十歩ほど歩い
17 の例文
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が、彼女はやっぱり兄を愛していたのだ!彼女は歩き出したが、五十歩ほど歩いてから、もう一度振りかえって兄のほうを見た。彼の姿はまだ見えていた。
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空は雨雲に覆われているので星明りもない。だが犬牙は数十歩ほど歩いて少し立ち止まるだけで迷わずに昨日の場所に案内した。雄虫も犬牙の眼には感心したようだ。
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近くにシャッターをおろした証券会社のビルがあり、一段の段差がついて西日があたっている。椎葉は十歩ほど歩いて段差の部分に腰をおろし、美亜に手招きをする。美亜がちょっと首をかしげ、それから口をとがらせて、赤いスニーカーをとぼとぼと運んでくる。
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快よいと同時に痛いような感動が彼をとらえた。人足たちは二十歩ほど歩いてから立ち止まり、担架を地面に置いた。担架を運んできた一人が離れて行く。
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しかし軍曹はけっしてそのまま向うへ去ってしまいはしなかった。十歩ほど歩いたと思うと、再び彼はそこにじっとしている木谷のところにひきかえしてきて言葉を直したのだ。
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また、セクラがわたしと抱擁する時にいかに体を屈めたか、そしてまた、わたしはいかにして彼女の乳にキスしたかを思い出した。こうして二十歩ほど歩いてから、尼僧はいった。
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雪の状況はちっともよくはなってはいなかった。加藤は十歩ほど歩いてふりかえった。宮村は雪の中に坐りこんでいた。
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示現は背を向けて歩き出していた。十歩ほど歩いて、振り向くと塚田一刀司は砂利の上に倒れていた。斃れた塚田一刀司の姿に、示現は小田丸弥介を重ねて見ていた。
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彼はその二人につれられ、歩哨の男の後について歩き始めた。三十歩ほど歩いたとき、次第に強くなってきた仔山羊の臭いで、あの焚火の前を通っていることがわかった。それからさらに五十歩ほど歩かせられた。
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男は反対側の歩道から、目を彼女から離さないようにして、あとをつけた。そして、五十歩ほど歩いたところで、また、ソーニャの歩いている側に移って彼女に追いつき、五歩ばかり距離をおいてあとをつけて来た。それは、年輩は五十前後、背は中背よりやや高く、肩幅はひろくて怒り肩なためにいくぶん猫背に見える、でっぷり太った男だった。
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彼女は足早に、楡病院の焼跡から遠ざかろうとした。事実、むしゃくしゃしながら二十歩ほど歩いた。それから彼女の足はためらいがちになり、ついには立止って、元きたほうへ引返しはじめた。
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テントまで来ないのは昨日の脅しに臆したのか、それとも椎葉の立場を考慮したのか。五十歩ほど歩いて、ケヤキに寄りかかっている夕子と向かい合う。昨日より目がはれて顔色が悪く、短い髪も乱れている。
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彼が大枚二十コペイカ銀貨の施しを受けたのも、てっきり、むちで打たれたことが彼女たちの憐憫の情をさそったせいだろう。彼は二十コペイカ銀貨を握りしめて、十歩ほど歩いてから、ネワ川の、宮殿の見える方向に顔を向けた。空には一片の雲もなく、水は淡青色に近かったが、こんなことはネワ川のほとりではそれこそめったにないことだった。
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弥介は、脂が乗って鈍く光る刀刃を下げて、照れたように笑っていた。「一つしかない命だ、去れ」 弥介の言葉に浪人二人は釣られて頷き、気が抜けたように背を向けて歩き出し、十歩ほど歩いて、おのれの恐怖に気付いたように走り出していた。そして待つまでもなく、百造一味と見える男たちが、戸板を運んでやって来た。
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ヴィクトリカの顔がわずかに、さびしそうに曇った。十歩ほど歩いて、一弥が振り向いた。
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外に出ると風が冷たい。長屋にもどって寝るしかない、そう思って、十歩ほど歩いたところで、 「小田丸弥介か」 と背後から声をかけられたとたん、背中に凄じい殺気を浴びた。振りむけば、白刃を体に浴びなければならない。
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