何ぞ図ら

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  • 科学者たちはその滅亡の跡を見て数々の原因を指摘しては得々とくとくとしているが、その原因と称する所のものは、何ぞ図らん、原因ではなくて結果に過ぎないことが多いのである。 中島敦『環礁』より引用
  • 僕は実は、観察に最も都合のよい場所をと思って、あそこを選んだのであったが、何ぞ図らん、彼の仕事場とかち合ってしまったのだ。 三上於菟吉『空家の冒険』より引用
  • 何故なれば、僕は文士ではあるが東京に生れたので、自分ではさほど世間にくらいとも思っていなかったが、何ぞ図らむ。 永井荷風『申訳』より引用
  • 然し、重明が父の重行によく似ていた点や、重行が溺愛していた点から、重行の子である事は疑わなかったのだったが、何ぞ図らん、彼は全然他人の子であった。 甲賀三郎『黄鳥の嘆き』より引用
  • 驚いて、あたりを見廻すと、何ぞはからん、自分たちより先に、この山上に来て、岩陰にうずくまり、居眠りをしていた男があった。 吉川英治『新書太閤記(八)』より引用
  • 藤井はしょう何人なんびとなるかを問いきわむる暇もなく、その人にひかれて来り見れば、何ぞはからん従妹じゅうまいの妾なりけるに、更に思い寄らぬていにて、何故なにゆえの東上にや、両親には許可を得たりやなど、たたみかけて問い出でぬ。 福田英子『妾の半生涯』より引用
  • 太孫猶齢なおとし若く、子澄未だ世に老いず、片時へんじの談、七国の論、何ぞはからん他日山崩れ海くの大事を生ぜんとは。 幸田露伴『運命』より引用
  • さては先生の寛容深くわが放蕩無頼をとがめたまはざるかと、思へばいよいよ喜びに堪へず、直に筋向すじむこうなる深川亭ふかがわていにいざなひしが、何ぞはからんこの会飲永劫えいごうの別宴とならんとは。 永井荷風『書かでもの記』より引用
  • しかるに某は身動みじろぎだにせであるを、衆のものいよいよ可笑がりて、近づき視れば、何ぞ図らむ、舌を吐き目をねぶりて、呼息まことに絶えたり。 蒲原有明『『聊斎志異』より』より引用