前途の不安

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  • 前途の不安がないだけの生活の保証をつけてあげなくては。 坂口安吾『青鬼の褌を洗う女』より引用
  • おそかれ早かれ破裂を見ないではまないような前途の不安が二人を支配した。 島崎藤村『新生』より引用
  • 前途の不安は、世に男の大厄たいやくというような言葉にさえ耳を傾けさせた。 島崎藤村『新生』より引用
  • その前途の不安を胸に持って、彼は兄が別れを告げて行った後まで長いこと廊下のところに立ちつくした。 島崎藤村『新生』より引用
  • 二十五年前の若かったトマス・ナウは、前途の不安におびえていた。 ヴィンジ『最果ての銀河船団(下)』より引用
  • 今日の前途の不安心ということもあるが、それよりも今自分の目にぱっと心が引くような色彩いろがない。 水野葉舟『黄昏』より引用
  • 玄関脇の編集室で、野枝は前途の不安と責任に重苦しく押しひしがれそうになる。 瀬戸内晴美(寂聴)『美は乱調にあり』より引用
  • 妻は、また前途の不安を感じながら無心に乳を呑んでいる子供の顔を見つめているのである。 大佛次郎『赤穂浪士(上)』より引用
  • その筆頭が御一新で前途の不安をかこっていた旧旗本などの没落士族である。 種村季弘『迷信博覧会』より引用
  • 彼は見えない前途の不安におびえていた。 井伏鱒二『小説日本芸譚』より引用
  • ビールに酔つてくると、彼女の生活から来た習慣で磯村の膝へもたれかゝるやうにしたりしたけれど、もう三十年さんじふを越した彼女としては、前途の不安を感じないではゐられなかつた。 徳田秋声『花が咲く』より引用
  • 復讐の決議に加わった者ばかりではない、心弱くして妻子のために又わがために前途の不安におびえていた者達も、今日は何事も棄ててこの城に集まっていた。 大佛次郎『赤穂浪士(上)』より引用
  • 多忙極まる上に、国家の運命、国民生活の前途の不安等にて、落ちついて仕事をすることが出来ない。 伊藤整『太平洋戦争日記(二)』より引用
  • 若し前途の不安と、父の名を知る時に対する一種宗教的な畏怖がなければ、スーラーブは、ためらわず愛人の地位に自分を置いたであろう。 宮本百合子『古き小画』より引用
  • 前途の不安が全く除かれてみると、深山を楽しむの快感が身にみ渡り、いい知れぬ勇気が湧いて来る。 中里介山『大菩薩峠』より引用
  • ところが恭子などは、闇の話にのぼせ日夜前途の不安に脅えてべちやくちやと僕の傍で喋べくるのですからかなひません。 原民喜『書簡』より引用
  • しかし、赤い腹をぶざまに、うらうらとした五月の陽光にさらして田圃の中に擱座している船を見つめていると、けさ五時すぎ、足もとにせまる恐怖と、前途の不安にせきたてられながら、それでも乗船の順番がまわってきて、ほっとした思いで桟橋や埠頭に集まってきた人たちのことを思って、暗澹たる気持ちになった。 小松左京『日本沈没 a上巻』より引用
  • しかし、怨恨は怨恨でも、光秀の場合は、前途の不安にかられたとか、武士の面目をふみにじられたとか、そういったことに起因する恨みが原因ではないかと、推測する。 桑田忠親『明智光秀』より引用
  • そこには、おそろしく倹約に暮している下宿の主婦かみさんが、燈火あかりけ惜んで、薄暗い食堂のすみに前途の不安を思いながらションボリ立っていた。 島崎藤村『新生』より引用