと判断した。自分はそこにあった巻莨入から煙草を一本取り出して燐寸の火を擦った。そうして自分の鼻から出る青い煙と兄の顔とを等分に眺めていた。
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その中に手を入れて、柔らかな昔どおりの白いマシュマロを取り出した。カークはニヤリと笑った。
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傷の手当てに必要なものをそろえた。ベッドのマットレスの中に隠しておいた拳銃の弾丸をすべてとり出した。血で汚れた服を着替え、手や顔の返り血を洗い流した。
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やがて次郎は番町の先生の家へも暇乞いに寄ったと言って、改まった顔つきで帰って来た。餞別のしるしに贈られたという二枚の書をも私の前に取り出して見せた。それはみごとな筆で大きく書いてあって、あの四方木屋の壁にでも掛けてながめ楽しむにふさわしいものだった。
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グライムズは、執務室のどこかへ置いてあったパイプを彼女が持ってきて、葉を詰めているのに気づいた。彼女はその端をくわえ、ポケットから取り出した金のライターをつけた。そしてうまく火がつくと、それをグライムズにさし出した。
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彼の財布はいつも口をあいていた。いかにその中身が少ないときでも、どうにかして多少の金を取り出した。まったく空である場合には、他人の財布から金を引き出した。
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そうにきまっている。いま懐中鏡を取り出したのは、私の行動を監視するためにちがいない。
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