人一倍傷つき
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なぜに自分が、底無しの哀しみを胸奥深くに封印し、別人になることを選択したかの理由が、少女にはわかっていた。
人一倍傷つきやすいガラスの心を守るには、自分とは正反対の、何事も笑って受け流せる屈託のない少女を演じるしかなかった。
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新堂冬樹『忘れ雪』より引用
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万樹子との結婚によって、万俵家の閨閥の枝をより大きく伸ばしたが、銀平自身の倖せという点からみれば、灘のさして大きくない酒造家の娘ではあっても、小森章子と結婚していた方が倖せであったかもしれなかった。
万樹子の持っている我儘な無神経さが、表面はニヒルな冷たさを見せながら、内心は人一倍傷つきやすい銀平の心をどれほど傷つけているかしれない。
それに比べて、小森章子が、どんな場合でも相手を侵さず、自分も侵されない心の距離を保てる女性であることは、銀平と小森章子の三年間の深い間柄を傍から見ていただけの鉄平にも感じ取られていた。
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山崎豊子『華麗なる一族 中』より引用
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美嘉は人一倍傷つきやすくて弱い子やんな?
俺わかっとるで!
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石原千秋『ケータイ小説は文学か』より引用
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貴子が貴族に憧れるのは、結局卑賤に生れたことが原因しているが、それと同じ理由で、爪楊枝けずりの職人の家に生れた章三は、貴族というものに敵意を感じていたのである。
そしてまた、爪楊枝けずりの職人の息子だということが、章三の自尊心を人一倍傷つき易いものにしていたから、人一倍カッとなって、殆んど前後の見境もなくなるところだった。
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織田作之助『土曜夫人』より引用
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誇張して言えば、その時豹一の自尊心は傷ついた。
人一倍傷つき易かった。
なお、しょんぼりした。
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織田作之助『青春の逆説』より引用