分身たる
22 の用例
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アスナを見つけ、にこっと笑顔を送ってくるシーエンの顔に、もう一度涙がにじみそうになるのを堪える。
彼らは皆、分身たるアバターを喪失する覚悟で助けにきてくれたのだ。
ならば、ただ一人スーパーアカウントに保護されている自分が最大の危険を冒し、彼らの犠牲を最小にとどめなくてはならない。
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九里史生『SAO Web 0407 第八章02』より引用
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二時間ごとに交代し、眠くなったら眠り、腹が減ったら買いこんでおいたお菓子やらオニギリやらサンドイッチやらを食べた。
冒険は順調に進み、画面の中で、彼らの分身たる存在はだんだんと逞しくなっていった。
栄光があり、挫折があり、復活があった。
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橋本紡『半分の月がのぼる空 第07巻』より引用
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偽善のマスクを被つて聖人振り、世を欺く奴ほど気障なものは無い。
その人の分身たる子供がやがて不良性を発揮してその偽善のマスクを引き剥ぐものである。
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出口王仁三郎『三鏡 『水鏡』『月鏡』『玉鏡』 kgm 2 20060303』より引用
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コーエーが出している麻雀ソフト『麻雀大会』を元にしたソフトである。
まず、プレイヤーの分身たるキャラクターを作成する。
名前の入力、外見、ボイスの決定を行ってからゲームが始まる。
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まあこの際どんな面相になろうともさして問題はない。
プレイヤーの分身たるキャラクターは、いわゆる妖精をモチーフにした九種族から選択できるようだった。
それぞれに多少の得手不得手があると説明される。
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九里史生『SAO Web 02』より引用
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これ以上ひどい言葉は使いたくないが、しかしその快楽がひとたびエドワード・ハイドの手にかかると、たちまちにして途方もなく醜悪な方向へそれだしてしまうのであった。
放埒な遊びをして帰ったときなど、わたしの分身たるハイドの犯した邪悪な行為を思って慄然としたことが一再ならずあった。
わたしが自分の魂のなかから呼びだして、勝手気ままに振舞わせてやろうと世にだしてやったこの使い魔は、もともと性、凶悪邪険であった。
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スティーヴンスン『ジーキル博士とハイド氏』より引用
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なのにあの人は立ち上がった。
そして、レンリの神器・比翼と同じように己と友の分身たる二本の剣を操り、凄まじい力を発揮して数万の敵軍を滅した。
彼は、その背中でレンリに教えてくれた。
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九里史生『SAO Web 0407 第八章02』より引用
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しかし早速またエドワード・ハイドの名義で別の銀行と取引をはじめたので、こういう危険はその後はたやすく避けることができたのであった。
その上わたしは、自分の書体を右下がりにして書いてそれを分身たるハイドの署名の書体にしておいたから、こうしておけば災厄の手の届かない安全地帯にいるも同然だと考えたのであった。
サー・ダンヴァズ殺害事件のほぼ二た月ほど前、わたしはいつもの遊楽にでかけて夜が更けてから帰って来たが、翌朝寝床のなかで目をさましたとき、なんだか変な気持がしたのであった。
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スティーヴンスン『ジーキル博士とハイド氏』より引用
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しかし予は主筆に、予をして猶暫く語らしめん事を願う。
想うにこの文を読むものは予に対って、汝は汝の分身たる鴎外の死んだのを見て、奈何の観を作すかと問うであろう。
予はただ笑止に思うに過ぎぬ。
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森鴎外『鴎外漁史とは誰ぞ』より引用
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彼は自分が一寸法師であるという自意識のために、女を犯すことが出来なかった。
ただ彼の分身たるうつろが彼の代役を果した。
うつろこそ、一寸法師のあらゆる怨恨、邪欲、淫夢、怨念の象徴であった。
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山田風太郎『忍法鞘飛脚』より引用
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祖先が想に堪へずして吐露した詞語が、祖先の分身たる吾等に親しくないとは吾等にとつて虚偽である。
芥川竜之介『僻見』より引用
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対峙するカーディナルは油断なく杖を構えているが、今度は先ほどのように大掛かりな術を叩き込んでとりあえず黙らせる、というわけにはいかない。
その瞬間、ゴーレムの後ろからアドミニストレータの攻撃術が降り注ぎ、分身たる両者の力の均衡を崩してしまうだろう。
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九里史生『SAO Web 0405 第七章02~転生Ⅱ』より引用
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真・女神転生で対立していた「メシア教」と「ガイア教」の間で大協定と呼ばれる不可侵条約が結ばれ、「共同体社会」が成立した後という設定となっている。
プレイヤーは「デビルバスター」となり、自分の分身たるキャラクターを作成して、悪魔召喚プログラムを使い、敵として出現する悪魔を交渉で「仲魔」にし、共に戦っていく。
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しかしすぐに、両者の体はその色と形を変え始める。
それぞれの分身たる、対戦用の〈デュエルアバター〉へと。
ハルユキの丸っこい四肢が、末端から銀色の輝きに包まれ、同時に細く細く絞られていく。
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川原礫『アクセル・ワールド 02 -紅の暴風姫-』より引用
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神武紀に於てはその敵はウカシ兄弟である。
これも両面スクナと同じであって、攻撃される方とする方とは、一方がクマソ的であれば一方は日本武尊的で、神武天皇の兄弟たり分身たる五瀬命の運命は日本武尊的ですが、その敵将の運命はクマソ的で、合せるとスクナの両面になる。
そして実際はクマソと日本武尊の運命を一身に合せた悲劇的な運命の者の方が実は征服した方の正理をもつものでもあった、即ち日本の本来の首長であった、ということを五瀬命の兄弟分神たるものが征服者で正統の日本の第一祖たる神武天皇であることによって示されてもいると解しうるのであります。
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坂口安吾『安吾の新日本地理』より引用
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人類も其の或者、否其の多數、即ち凡愚は、たゞ之に順つて醉生夢死して居るのである。
然るにたゞ單に其の法律には盲從せずして、造化の其の法律の精神を體得し、其の法律の如何なるものであるかを知りて之を運用し、被治者の地位たる野猿山羊の羣より超越して仕舞つて、漸やくにして治者、即ち造化の分身たる地位に到達せんと欲して居るのが人類の情状で、古來の賢哲は皆幾分か其の望を達し得て居るのである。
そして造化は造化が人類に與へた野猿山羊的の形骸及び機能等、即ち一般動物の有すると同一なる低級約束に對しては、或程度の自由を得て之を辭し之を脱するを得ることを許容して居るし、一方には又野猿山羊等の與かる能はざる高級權利、即ち造化の分身たり得る權利を人類に與へて居るのである。
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幸田露伴『努力論』より引用
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去年の秋、黒雪姫からプログラムを受け取ったハルユキは、ディティールこそ憶えていないが、長い長い悪夢を見たのだ。
プログラムはその夢を漉し取って、ハルユキの分身たるデュエルアバター〈シルバー・クロウ〉を作り出した。
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川原礫『アクセル・ワールド 08 -運命の連星-』より引用
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分身たるシルバー・クロウは現在、無制限中立フィールドの中心に存在する〈帝城〉の奥深くに、浄化能力者〈アーダー・メイデン〉とともに取り残されている。
そこからもう一度、二人で〈四神スザク〉の猛攻をくぐり抜けて生還せねば、ハルユキにバーストリンカーとしての未来はない。
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川原礫『アクセル・ワールド 08 -運命の連星-』より引用
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キット関係が火急の問題ではあるが、ハルユキとても、分身たるデュエルアバター〈シルバー・クロウ〉が無制限中立フィールドに於いて封印状態の身だ。
浄化能力者たる〈アーダー・メイデン〉と共に何が何でも脱出し、日曜の七王会議までに〈災禍の鎧〉を浄化せねば、加速世界で最大級の賞金首となってしまう。
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川原礫『アクセル・ワールド 08 -運命の連星-』より引用
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これらを合せ攷うるに、わが邦のミヅチは、最初水辺の蛇能く人に化けるもので、支那の蛟同様人馬を殺害し、婦女を魅し婬する力あったが、後世一身に両役叶わず、本体の蛇は隠居して池の主淵の主で静まり返り、ミヅチの名は忘らる。
さてその分身たる河童小僧が、ミヅシ、メドチ、シンツチ等の号を保続して肛門を覘うたり、町婦を姙ませたり、荷馬を弱らせたりし居ると判る。
もし本土の何処かに多少有害な水蛇が実在するかしたかの証左が挙がらば、いわゆる河童譚はもと水蛇に根拠した本邦固有のもので、支那の蛟の話と多く相似たるは偶然のみと確言し得るに至らん。
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南方熊楠『十二支考』より引用