動悸
全て
名詞
1,969 の用例
(0.02 秒)
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心臓の動悸を緩めさせて、遂にはそれを止めると云ふ特性を持つてゐるのです。
一体何時心臓が動悸を打たなくなるかと云ふ事は云ふ必要もないでせう。
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ファーブル・ジャン・アンリ『科学の不思議』より引用
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コゼットは彼が気でも狂ったのかと思ったが、その言葉どおりにした。
彼は息もつけないで、胸に手をあてて動悸を押ししずめようとしていた。
彼は大胯に歩き回った。
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ユゴー・ヴィクトル『レ・ミゼラブル』より引用
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晩に出かけて行って、窓ガラスにさしてる赤い光をながめることだけで満足した。
時とするとその窓に人影がさして、それを見る彼の胸は激しく動悸した。
八日目、彼が窓の下にやって行った時、そこには光が見えなかった。
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ユゴー・ヴィクトル『レ・ミゼラブル』より引用
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すべてはぼくにとって、神秘的で神聖なある色合いを帯びて見えた。
ぼくの心臓は、ある老学者と話しているときでさえ、動悸を打っていた。
レオノールの女友だちが住んでいる家の近くの城門の名を耳にしただけで、顔を赧らめずにはいられなかった。
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スタンダール/白井浩司訳『恋愛論』より引用
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情愛のこもったまなざしの先にあるナポレオンの顔は、メダイヨンに刻まれたアウグストゥスの顔のように静謐そのものだ。
彼女はそっと息をとめ、左手を心臓の上に置いて動悸を鎮めようとした。
それから息をひそめながら身をかがめると、眠っている人の額に唇を近づけて息だけのキスをした。
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アレクサンドル・デュマ/乾野実歩訳『リシャール大尉』より引用
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そこで目を覚ました。
心臓がはげしく動悸を打っているのは、夢のなかで走ったからではない。
抱きしめられたからだ。
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大野木寛『ラーゼフォン夢みる卵』より引用
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私は書斎の窓の下にかくれていましたが、群集がにわかにどっと前へ押しよせてくるのが見えました。
私は長いこと走ったあとで、まだ動悸がひどくて息ぎれがしていました。
いずれにしても、家の裏口から逃げ出して、またしてもみんなに追いかけられるのは、考えるだけでも愉快なことではありませんでした。
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ロフティング『ドリトル先生物語12巻 ドリトル先生の楽しい家』より引用
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添田はエレベーターに乗った。
四階で降りて416号室の前に立ったとき、さすがに動悸が早鳴りした。
添田は息を吸いこんでドアをノックした。
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松本清張『球形の荒野 新装版(下)』より引用
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さっきの眩暈のせいなのか、それとも自分の学校に秋葉がいるっていう事自体が異常なことなのか。
ともかく、なんだか必要以上に、胸の動悸が激しくなってしまっていた。
秋葉と一緒に校舎を出る。
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奈須きのこ『月姫 温かな午睡(秋葉・トゥルーエンド)』より引用
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彼奴のために、また滅茶苦茶にされてしまう!
藤沢はテーブルの横から取り上げた猟銃をすぐ動悸の激しい胸に構えた。
そして銃口を窓から突き出した。
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佐左木俊郎『熊の出る開墾地』より引用
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寝室の一つ一つの物がはっきりしてくると、心臓がとても早く動悸するわ。
身体が固くなって、薄紅色に、黄色に、褐色になっていくような気がするわ。
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ウルフ/鈴木幸夫訳『波』より引用
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けれ共、とうとう二度目の石はそのまま男の子の足元にすてられ、皆家へ入って仕舞った。
それを見すますと急に私は、頭の頂上で動悸がして居る様な気がした。
それからすぐの家の門へ入るまで私は、まるで駈けると同じ様な速さで、何も考えるいとまもなく急いだ。
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宮本百合子『農村』より引用
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それを聞いたとき、思い出したように心臓が激しく動悸を打ち始めた。
乱暴ではあるが、挨拶の言葉だ。
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宮部みゆき『レベル7』より引用
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彼女の声は震えていた。
彼女の胸に頭をもたしていたクリストフには、その胸の動悸が聞こえた。
ちょっと沈黙が落ちてきた。
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ロラン・ロマン『ジャン・クリストフ』より引用
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私はその寝顔を覗きこんで思わずハッとなった。
反射的に電燈を消して、闇の中につッたちながら高まる胸の動悸を抑えた。
私は夜盗に入って、こんなに愕いたことはない。
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中山義秀『碑・テニヤンの末日』より引用
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とフロント係から告げられて、ルームナンバーをおしえられた。
フロントでおしえられた部屋の前に立った桂子の胸の動悸は高くなった。
と自分に言い聞かせても、動悸は鎮まらない。
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森村誠一『夢の原色』より引用
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犬の眼にはすべての色がみな緑がかって見える、それが犬の視覚の宿命のようなものであると、前にも言ったことがあるが、その緑がなくなって、その上世界中が薄桃色に見えるのである。
動悸は常よりは高く打っているが、なぜか知らん非常に愉快な気分がする。
槍でも鉄砲でも棒でもなんでも持ってきやがれ、という気分である。
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井上ひさし『ドン松五郎の生活』より引用
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メインは速度を上げていた。
私は自分の動悸が非常に激しくなっていることに気がついていた。
あの高さで過激な運動を続けたためだったろうか。
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イネス/池央耿訳『孤独なスキーヤー』より引用
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酒の匂いがした。
しばらくそうしていると動悸が激しくなり、酒の酔いがかけ巡り始めた。
一度唇をはなし、お互いの目で多くのことを語り合ってから、今度はもっと情熱的に、そして、たくみに唇をふれ合い、どちらからともなく自然に畳の上へたおれこんだ。
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阿久悠『続・瀬戸内少年野球団紅顔期』より引用
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胸に、腕に、脚にと、女の体温を感じる。
女に抱かれているのだと風居は感じ、自らの動悸が早まるのを自覚する。
そしてまた記憶が跳ぶ。
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藤咲淳一『攻殻機動隊 虚無回廊』より引用