出入り
全て
名詞
12,192 の用例
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近所の多くの人々も同様な意味の証言をなした。
この家へしばしば出入りする者といっては一人もないということだった。
レスパネエ夫人と娘との親戚で生きている者があるかどうかもわからなかった。
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ポー・エドガー・アラン『モルグ街の殺人事件』より引用
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実は今まで僕の処に出入りしていた実験用の犬屋君が死んじゃったんだ。
腸チブスか何かでね。
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夢野久作『超人鬚野博士』より引用
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本名も不明で、そのときの呼び名がウィザード・ドクターだったというわけだ。
で、いろいろな研究室に出入りしていたようで、専門も謎だったらしい。
ただ、様々な教授と親しく話ができていたようだ。
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篠崎砂美『お隣の魔法使い1 ~始まりは一つの呪文~』より引用
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警視庁でも明かりのついているのはこの部屋だけであった。
かつてなら、頻繁に出入りしていた新聞記者は今はだれも姿を見せない。
くわえ煙草伝兵衛は、その背中にみせる老いに託して、何物かを留吉に伝えていた。
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つかこうへい『小説熱海殺人事件』より引用
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夫は急にうろたえたようすで冷えた盃を干した。
たぶん店には三枝という女が女房気取りで出入りしているためであろう。
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中井英夫『とらんぷ譚』より引用
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猪喰の予想通り、陽がそそり立つ鈴鹿山脈の上に達した頃夕餉の準備が始まった。
出入りしていた者がいなくなったのは、自分の家に戻ったからである。
二人は夕闇に紛れて這いながら長の家に近づいた。
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黒岩重吾『白鳥の王子 ヤマトタケル 4 東征の巻(上)』より引用
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あの會議の晩ののちにもすでに二度三度男は事務所に出入りしてゐた。
ポスター張りの手傳ひに彼は來たのだつた。
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島木健作『黎明』より引用
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私は不思議に思った。
しかし私は先生を研究する気でその宅へ出入りをするのではなかった。
私はただそのままにして打ち過ぎた。
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夏目漱石『こころ』より引用
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郵便受けの扉にはいちおう鍵がついているが、ほとんどの住民は鍵をかけていない。
玄関のドアには鍵はないので、誰でも自由にその建物に出入りできる。
暗い廊下には、建築されてから長い歳月を経たアパート特有の匂いがする。
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村上春樹『1Q84 BOOK3』より引用
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彼はまもなく門番の内儀さんと懇意になって、一時間ばかり、雑多な世間話をした。
この一時間のあいだに三名のあやしい男が出入りするのに眼をつけた。
その日の午後から、翌土曜日の午前にわたる探偵の結果、アルテンハイムの部下七名はこの長屋に住んでいることをつきとめた。
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ルブラン/保篠龍緒訳『813(下)(ルパン・シリーズ)』より引用
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そうして、彼のお金となんだか仲好く話しているというのですから、これは何うしても見逃されません。
朋輩の女もすぐに眼をつける、出入りの客や地廻り連も黙ってはいない。
あいつは何うも可怪しいという噂がたちまちに拡まってしまいました。
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岡本綺堂『三浦老人昔話』より引用
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実は少し判断に迷っていた。
出入りの家の関係者の葬儀なのだから、本来なら顔出しをすべきだろう。
けれども、宗主との関係が良くない人間となると、話は別だ。
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姉小路祐『風水京都・竹の殺人』より引用
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手術着の下着をつけた医師や、看護婦が頻りに手術室を出入りしている。
外村繁『澪標』より引用
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たえず部屋の入口で人々が雑踏していた。
扉は半開きのままで、眼の鋭い重々しい顔つきの連中が出入りしていた。
彼らは激しい調子でくだらないことを言っていた。
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ロラン・ロマン『ジャン・クリストフ』より引用
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兼吉のそばに膝をかき合わせている桑作はまた、言葉もすくない。
しかしこの二人は彼の家へ出入りする十三人の中でも指折りの百姓であった。
そこで彼はこんな場合に話して置くつもりで、さらに言葉をつづけた。
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島崎藤村『夜明け前』より引用
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棟上げの式も一段落ついて、出入りの者もそろそろ帰りかけた頃である。
下谷長者町の筆屋幸兵衛は、壁塗りの勘定のことで、ふと思い出したことがあるので、祝いの日ではあるが、忘れないうちにと思って、その時奥の居間にいたのが、台所へ出て来て、壁を請負った壁辰の親方のすがたを物色した。
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林不忘『魔像』より引用
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その青年がかたづけながらひろげて見ていたモスクワ芸術座の立派な写真帖が、あとからどうさがしても見えなくなっていた。
そして、その学生は、もうそれきり素子のところへ出入りしなくなった。
課業が終ってから、素子は、 「いそがないんなら、夕飯をたべていらっしゃい」 と蕗子をさそった。
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宮本百合子『二つの庭』より引用
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そのほかに金三とかいうツンボでオシの下男がいて、島田じゃア、ツンボでなきゃア下女下男に入れない家法だ。
もっともお吉という女アンマが出入りしているが、これはメクラだとよ。
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坂口安吾『明治開化 安吾捕物』より引用
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社員たちは、町のあちこちの酒場にも盛んに出入りするようになっていた。
平田剛士『漁民解体』より引用
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点滴液が身体の中に入り、カテーテルが僅かな排泄物を外に運び出す。
彼がまだ生きていることを示すのは、それらの緩慢で静かな出入りだけだ。
ときどき看護婦が電気シェーバーで髭を剃り、先の丸くなっている小さなはさみを使って、耳と鼻から出ている白い毛を切る。
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村上春樹『1Q84 BOOK3』より引用