傾きかかる

13 の用例 (0.00 秒)
  • 自殺に傾きかかる大勢を建て直す一片の資料もなかったのである。 森村誠一『新・人間の証明(上)』より引用
  • 山の尾根が切れこんだところで傾きかかる初冬の陽がちらりと覗いた。 森村誠一『新・人間の証明(下)』より引用
  • もともと二人の男の間で微妙に迷っていた自分の心をようやく定めた矢先に当の男が忽然こつぜんと死んでしまったので、かなしみは哀しみとしても、残ったもう一人の男に急速に心が傾きかかるのをどうすることもできなかった。 森村誠一『密閉山脈』より引用
  • 彼は努めて香澄へ傾きかかる心に制動をかけたのであるが、それにしても香澄は、男を喜ばせる伝説をあまりにも持っていた。 森村誠一『分水嶺』より引用
  • 大声を出した拍子にぐらりと体が傾きかかる。 篠田真由美『玄い女神 建築探偵桜井京介の事件簿』より引用
  • 有馬は三神梢を想うことによって、静子に傾きかかる姿勢を必死にたて直そうとした。 森村誠一『虚無の道標』より引用
  • 音も立てずに、黒い蛇腹が前にのめり出しで、そしてそのうしろから火炎の昇騰してゐる、高い塀が、音もなしに傾きかかる。 リルケ・ライネル・マリア『「マルテ・ロオリッツ・ブリッゲの手記」から』より引用
  • その前景のなかへ、右手からも杉山が傾きかかる。 梶井基次郎『闇の絵巻』より引用
  • 棟居君が731関係者の間を歩き回っていろいろな資料を集めてきたものだから、そちらの方へ傾きかかるが、楊君里の旦那だんなのブンヤも涜職がらみで殺されたとはかぎらないのだ。 森村誠一『新・人間の証明(上)』より引用
  • 二ヵ月あまり重吉からのたよりをうけとらず、こちらからの音信さえ絶たれているひろ子は、傾きかかるような親愛の思いで、丁寧に手紙をとり出して見た。 宮本百合子『播州平野』より引用
  • 一首は、もう夜が更けたと見え、雁の鳴きつつとおる空に、月も低くなりかかっている、というので、「月わたる」は、月が段々移行する趣で、傾きかかるということになる。 斎藤茂吉『万葉秀歌』より引用
  • 傾きかかるサスペンスのなかで。 宮本百合子『獄中への手紙』より引用
  • ボケの花の、たくましい枝を中心に、カーネーションその他温室咲きの花々を盛りあげた、そのギッシリと詰められた植物の高さと重みで、持ちあげたとたんに花瓶は平衡を失って、傾きかかる。 武田泰淳『快楽』より引用