今年二十六
17 の例文
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同じ敷地内の母屋から忍んで来るのだから、五分と暇はかからないわけだ。今年二十六歳になる長身の光教が、上体を傾けるようにして入ってきた。酒臭さが鼻をついたが、好都合だと、美輪は一瞬思った。
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当分と云っても、もう二年以上になるが、彼はまだ本当の赦免に逢わない。彼は今年二十六歳であるが、恐らく三十歳になるまではそのままであろうという。その話を聞かされて、私はいよいよ可哀そうになった。
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たまたま、その権之助の親戚が大倉村にいたので、権之助の消息を訊くと、 「それが東京へ出稼ぎに出たままでな、時々僅かばかりの金を親のところへ送ってくるが、その度に住所が変っていて、今はどこに住んでいるか分らねえで困っている」 ということであった。権之助は今年二十六歳であった。横山が白熊について調べた結果は、彼が期待したものとはほど遠いものであったが、決して無駄ではなかった。
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まさかに物取りや巾着切りでもあるまい。文字春は今年二十六で、女としては大柄の方であった。万一相手の娘がよくない者で、だしぬけに何かの悪さを仕掛けたとしても、やみやみ彼女に負かされる程のこともあるまいと多寡をくくっていたので、文字春はさのみ怖いとも恐ろしいとも思っていなかったのであるが、何分にも自分のあとを付け廻してくるのが気になってならなかった。
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彼はたしか、わたしより一つ年上になるのだから、今年二十六になっているはずだ。
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なぜと云うに、玄機の目中には女子としての緑翹はないと云って好い位であったからである。玄機は今年二十六歳になっている。眉目端正な顔が、迫り視るべからざる程の気高い美しさを具えて、新に浴を出た時には、琥珀色の光を放っている。
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体の無理が重なったのだろう。今年二十六という。それだけを駒子は一気に話したけれども、息子を連れて帰った娘がなにものであるか、どうして駒子がこの家にいるのかというようなことには、やはり一言も触れなかった。
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「できるだけ早く領内に告知したいのに、困ったことだよ」 双子が産まれた翌朝、執務室にやってきたオジナ・サワはそう言って、深々とため息をついた。今年二十六になるオジナは、公職を追われた父親をもつゆえに長く不遇をかこってきた男だ。だが不遇にくさることなく、若者たちを集めて勉強会をひらくなどして研鑽を積んできた彼を、ケアルは領主の座につくと同時に家令のひとりに迎え入れたのである。
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相手は、良平の先輩で今でも千枝がなにかにつけて世話になっている吉川元機関手のところの末っ子である。光夫といい、青函連絡船に乗っているが、今年二十六歳のなかなかの好青年だった。家が近い関係で、雪子とは幼馴染であり、ずっと彼女に好意を持っていたのだということだった。
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平作は学問ギライで、イヤがる加十をデッチなみに家業の手伝いをさせた。するとぐれて身を持ちくずして勘当となったが、弟の石松は今年二十六、人の話では二十三四からぐれたそうだ。オレが鬼のウチから出たころ二十ぐらいの生意気な小倅だったが、まだ身持ちがわるくはなかった。
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こんな時刻に奥方までが何事だ、と喜三郎に尋ねても、俯いたきり返事もなく、甚左衛門としては通せと命じるしかなかった。おねいは今年二十六になる小普請組百石大矢田英之進の次女である。いつものように足音もたてずに入って来て、喜三郎の後ろに着座した。
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警察署からは、事件の捜査経過が、担当検事に逐一報告されてくる。桜木洋は今年二十六歳、この三月に夕子が一方面主任に任命されて以来、彼女とコンビを組んで仕事をしている。逆三角形の顔に黒縁眼鏡をかけた彼は、一見生真面目な秀才風だが、内実は趣味が広くてスポーツ好きといった現代青年の特徴も十分に備えている。
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しかしそれだけでは勝手向きが十分でないので、来年の春には師匠の其月をうしろ楯に、立机の披露をさせて貰って、一人前の俳諧の点者として世をわたる筈になっている。かれは今年二十六で、女房も持たず、下女もおかず、六畳と四畳半とふた間の家に所謂ひとり者の暢気な生活をしているとのことであった。「その其蝶とお葉とおかしいようなことはあるめえな」と、半七は笑いながら訊いた。
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ウッドリーは今年二十六、あと一年で退役だ。すでに農場も買いとっていた。
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圭介は今年二十六、背の高い、眉の美しい好男子で、そのスマートな人柄は、生徒たちの憧れの的になっていた。圭介も川島女子学園で、英語の教師をしているのである。
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桜木洋は今年二十六歳で、この三月に夕子が一方面主任に任命されて以来、彼女の立会事務官をつとめている。一見神経質な秀才風だが、実際には快活な青年で、「忙しすぎてデートもできなくなった」とぼやきながらも、「よく動く検事」の夕子とコンビを組んだことを、さほど迷惑にも感じていないのだ。
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