何かと気
79 の例文
(0.00 秒)
-
二児の母とは思えないほど美しい人でもある。そんな人が自分のような妾腹の子どもにも何かと気を使ってくれるのだ。ありがたいと思っていたが、その好意を素直に受け取ることは到底できなかった。
...
-
やつは十一時に市場でぼくを待つことになっている。母が何かと気をつかってくれても、こんどばかりは慰めにはならなかった。かえってうるさく、つらかった。
...
-
わたしでもついていれば、ねえ、また何かと気をつけて上げられるでしょう。それに、その旅装束でどうしてお目通りへ出られます?
...
-
二番目に必要なのは正確な証拠。では一番めは何かと気にはかかったが、聞かない事にした。焔雄は導果をそこまで信用していない。
...
-
上品な女房たちも多く、そうなると自然に教養ある人々や文雅の道にたけた男たちも集まってくる。それで、物淋しいようだが、一面また何かと気の紛れる折もあるのだった。そのうち、御息所はにわかにわずらって、病の床についた。
...
-
-
決して認めたくはなかったが、この目に弱い。石津のことを何かと気にかけるうちに、妹をもったような錯覚に陥ってしまった。
...
-
耀子自身は、独身を義務づけられた日女の宿命として、この年になるまで一度も嫁いだことはなかったが、こんな妻とは名ばかりの生活にひたすら耐えているように見える義妹に対して、同じ女として、密かに同情めいた気持ちを抱いていたのである。聖二は、どういうわけか、姉である自分には何かと気を遣ってくれる。日女という身分であることや、子供の頃からあまり身体が丈夫ではなかったことを知っているせいか、鼻風邪を引いた程度のことでも、必ず、気にして様子を見に来てくれる。
...
-
シュリフォン王国王女で、ダークエルフのアウラ・シュリフォンだ。アウラには以前、命を助けてもらった縁があり、何かと気にかけてもらっている。
...
-
と、奈津世は最初に訊きそびれた。オードブルが出始めた時に、デザートは何かと気にするような感じがしたからだ。少なくともその時はそんなふうに思ったのだった。
...
-
石津萌は一昨日この学校に転校して来たフランス人形のような美少女だったが、陰気な態度が長所を台無しにしていた。この学校に来た理由は前校でのイジメであったため、本田は何かと気をつけるようにしている。
...
-
ただいい先生にめぐり会えたのが何よりもの幸せだった。とくに長男は女の先生で、休みがちな子供のために、何かと気をつかってくれる。制服もないのがいい。
...
-
まことにありがたいが、途中調べられるようなことがあると煩いと思う。文さんはいつも何かと気をつかって物をくれるのでありがたい。午後峰岸君に山で別れ、一旦峰岸家に寄り、葱苗とほうれん草とを一包みずつもらい、手に下げ、本庄行のバスに四時頃乗る。
...
-
それ以来幾はかうしてこの家にゐる以上、自分の苦労などは決して表面に見せてはいけないものだと考へを決めたのである。だが蒔は別居してゐるだけに何かと気にかゝるらしく、時々顔を見せるのも幾の様子を見に来るのであつた。前とちがつて幾の指の荒れて来たことや、身仕舞なども構つてゐられないところなどは、どうしても眼につくらしかつた。
...
-
夕刻との境目に木々の間を歩けば、何かと気が紛れるだろうと彼は屋敷を出る。自分でも気付かぬうちに、彼は黄土山のふもとまで来ていた。
...
-
その中で、彼は東京シューレの和やかな雰囲気が気に入った。新顔の祐司を何かと気にかけてくれる人がいて、ここなら自分を丸ごと受け入れてくれる気がした。八月、シューレの子どもたちが、北海道で二十日間ほどの合宿を行った。
...
-
そのうち友達もできてすぐにクラスにも溶け込めるようになるわ。わたしも何かと気をつけてますから。
...
-
不愉快なDMを受け取ったというだけでも、随分とナーバスになっているように見えるのに、思いつきに等しい言葉で不安を煽るのはいささか気が引けた。いかに大きな志を抱いて自ら望んで赴任してきたといっても、この地で女性一人で暮らすためには何かと気を配らなければならないことが山ほどあるのだ。
...