初初しい

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  • 八重の故郷は愛知川の上流の君ヶ畑で、紺絣姿は私の頭に初初しい印象を刻んでいる。 外村繁『澪標』より引用
  • ミホは、一六さいになったばかりの少女らしい初初ういういしさの同居する不満の表情をつくった。 松枝蔵人『聖エルザクルセイダーズ外伝「修羅の少女」』より引用
  • 三十になっていながら、その姿に、初初しさが溢れていた。 源氏鶏太『天上大風』より引用
  • それは何んとなく、運命というものの顔を不意に見たようで、もう一度見たいと希っても、再びは見られぬ初初しい温もりに似たものだった。 横光利一『旅愁』より引用
  • 不安、動揺、混乱は、まだ失われぬ都会人の初初しい徳義心の顕れだ。 横光利一『夜の靴』より引用
  • 土屋は桐山のそうした若者らしい初初しさを発見して、少なからずっとしたことだった。 内田康夫『後鳥羽伝説殺人事件』より引用
  • 私は本集に輯めた詩を自分ながら初初しい作品であること、少年の日の交り気ないあどけない真心まごころをもつて書かれたこととを合せて、いくたびか感心をして朗読したりした。 室生犀星『抒情小曲集』より引用
  • 詩は詩を求める熱情あるよき魂を有つ人にのみ理解される囁きをもつて、恰も神を求め信じる者のみが理解する神の意識と同じい高さで、その人に迫つたり胸や心をかきむしつたり、新しい初初しい力を与へたりするのである。 中野重治『室生犀星』より引用
  • 真紀子は素直に起きて来ると、小娘のような初初しさで少し膨れ、久慈と並んで椅子に腰を降ろした。 横光利一『旅愁』より引用
  • 話してゐるうちに、私は荒れすたれたやうな心の底から、別な初初しい優しい感情が湧き出ることをかんじた。 室生犀星『蒼白き巣窟』より引用
  • 初初ういういしい感じの娘が、手にギヤマンの盃をもてあそびながら、顔を斜めに向けてほほえんでいる。 藤沢周平『喜多川歌麿女絵草紙』より引用
  • 更に一輪、流石に夕空の清冽な色の中に、純白な舟型の花弁を開いてい、その梢の上に、星が一つ、初初しい光を放っていた。 外村繁『落日の光景』より引用
  • 少女から娘になったばかりのように、初初しくどこかあどけなさを残しながら、浴衣につつみきれないほどの、のびやかな躰をしている。 藤沢周平『又蔵の火』より引用
  • 矢代は嫁に自分の栖家を初めて見せるような、初初しい気持ちに満たされて彼女の後姿を眺めるのだった。 横光利一『旅愁』より引用
  • 別に彼が「女を紹介する」と言っても、紹介しもしなかったが、そのもの柔らかな言葉や、詩の話などが出るごとに、あの悪魔的な大胆な男が、よくもこうまで優しい情熱をもっているかと思うほど、初初ういういしいところがあった。 室生犀星『性に眼覚める頃』より引用
  • 彼が陸送屋として、不眠不休で働いている頃に、母親は軽食の店をひらいており、手伝いの妹の初初ういういしさが、評判になったものだった。 佐木隆三『旅人たちの南十字星(「逃亡射殺」に改題)』より引用
  • まだ中学を出たばかりに見える若い検査官二人だったが、どちらも実直そうな好人物の相ながらも、威厳を保とうとする沈黙に努める風情が、並んでいる大人たち乗客の世ずれた表情の中で、初初しく緊って見えた。 横光利一『旅愁』より引用
  • それが今は、ぶつりと背後の紐は断ち切れて、眼に映る港の建物、船舶、街路の起伏に連る人家の隙間と、直接自分の根を張りわたらせる樹木のように、独立してゆくものの切迫した、初初しい悲しみを彼は覚えて来るのだった。 横光利一『旅愁』より引用
  • 私は立つて窓からすぐ汚ない通りを見てゐたが、もう狹苦しい長屋つづきの裏町にも、釘打にされた松飾りが初初しい新しい年を迎へるために、そこここに青青としてゐた。 室生犀星『蒼白き巣窟』より引用
  • 年老いたあわれな、初初ういういしい心よ! ユゴー/斎藤正直訳『レ・ミゼラブル(上)』より引用