刃物三昧
24 の例文
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人家は遠く、夜はふっつりと人通りがなくなって寂しいので、夜鷹と呼ばれる売春婦が客をひきにたむろして、これがまた客としばしば揉め事を起す。かと思うと追い剥ぎが出たり、やくざが刃物三昧に及んだりする場所でもあった。「昨夜はあの雨でございますから、夜鷹も出ては居りませんし、日が暮れたら駕籠屋だって寄りつきは致しません」 江戸に馴れた者なら和泉橋を渡りなぞしないで、神田で辻駕籠をみつけたものを、と助五郎は苦い顔をしている。
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彼はこんな事は日常の茶飯事だと云わぬばかりに別に驚きも怒りもしないらしい。そして刃物三昧には馴れ切った男と見えてちょっと肩を聳かしたまま、黙って室内を大股に歩き出した。女は刃物を投げ棄てて泣き出した。
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いいかい、ぼくは犯罪とはいっていない。ぼくがいっているのが刃物三昧とか、その他の犯罪行為なら、それをおかした者は法の裁きを受けることになる。ぼくは過ちという言葉を使っているからね。
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思いみられよ、優婆塞どの、世は武家の世じゃ。草深い田舎にあっても、うぬがわれがと、刃物三昧、力ずくだてがおしとおる。
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おたがいに男と女のことで喧嘩をし、刃物三昧になった。
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三左衛門も駈けつけて来た。五郎三郎ももう隠す訳にも行かなくなって、盤の上の一目二目の争いから、分別盛りの侍がおとなげない刃物三昧をしたと思うな、家のため、親類縁者のためには、どうしても甥一人を殺すよりほかはないのだという自分の決心を明かして聞かせた。そうして外記にむかって、この上は尋常に腹を切れ、叔父が介錯してやると迫った。
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その頃山の木挽達といえば、一般に世間からは、警察の手のとどかないのを好いことに酒と賭博に日を送って、ややともすれば刃物三昧の喧嘩沙汰におよび、人殺しまでもしかねない血腥い人種のように考えられていた。宿でも実は彼等が六人もうち揃って、蒲団から米、味噌、醤油、酒樽まで一切背負ってやって来られた時には、折角都会の客で繁昌してきた折柄、ひどく迷惑に考えた。
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ほら、新聞によく出るだろう。刃物三昧で女を殺す事件が。
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「わかるものか」 「わかればひどい目に会うぞ」 「やつらがぼくを追い払うためには刃物三昧も辞さないだろうぐらいのことは、百も承知さ」 ルコックは扉を押し開け、お目当ての二人が坐っている傍に腰をおろし、ひどくしわがれた声で酒と食事を注文した。メイとフェルト帽の男はなにやらしゃべっている。
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五郎 おゝ、はじめから仕組んだ今の口論。分別ざかりの武士が理不盡の刃物三昧、おとなげないと思ふなよ。覺悟はして來ても、人のこゝろは弱いもの、現在の甥を切らうとする腕は鈍つて、撃ち損じたが殘念だわえ。
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野暮の骨頂なり。血気の少年はさて置き分別盛の男が刃物三昧無理心中なぞに至つては思案の外にして沙汰のかぎりなり。およそ森羅万象一つとして常住なるはなし。
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大丈夫、そうすりゃ貴下の上へ、屏風に倒れて背になって、私が突かれる、斬られて上げるわ。何の、嫉妬の刃物三昧、切尖が胸から背まで突通るもんですか。一人殺される内には貴下は助かる。
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満されないものがはびこりはじめた。良人との衝突も度重なって洋燈を投げつけるやら刃物三昧などまでがもちあがった。とうとう無事に納まらなくなってしまった。
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音造も表向きに持ち出せる問題じゃあないから、所詮は泣き寝入りにするのほかはない。その口惜しまぎれに刃物三昧に及んだわけですが、その音造を取り押さえた為に、清五郎もすぐに其の場から縄付きになるとは、天の配剤とでも云うのでしょうか、まことに都合よく行ったものです。音造も清五郎も無論死罪ですが、お米だけは早くも姿を隠しました。
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勿論まだ本人がいないのだから、あなたがお含みおき下さればいいのですが。あすこには気ちがい息子がいて、おやじを刃物で追いまわすのよ、私は隆ちゃんがそんな奴に刃物三昧に会うのは大嫌いよ、誰だってね。では又近日中に。
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女をとり合って、あげくが刃物三昧だ。
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かほどの人が五十三の五郎兵衛と相思の仲に落ちたという、もとより五郎兵衛に凡ならざる取柄があってのことでしょうが、この娘も変り者です。親の師匠も承知で、それに就ては正式に結婚してくれろ、という、五郎兵衛もその肚ですが、お玉が頑張っていますから、根岸の里に然るべき住居を定めて新婚生活を始めましたが、之をお玉が嗅ぎつけたから、刃物三昧です。根岸の里にも居られぬ、親元も危い、そこで新夫人はあの旅館この待合と居所を変えてお玉の襲撃をかわしますが、之につれて五郎兵衛の居所も定かでない。
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