何かと不便
36 の例文
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誰もがいちばん高級と認める棟に、広い物件が出たのをきっかけに、千花の家では購入に踏み切った。病院と自宅が分かれて悠子は大喜びだが、父には何かと不便なことが生じるらしい。貰い物の包みや箱を、いちいち車に積んで家に運ぶのをめんどうがるようになった。
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私は、お前に知られないよう、前から知っていた沼田に頼んで、入院させてもらった。しかし、病院では何かと不便ということで、沼田の山荘に移したのだ。
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長途の自動車旅行に何かと不便を痛感した一行は、車を返して汽車を選んだ。豊野から飯山鉄道に乗り換へて、信越国境をすぎたところに、外丸といふ重畳の山また山にかこまれた山底の村落があつて、一行はそこに下車した。
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しかし葉子は前よりも、少し用心深かった。庸三の部屋へ入って来るにしても、朝から晩まで彼の傍に居きりにすることは、何かと不便であった。まだ本統には見切りをつけていない秋本との交渉を、自分が直接に開始する場合にも、田舎へ還った母を通しての間接の場合にも、庸三に打ち明けられないことも出て来るに違いなかった。
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この時代で生きていくには何かと不便が多くて。
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ですからどうしても保険みたいなものが必要になってきます。寄りかかることができるもの、風よけになるもの、そういうのがないと何かと不便です。こういっちゃなんだが、川奈さん、あなたには今のところ、ああ、寄りかかれるようなものがなんにもありません。
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もっとも、善いことの裏側には、必ず余り有り難くもないようなことがある。古い部分は、建ててから三百年以上もたっているというこの家の暮らしは、住んでいる人にとっては何かと不便で、厄介なところが多かったであろう。とくに母の姉である伯母は、実家は高知市内にあるが、子供の頃に祖父の務めの関係で東京や大阪の街中で育ってきて、田舎の生活は知らないのである。
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救けてくれた人間の名前も聞かずにいるのは、失礼であり、それにこのように連れだった形になると、何かと不便である。
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蓮見君を連れて来ていなかったのが何かと不便だけど、こっちの支店の連中が何くれとなく気配りしてくれてね。
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二番目は、林が比沙子の失踪を知っていることだった。詳しくは触れて来ないが、無人の自宅から通っては何かと不便だろうとホテル住いをすすめた。隅田はそれに驚きを味わいながら、言うとおりホテル住いをすることにきめた。
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これにくらべると、その頃評判だつた「白馬山の雪景」や「曉の富士山」なんか影がうすくてとても見られないと思つたが、これもやつぱり誰にも言はないでゐた。そんなことが獨學者には何かと不便が多かつた。セガンチニイは今でこそ日本のどんな畫學生でも知つてゐるが、その頃はたづねる友人もなかつた。
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五十歳の未亡人で、すでに社会人になって独立している子供が二人いる。さらに専務は、子供がいると何かと不便だからと言って車を買うこともアドバイスし、顔見知りの業者に引きあわせてもくれた。
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まず、いつもの通りマンションで目覚めるのに比べると、何かと不便なのは止むを得ない。
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主人は、女ひとりでは可哀想だ、何かと不便なこともあろう、そのときは力になってあげなければいけない、と言い、よく伊原さんの奥さんの家に行くのです。
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自分では運転しないので、運転手を雇っていたのだが、その運転手が辞めてしまって、後がなかなか見付からず、車も邪魔だからと処分してしまったのである。今はハイヤーを使っているはずだが、やはり何かと不便だという感想は、松永も洩らすことがあった。新車を売り込むいい機会である。
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しかし、わたしだって自分から望んでこの街に部屋を求めたわけではない。練馬の部屋が何かと不便になり都心近くに移ることを決意したものの、なかなか新しい部屋が見つからない。いや、部屋は見つかるのだが、貸してくれないのである。
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この小さなアパートに移ったのも、独りになってからのことだ。広い家では、やはり何かと不便なのである。
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