前栽
全て
名詞
156 の例文
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源氏が桂の別院にくるという知らせがあったので、近くの領地の人々はそこへ集まっていたが、源氏をさがして、みなこの大堰の山荘へ来た。源氏は彼らに命じて前栽の木々の折れたのなどを手入れさせたりした。
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これではならぬと思い、私は考えた末、これを私の前栽へ解放してやろうと思った。前栽には大きな石が積み重ねてあり、その上には稲荷様が祀ってあった。私はこの石崖こそは自然のビルディングだと思ったから、私は早速彼らをこの石崖へ撒き散らしてしまったのであった。
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しかしそれでも、不思議がいつのまにか既に始まっていることに、気のつかない人もいた。しかし人々の眼は、その時はもう前栽の植込に眼を奪われていた。そこには五葉の松に並んで桜の木が数本植えられていたが、その桜が、何と見事な花を咲かせていた。
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さっきの家司も雑色も、彼を置き忘れてはいなかった。紙燭の影が揺れて来、ふたたび、以前の平門前の前栽まで連れて行かれた。すでに、彼がさきに述べた口上と、大叔父国香からの書状とは、家司から取次がれて、右大臣忠平の許に通じられていたことは確実らしい。
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おもふに前栽の訛にして、往時御前栽畑ありし地なりしを以てなるべし。
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地震で焼けた向島の梵雲庵は即ち椿岳の旧廬であるが、玄関の額も聯も自製なら、前栽の小笹の中へ板碑や塔婆を無造作に排置したのもまた椿岳独特の工風であった。この小房の縁に踞して前栽に対する時は誰でも一種特異の気分が湧く。
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ところで私の作ったビルディングは、どうも虫の生活には不適当だと見えて、日々かなりの死者を出すのであった。これではならぬと思い、私は考えた末、これを私の前栽へ解放してやろうと思った。前栽には大きな石が積み重ねてあり、その上には稲荷様が祀ってあった。
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ケンがいて危いからである。部屋の左は大きなガラス窓になっていて、前栽の芝生が見える。低いテーブルの上には、その週のタイム誌や読みさしのロスアンジェルス・タイムズが開いたままになっていた。
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庭らしい様子を整えているのは、格子戸の玄関正面をかくしている前栽の植込みで、松が五本、椿が三本、それに下植えとして満天星数本が素朴に繁っていた。前栽を火山岩の石が円形に囲んでいるが、石は黒く、青苔がついていた。そのほかは、だだっぴろい地面で、何の人工も加えられてなかった。
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二人は原っぱのような前栽のなかに立っている一軒家に通された。日あたりのいい縁側に座蒲団を持ち出してそれに座ると、K氏はにやにや笑い出した。
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しかし両親の死がこの二十数年の感慨を一瞬に悲しい色彩で塗りこめてしまった。父の死と同時に他人の手に渡った家は、現在は前栽の植木二本だけを残して両親とぼくの記憶は全てこの世界から姿を消してしまった。西脇はぼくにとって両親そのものであっただけに、両親の死は西脇の死でもあった。
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何事かを宋江から耳打ちされて、斜向いの大籬の門へ、すうっと、入って行ったものである。内は前栽から玄関もほかの青楼とはまるで違う上品な館づくりだ。長い廊から廊の花幔幕と、所々の鴛鴦燈だけが艶めかしいぐらいなもの。
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が、おのおの三尺の入口扉が独立についている。第一軒の入口に白い柱列でもあればそれは三坪ほどの前栽に向って全建物が終るまでつらなっているであろう。そして小砂利か煉瓦でたたんだこみちが往来をくぎる垣根までつけられている。
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庭に近い室であったから、横の引き戸を開けて二人で外をながめるのであった。小さい庭にしゃれた姿の竹が立っていて、草の上の露はこんなところのも二条の院の前栽のに変わらずきらきらと光っている。虫もたくさん鳴いていた。
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庭へ行って見た。食堂から奥の座敷へ通うところは廻廊風に出来ていて、その間に静かな前栽がある。可成広い、植木の多い庭が前栽つづきに座敷の周囲を取繞いている。
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結実した種子でもふえるが、多くは株わきにできる新苗で増える。日本では万葉の昔から愛好され、前栽、切花などに用いられてきた。漢方にも用いられる。
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御影石だたみの路を十間ばかりも行くと、冠木門があって、そこから中庭になる。あまり樹の数をおかない上方ふうの広い前栽で、石の八ツ橋をかけた大きな泉水がある。
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