努力
全て
名詞
24,068 の用例
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人間は自分を不幸にすることのために、努力するものではないと思うが。
池谷信三郎『橋』より引用
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この複雑なる内部生命はおのれみずからの存在を完全ならしめ、かつ存在の意識を確実にせんがために、表現の道を外に求めて内に蠢動する。
いうまでもなく芸術と哲学とはこの内部生命の表現的努力の二途である。
ただ前者が具体的に部分的に写出する内部経験を後者は概念の様式をもって、全体として統一的に表現するのである。
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倉田百三『愛と認識との出発』より引用
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むろんこれは一般の国民についてのお考えで、先生ご自身としては、まだ決してあきらめてはいられない。
おそらく今もどこかで血の出るような努力をつづけていられることだろう。
田沼先生という方はそういう方なんだ。
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下村湖人『次郎物語』より引用
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それに私をかくのごとく死の努力を続けさせる大きなわけがあるのである。
それは私の棲んでいる球形の世界の数億人にのぼる人類のうち、この九分間後に迫れる世界の最後を信じているのはたった私自身一個であることだ。
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海野十三『放送された遺言』より引用
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人間の幸福ということを忘れた知識は、何の私達に必要でありましょう。
また私達の平和を目的としない信念や、努力は何の価値がありましょう。
其れを、今にも実現し得られるなら、倫理や哲学上の知識は、其の時から、必要ではないのであります。
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小川未明『草木の暗示から』より引用
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俊亮も、二人の様子にすぐ気づいた。
彼は、しかし、今は次郎の努力を買ってやりたい気持でいっぱいだった。
いつもなら、次郎のませっくれた態度が誰よりも気になる彼だったが、なぜか今日は、次郎をそんなふうにみる気には、少しもなれなかったのである。
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下村湖人『次郎物語』より引用
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ところがこの女が私の食膳をひそかに豊富にすることに努力してくれた。
お菜の分量が急にめきめきと常の二倍に達した。
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小出楢重『大切な雰囲気』より引用
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かくて大王はその軍隊を世界最精鋭のものと確信するに至ったのである。
この十カ年間の大王の努力は戦争研究者の特に注目すべきところである。
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石原莞爾『戦争史大観』より引用
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しかし、彼等が日本の兵隊と違ふところは、飽くまでも自分の「生命」を大切にすることである。
生きられるだけ生きようとする努力が、常に彼等の行動を支配してゐる。
死んでもかまはぬと覚悟する前に、なんとかして生きられぬかといふ工夫を忘れない。
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岸田国士『北支物情』より引用
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ある者は中庸ということを言った。
多くの人はこれをもって二つの道を一つの道になしえた努力だと思っている。
おめでたいことであるが、誠はそうではない。
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有島武郎『二つの道』より引用
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その時そこに安住の地を求めて、前にも後ろにも動くまいと身構える向きもあるようだ。
その向きの人は自分の努力に何の価値をも認めていぬ人と言わねばならぬ。
余力があってそれを用いぬのは努力ではないからである。
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有島武郎『二つの道』より引用
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自己の中に他人と異る性格があり、現代に他の時代と異る要求がある限り、吾人は先人及び他人と異る者とならずにはゐない。
強ひて自己を他人と異れる者にしようとする努力は人生の外道に過ぎない。
商賣人の成功策に過ぎない。
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阿部次郎『三太郎の日記 第一』より引用
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钁鑠として壮者を凌ぎ森林などを駈け歩いても人猿などより敏捷であった。
私も老人の真似をしてよく森林を駈け歩き彼らに負けまいと努力した。
こうして半年が経過した。
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国枝史郎『沙漠の古都』より引用
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しかし従来大学の法学教育には、一般にこの理合が十分に意識されていない。
少なくとも、学生にそういう理解を与える努力が意識的に行われていない。
そのため教育と学習の能率が著しく阻害されているように、私は考えるのである。
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末弘厳太郎『法学とは何か』より引用
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学校は、やらされねばならない人間のためにある。
自分で努力し研究するひとなら、なにも別に学校へ行かなくともよい。
とはいうものの、習ったから、自分でやったからといって、大きな違いがあるわけでもない。
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北大路魯山人『個性』より引用
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本集の歌を抄した態度では採るべき歌がなかつた。
だが、山田さんの努力を感謝する心で、その中から、少しばかり抜いた。
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折口信夫『橘曙覧評伝』より引用
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勉強からいうと私のほうが勉強するのでありますが、どうしても勝てない。
十一歳でありますがどうしても、幾ら努力しても弱いからしかたがない。
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倉田百三『生活と一枚の宗教』より引用
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一度純潔を失いたる青年は、そを惜しみ、恥じ、悔い、その償いに用意したる心をもって女に対すべきである。
しこうして夫婦はできるかぎりの貞潔を保たんことを努力すべきである。
もしそれいかにしても遊蕩の制し得られざるときは、せめてそのことを常に恥じつつなしたい。
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倉田百三『愛と認識との出発』より引用
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汝にそこまでの覚悟があるかどうか。
そうしてお互いの『自己』を発揮するために思い切って努力してみたい。
もし不幸にして俺が弱く汝の発展を妨げるようならお前はいつでも俺を棄ててどこへでも行くがいい。
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伊藤野枝『出奔』より引用
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この男は三人の中学生の親分であつた。
男は娘を自分の宿へ連れて帰つて介抱し、力づけてやるために努力した。
五日間そこに泊つてゐたけれども、男は娘を肉慾の対象にはしなかつた。
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坂口安吾『孤独閑談』より引用