冴えわたり
全て
動詞
32 の用例
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アパラチア山脈であろう。
頭上の空は青藍色に冴えわたり、西の空低く、大きな月がかかっていた。
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光瀬龍『紐育、宜候 SF〈太平洋戦争〉』より引用
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二十三日の夜、城山に於ては、徹宵の酒宴がはられた。
空は晴れ、中秋の月が冴えわたり、人生最後の夜の条件はそろっていた。
明けて二十四日払暁、総攻撃の合図が、私学校のあたりで、銃声をもって、包囲軍に告げられた。
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柴田錬三郎『(柴錬立川文庫5) 日本男子物語』より引用
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いつもなら、午前九時から寝てちょうど四時頃起きる。
だから体は疲れ果てているのだが、逆に神経は冴えわたり眠りはなかなか訪れてはくれなかった。
雅子は冷蔵庫を開けて缶ビールを取り出し、一気に飲んだ。
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桐野夏生『OUT(上)』より引用
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哲男は、じっと目の高さに掲げた刀身を眺めた。
眺めるうちに頭がすっと冴えわたり、そこに直接、声が聞こえてきた。
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かんべむさし『建売住宅温泉峡』より引用
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しかし、本気で死ぬと思ったことはないような気もする。
絶体絶命の状況になればなるほど、心が冴えわたり、全身に力が漲ってくる。
そしてそんなときにこそ、生きているという実感が湧いてくるのだ。
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水野良『魔法戦士リウイ 第03巻』より引用
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デ・アルメイダが二人に訊く。
身体を横にしたところで、頭は却って冴えわたりそうだった。
こうやって受身で何かをやらされているほうが、気が紛れる。
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帚木蓬生『受精』より引用
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梅雨がやってくるには、まだしばらくの間があった。
見あげているうちにも、空はますます冴えわたり、月はいよいよその輝きを増してゆく。
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夢枕獏『陰陽師太極ノ巻』より引用
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鮮やかな白さに満ちた長大な廊下へ踏み込むと、背後でドアが閉まった。
何もかもが白く冴えわたり、空港のロビーのような穏やかさに包まれている。
ボイルドはまっすぐ歩いた。
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冲方丁『マルドゥック・スクランブル The Second Combustion 燃焼』より引用
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彼の身体は、まるで実体の失せたもののように軽くなった。
頭は、いまだかつてなかったほどに冴えわたり、感覚はその能力を倍加したように思えた。
水平線がひろがる。
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アレクサンドル・デュマ/泉田武二訳『モンテ・クリスト伯(2)』より引用
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室内の換気がひととおりすみ、蒸れた空気がさらりとしたそれに入れかわったのを肌で推し測り、ベランダの戸を三分の一まで閉めた。
夜の八時をすぎ、本格的な夜の深まりにつれて満月の光はいちだんと冴えわたりはじめていた。
不気味なほど肉感性をおびた月に、つかのま佐代子は圧倒された。
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藤堂志津子『やさしい関係』より引用
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こうなったら、二、三日のうちにこっちへくるという彼女の言葉を信じて、じっと待つしかあるまい。
しかし、夜が更けていっても、ますます目は冴えわたり、とてもではないが、眠りにつける状態にはならなかった。
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吉村達也『出雲信仰殺人事件』より引用
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二人は立ちあがり、恵子に案内されて、離れへ出向いた。
月が、いつになく冴えわたり、快い風が流れていた。
あたりはすっかり、気持ちのいい夏の晩に変わっていた。
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荒俣宏『帝都物語2』より引用
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二日後にロープを買って鴨居にかけ、ウイスキーを呷って酔いがまわるのを待った。
頭が冴えわたり、眠気も、生死が渾然とするような陶酔もなかなか訪れてくれない。
ボトル一本を空にしたとき、トイレに駈け込み、便器につかまって二時間かけて吐き、あまりの苦しさに死んだほうがましだと思いながら、首を吊ろうとして酔うのではなく、酔った勢いで首を吊らなければならないという教訓を得ただけで、弦一郎の試みはふたたび失敗に終わった。
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柳美里『女学生の友』より引用
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頸巻は大きな蝶形に結ばれ、頭には刺繍のある帽子をかぶって、特別の上品さであった。
訪問が終って帰って来たのは少しおそくなってからであったが、月は煌々と冴えわたり、空気はすがすがしく青く、糸杉は松や近くの丘の上に不思議なほど輪郭をくっきりさせて立っていた。
これは人の一生にただ一度だけある晩の一つであった。
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アンデルセン/神西清訳『即興詩人(上)』より引用
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滝が巖を叩きながら落ち、雄々しくそそぐ流れを、淵は女陰のように受け止めていた。
美しく紅葉した木々を映した水は鏡さながらで、鋭いほどに冴えわたり魚さえ棲めそうにない。
千里人はついに忘却をふり切った。
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浜崎達也『絶対少年 ~神隠しの秋~穴森 携帯版小説 第01 06章』より引用
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夜の闇に潤む幾千のネオンが、まるで海から立ちのぼる潮煙のように港の町を濡らしていた。
透明度の高い冬空の下で光のしずくは冴えわたり、大阪湾から掌を開くように広がる町の血脈を鮮やかに点描する。
もしも町が人のように呼吸し、育ち、栄え、そして衰えるものであるならば、これは一度は絶えかけ、そしてよみがえった再起の光だ。
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森絵都『DIVE!! 下 (RubyMate変換)』より引用
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けれども痛苦はいよいよ劇しく、頭脳はかえって冴えわたり、気の遠くなるような前兆はそよともなかった。
こうして喉の軟骨のつぶれるときをそれこそ手をつかねて待っていなければいけないのだ。
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太宰治『狂言の神』より引用
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飲んでも飲んでも酔いはまわってこなかった。
頭の芯が冴えわたり、ぽつりぽつりと交わす会話のすべてが記憶の襞に刻まれていくというのに、にもかかわらず身体が宙に浮くような感じ、めまいに襲われるような感じがした。
庭の虫の音が大きくなった。
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小池真理子『ひるの幻 よるの夢』より引用
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晩間九穂子と共に銀座清新軒に至りて飲む。
帰途風冷にして星冴えわたりしさま冬夜の如し。
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永井荷風『断腸亭日乗』より引用
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ギリシャでもジョンソンのシュート技術は冴えわたり、特に驚異的とまで言われた3ポイントシュートでカルトなファンの注目を集めた。
ジョンソンのギリシャ時代のハイライトは、ユーロリーグファイナル4の、同じギリシャのライバルであるパナシナイコスとの対戦である。
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