千鶴子の手紙

11 の用例 (0.00 秒)
  • またアメリカから廻って来た千鶴子の手紙も、別れの際の表情を裏切っているものでもなかった。 横光利一『旅愁』より引用
  • 彼の答えを待ち構えている幸子の眼もとに早や千鶴子の手紙の中を察した鋭さがあり、兄と自分の間を邪魔しているものへの、露き出した爪も見えた。 横光利一『旅愁』より引用
  • 矢代は千鶴子の手紙の中の不眠のことを思い出し、それもそうあろうかと、むしろその方が彼女の篤実ささえそこに感じて同情した。 横光利一『旅愁』より引用
  • 矢代は千鶴子の手紙を読み終ってから、この手紙の返事は時間を遅らせず、すぐ出さねばいられぬ焦躁を感じた。 横光利一『旅愁』より引用
  • どんなことかまだ彼には分らなかったが、しかし、どこまで落ち込んで行ったかもしれぬ今日の悲しみの途中で、それを、ふと支えてくれたのは、争われず千鶴子の手紙だったと彼は思った。 横光利一『旅愁』より引用
  • 小屋へ帰ってから、矢代は千鶴子の手紙の封を切った。 横光利一『旅愁』より引用
  • 千鶴子の手紙の返事が、自分の京都行きと一緒に千鶴子も由吉と出られそうな模様なら、今は幸子への自分の答えも幾ちか変るかもしれぬ不愉快さを彼は感じた。 横光利一『旅愁』より引用
  • 胸に押しつけて来る父の骨箱を受けとめてくれているものが、懐中に隠して来た千鶴子の手紙だということも、今は彼には偶然な戯れごととは思えず、悲しさとはまた別に、自然に洩れ出たひと言の心からの礼でもあった。 横光利一『旅愁』より引用
  • 仏前の蝋燭の明りが急に大きく揺れ出したので、芯を切りに立つついでに、矢代はそう云うと千鶴子の手紙のことも思い出し、自分の部屋へ入っていった。 横光利一『旅愁』より引用
  • と、千鶴子の手紙にもあって、矢代は、磊落な由吉に似ず適当なその注意に、自分が三人より日を遅らせて行くことも、これで有意義になったと思った。 横光利一『旅愁』より引用
  • 千鶴子の手紙では別別に行く客の先方に与える迷惑を考え、その近くにある松濤の公園で待ち合せてからにしたいとの事だったので、白い標示札を見つけて彼は中に這入った。 横光利一『旅愁』より引用