冴え渡る
全て
動詞
25 の用例
(0.00 秒)
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高度八〇〇〇メートルの空は、深夜の暗さだけをひたすらに強く表していた。
雲はなく、冴え渡るような月と、その周囲に無数の星が散らばっている。
雲の層がここより下にあるため、そもそも天体を隠すものが存在しないのだ。
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鎌池和馬『とある魔術の禁書目録 第10巻』より引用
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状況を逐一クリアにしていくにつれ、全身をずぶ濡れにしてくれた冷水が身体に籠った熱を奪い、意識を冴え渡らせていく。
冴え渡るついでに困ったことも思い出した。
考えるべきことがたくさんあったはずなのに、とんでもない闖入者のおかげでそれも頓挫させられてしまった。
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鈴木大輔『ご愁傷さまニノ宮くん 05』より引用
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浄化された空気が辺りを包んでいく。
目の奥までも冴え渡る意識に、誰もが心地好く身を預けた。
周囲の人間はこれが國子の力だとわかっている。
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池上永一『シャングリ・ラ 上』より引用
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川を下るにつれて、おれは五感がますます冴え渡るのを感じた。
長い間の悪夢から醒めたもののように、風の方角、草木にこもる気配のひとつひとつが、鋭敏に肌へ泌み入ってくる。
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菊地秀行『トレジャー・ハンター07 エイリアン妖山記』より引用
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また、唯一の窓は直径5センチ程度の小さな穴が開いた嵌めごろしの天窓のみで、現場は密室状態であり、ドアのサムターン錠は通常のものより回りにくい固い作りになっており、糸を使ったトリックも現実的ではなかった。
事故なのか、事件なのか、事件ならば密室トリックはどのように作られたのか、右京の推理が冴え渡る。
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私は三十を過ぎたばかりだったが、耳に当てた冷たい金属の肌触りから洩れて来る爪弾きに、過去の時代への郷愁のようなものを感じていた。
鋭く冴え渡る三味線の音色に、武蔵野を吹きすぎる松風の音が混った。
声は哀婉を極めていた。
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福永武彦『夢みる少年の昼と夜』より引用
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南田は奇妙な感覚にとらわれていた。
手中にしたスクープに、興奮してしかるべきなのに、頭は冷え冷えと冴え渡るばかりだった。
頃合いを見て小堀の話を遮り、ポイントを衝いた質問をぶつける。
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永瀬隼介『サイレント・ボーダー』より引用
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弟子に曽根麻矢子、ニコラウ・デ・フィゲイレドがいる。
冴え渡る高度な技巧を有していながら、奇をてらった表現はほとんどなく、端正な演奏を良しとしていた。
一方で、チェンバロ演奏にしばしば見られるような学問的興味に傾いた演奏様式とも一線を画しており、生き生きとしたリズムや和声によって音楽の本質に迫ろうとする特徴がある。
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ベッドの中で桜木は、まんじりともせずに夜を過ごした。
時間が経つほどに冴え渡る脳内に、深雪のひと言が渦巻いた。
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新堂冬樹『忘れ雪』より引用
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朝から冴え渡る俺のユーモアを一蹴し、アスナは考え込むようにカフェオレのカップを抱えた。
九里史生『SAO Web 外伝05 圏内事件』より引用
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その話をして聞かせた乳母の里でも村一番の美しい娘が人に逢いたいとて闇夜に家を抜け出して鎮守の森で待っているうちに野衾に血を吸われて冷めたくなっていたそうだ。
氷を踏むような自分の足音が冷え初めた夜の町に冴え渡るのを心細く聞くにつけ野衾が今にも出やしないかとビクビクしながら、一人で夜歩きをしたことをつくづく悔いたのであった。
覆いかかった葉柳に蒼澄んだ瓦斯燈がうすぼんやりと照しているわが家の黒門は、固くしまって扉に打った鉄鋲が魔物のように睨んでいた。
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水上滝太郎『山の手の子』より引用
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史家としても有名な『愚管抄』六巻をあらわした人である。
この歌は、京の西方大江山に冴え渡る月に、南方鳥羽田の野に落ちる雁を配する。
落雁はふつう地におりた雁を歌う例が多いのに対し、これは空から落下しつつある雁をうたった歌としても、注目される。
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大岡信『名句歌ごよみ〔秋〕』より引用
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そして夕食の後、久納中尉は食堂で古ぼけたピアノを弾く。
心なしか、この夜の音色は冴え渡る。
整備の士官が、あふれる涙をこらえて泣く。
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御田重宝『特攻』より引用
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もっともこの寺というのは例の足立駅長の世話があったのと、納豆売りをしていた少年の母のことを寺の和尚が薄々知っていたのとで、案外早く話がついて、その夜のうちに埋葬してしまうことになったのだ。
今夜はいつになく風が止んで、墓地と畑の境にそそり立った榛の梢が煙のように、冴え渡る月を抽いて物すごい光が寒竹の藪をあやしく隈どっている。
幾つとなく群立った古い石塔の暗く、また明く、人の立ったようなのを見越して、なだらかな岡が見える。
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白柳秀湖『駅夫日記』より引用
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玲瓏たる美貌を秋風が打つ。
冴え渡る月光の下であった。
Dは道を進まなかった。
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菊地秀行『吸血鬼ハンター別巻01 D-昏い夜想曲』より引用
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権次の言葉に耳を澄まして見ると、いかさましんしんと冴え渡る夜気を透して、幽かに裏口のあたりからトントンカチと伝わって来たものは、まさしく大工達の槌の音でした。
佐々木味津三『旗本退屈男』より引用
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仰天するハルユキに対して、あくまで冷静な女子小学生は、ますます冴え渡るキーボードさばきで事の成り行きを解りやすく説明してくれた。
梅郷中学校は、東京都杉並区に存在する私立の、いちおう進学校だ。
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川原礫『アクセル・ワールド 06 -浄火の神子-』より引用
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昔風な径路のついた山裾を歩いても、岩の間の切通しを見ても何か捕えがたい憂鬱めいたものが心に来る。
それゆえ、鎌倉の明月の夜の景色を想うと空に高く冴え渡る月光に反し、黒く深く黙した山々の蹲りがありありと見えて来る。
借りた茅屋根の小家は、明月谷にある。
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宮本百合子『この夏』より引用
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神田お玉が池に住む岡っ引きの人形佐七が、次々と江戸の事件を解決してゆく。
よく練られたトリックと冴え渡る推理、一見おどろおどろしい筋立てや濃密な性描写などが特徴である。
人情話が主体で、成り行きで解決することも少なくない他の捕物帳ものとは一線を画す。
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彼は女性のパンティを被ることで、SM嬢の母親から受け継いだ変態の血によって潜在能力が発揮され、超人的パワーを持つ「変態仮面」へと変身するのであった。
思いがけず意中の女生徒・姫野愛子のパンティを入手したことで、冴え渡る数々の変態秘技を駆使し、今日も悪人達を懲らしめる。
狂介がパンティを被る事で変身する異形のヒーロー。
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