冴えて来

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  • この女が人の殺されるのを見ることを喜んで、その時は美貌益々冴えて来たというから、変質者に違いない。 海音寺潮五郎『列藩騒動録(二)』より引用
  • 待つということの永年の習慣から、夜更よふけとともに、犬のように聴覚がえて来るのだった。 石川達三『青春の蹉跌』より引用
  • 安西はますます目がえて来てしまった。 赤川次郎『自殺行き往復切符』より引用
  • 私は急に眼が冴えて来て、中々寝つかれなかつた。 加能作次郎『世の中へ』より引用
  • 自分の寝惚ねぼけた頭はこの時しだいにえて来た。 夏目漱石『行人』より引用
  • そういいながらだんだん眼がえて来たと思われて、寝床の上に起き直ってむやみと長煙管ながぎせるで灰吹きを叩いていた。 近松秋江『うつり香』より引用
  • その夜はとくに寒気がきびしく、夜半になると部屋に寝ていてさえ、顔がばりばりするほどえて来た。 海音寺潮五郎『新太閤記(一)』より引用
  • 夜が更けて、店をしまふ頃になると、意地悪く眼が冴えて来たが、宵の口の一二時間は我慢が出来ないほど眠かつた。 加能作次郎『世の中へ』より引用
  • 他人のこととなると、僕のコーチも俄然冴がぜんさえて来る。 阿刀田高『花惑い』より引用
  • 菊子の助言通りにいつもより少し熱めの湯をたっぷり浴びると、頭がいくらか冴えて来た。 柴田よしき『紫のアリス』より引用
  • 耳が自然に冴えて来る。 車谷長吉『赤目四十八瀧心中未遂』より引用
  • 丁度人が眠くなる夜の部分を通り越すとかえって頭脳あたまえて来るように、岸本は疲れながらも一層よく思考することが出来るような気がした。 島崎藤村『新生』より引用
  • 濁った空が次第に澄んで来て、月の光がえて来る頃まで、小次郎はすわりつづけ、やがて寝についた。 海音寺潮五郎『平将門 下巻』より引用
  • そして、蛙の鳴く声が次第に高く路の両側から起って来て、そこをすたすた急いで走る車夫の足音も冴えて来たが、まだ彼は帽子をとり車の上から振り返っては幾度もお辞儀をしつづけた。 横光利一『旅愁』より引用
  • 浪の音がやや高くなって、中天に冴えて来た月光を含む水煙がほの白く立ちめかかった湖面に一そうの船の影が宙釣ちゅうづりのように浮び出して来た。 岡本かの子『金魚撩乱』より引用
  • 私はあてがわれた寝室のベッドの中で、いくどか寝返りをうってみたが、あせればあせるほど眼がえて来る。 横溝正史『金田一耕助ファイル07 夜歩く』より引用
  • やがて彼女の亡骸なきがらが墓穴に移され、その棺のうえに土がかけられてしまうと、わたくしの精神は、突如として、はッきり冴えて来たのであります。 モーパッサン・ギ・ド『墓』より引用
  • 枕許の電気スタンドを消したが、明日からのことをあれこれ思っていると、頭が冴えて来て、なかなか寝つかれなかった。 源氏鶏太『天上大風』より引用
  • やり口もこれにしたがって冴えて来たという。 夢野久作『東京人の堕落時代』より引用
  • 夜が更ければ更けるほど、妙に彼の頭脳あたまえて来た。 島崎藤村『新生』より引用